初めて買ったのは、同人CDだった(後編)

2015年夏。
れをる・ギガ・お菊の3人のサークル「あにょすぺにょすゃゃ」がコミックマーケット86で販売した『No Title+』『No Title-』を買いたかった。

クロスフェード動画に一目ぼれしたからだ。(詳しくは前編参照)

しかし、当時中学生だった私に、一度も行ったことのない″コミケ″でのCD購入はハードルが高かった。

CDショップかITunesストアで売ってくれんと。

そう思っていた矢先、彼女たちはAmazonでのCD販売を告知してくれた。
本当のことを言うとそれもちょっと嫌だった。

Amazonで自由に買い物をすることは当時私には許されておらず、親に欲しいものを申告して購入してもらう必要があったからだ。

普通に男性アイドルのCDなどを買ってくれと頼む方がよっぽど気が楽だったと思う。

それでも「このCDが欲しい」「二枚組になっていて、曲名は二枚とも全部一緒だけど、内容は全く違うから二枚とも欲しい」と母親に頼むと、不思議そうにしながらもCDを注文してくれた。

数日後、CDが家に届いた。本当はいつも、借りてきたCDなどはパソコンで読み込み、当時持っていたiPodに音楽を同期して一人で聴くという手順を踏んでいた。しかし、予約注文期間から待ちに待ったCDの到着。そんな手順をうだうだとたどっている時間はない。

Amazonでの注文を依頼した時点で恥もくそもなくなっていたので、リビングにあるCDプレイヤーでイヤホンもせず、大音量で、曲を流した。

聴いている途中にリビングに入ってきた父親がプレイヤーの横に置いていたCDジャケットを眺め、「北欧の民謡より興味ない」と笑いながら言ってきたのをはっきりと覚えている。知らんがな。

どれもこれもクロスフェード動画で聴いていた数秒からは予想もつかないほど奥行きのある楽曲で、楽しくて、嬉しい。リビングで流すのを恥ずかしがっていたこと自体が申し訳ないくらい、良いCDじゃないか。

ただ、CDの最後に収録されていた既存曲のアレンジ楽曲「ギガンティック O.T.N(Big Death Edition)」は大罠だった。

とはいえこのCDは5年経った今でも大好きで、こういった思い出を含め尊い存在だ。常人では考えられないくらいのヘビーローテーションを重ねている。

同人サークル「あにょすぺにょすゃゃ」はその後、音楽ユニット「REOL」としてデビューして、解散した。それに伴い、歌い手「れをる」だった人が女性ソロアーティスト「Reol」としてデビューしてからも、このCDの存在は私にとって非常に大きいものである。

最近のReolの好きな曲などについてもいずれ語りたいと思う。

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