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お笑い界が思い通りになりすぎていませんか
最近どうも怖くなる。お笑い界が我々の思い通りになりすぎていませんか。
自分が面白いと思って強く応援している芸人が全員、みるみる注目を浴びて売れていっているようにしか感じられない。最近こんな感覚を覚えている人は私以外にも多いのではないだろうか。
前ほど「テレビ向き」「向いてない」みたいな評価基準の価値が弱まり、ただただ劇場でネタが面白い芸人の台頭が始まっている。
だって、マユリカが突然『ラヴィット』のスタジオゲストとして登場する時代だ。「大宮セブン」がさいたまスーパーアリーナに登場する時代だ。
ロングコートダディはアイドルのバラエティで毎月MCをしているし、ニッポンの社長がKOUGU維新のメンバーになっている。東京ホテイソンが『ラヴィット』のレギュラーメンバーで、人気芸人ランキング首位はニューヨークだ。
思いもよらない芸人が普通にきれいめな女性誌でインタビューを受けていることなんて日常茶飯事で、もはや驚きもしなくなった。
ここに名前を挙げた人以外を応援する人にとっても、最近はちょっと「異常」なのではないだろうか。
配信ライブを買って、単独ライブに通って、「どう考えてもこの人達が一番だろ!!」と信じていた芸人がものすごい勢いで広く認知されてゆく。そりゃあ彼らは面白いのだから、売れないほうがおかしいけど。それにしても、スピード感が異常だ。
もちろん、「売れた人」みたいな仕事だけが増えることが必ずしもいいとは思わない。
しかし、こういった仕事が増えることをきっかけに、彼らの魅力が1番に発揮される「劇場公演」や「単独ライブ」に興味を持つ人間が増えることの素晴らしさと言ったら。
こんな現象が起きている原因として、まず考えられるのは賞レースの持つ影響力の巨大化だ。予選でネタを披露してその内容が素晴らしければきらびやかな舞台で、全国ネットで放送されるという単純明快なシステムが、「面白い人たち」を次々世に送り出す。
また、予選動画の無料配信することにより、知名度が高くない人のネタ動画が広く世に届くようになった。
そして、いまや当たり前となった有料配信ライブ。初めての人にとっては足を運ぶハードルの高い「劇場」という存在を身近なものにしているように思うし、なにより「話題になったものを後から買って見る」というこれまでなら時間を操らないと不可能だったことが実現されるようになった。
You Tubeや自主配信ラジオもいまや当たり前。私たちが強い信念で「この人たちは面白い」と感じられる芸人がチャンスを掴むために、後押しをできる機会が以前より大幅に増えていることも間違いない。
いやたしかに、「私が読み始めた漫画ってだいたい売れるんだよね」という人がよくいるのは、本屋が売り出したい漫画は目立つ場所で平置きにされているからだ。
出版社や販売店側の力を入れた販売戦略に乗っかっただけのこと。そういう人がたくさんいたから、結果的に「自分の選んだものがだいたい売れる」という錯覚に陥る。
今回私がつらつらと述べてきたのも、きっとこれと同じようなことにすぎないが、それでもいい。
「思い通りになりすぎていませんか?大丈夫?」と要らない不安を抱く必要は多分ない。
これからも自分が面白いと感じる人を信じること、そして声を大にして「面白い」と言い続けることでこの異常な世界を維持していたい。
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