見出し画像

家が欲しい

インテリアは好きだけど見る専。というのも掃除ができない体質だし、極度のめんどくさがりで圧倒的にデザイン<<<利便性。
何より都心で働くクソ社畜、寝るだけの家にお金をかけるなんてもったいない!それより毎日服が足りない、靴も足りない、ネイルにパーマに気分上げてかないとやってらんねえ!と10年過ごしてきて、家選びで重視するのは駅徒歩10分以内、一分一秒でも早く帰りたいので信号のある大きい道路がない、以上。
トイレとお風呂が一緒でも冬寒くても、電車がうるさくてもとにかく駅に近ければ近いほど優良物件だった。

と言いつつも住めば都気質なので、シャワーの水圧だ、コンセントの位置だ、トイレの鍵がかからないなんてのは一切チェックせずに部屋に入った第一印象だけでほぼ即決している。失敗したことはない。まあトイレの鍵がかからないことを失敗だと思っていないので許容範囲がだいぶ広い可能性も否めない。

今の住まいは築浅・追い炊き機能・オートロック等々…ハイテクで綺麗。夫的にも様々なおこだわり条件が満たされたほぼパーフェクトな部屋らしい。斜向かいのアパートに住んでいたとき夫が毎日窓から虎視眈々とこのマンションを狙っていた。空き物件の気配を感じるや否や情報が出る前に不動産に鬼電してあれよあれよという間に契約をもぎ取った怨念こもった曰く付き、いやお気に入り物件である。駅近でしかも三口コンロなのでわたしもとても満足している。ただ道路を挟んで斜め向かいに引っ越しただけなのに引っ越し代がとても高かったのは今も少し根に持っている。

昔から賃貸を転々とするのは好きだし、マイホームなんてわたしには一生必要ないわ。そう思っていた。
ついこの前までは。

在宅になってからリビングのテーブルで仕事をしている。眼下に茂る森を眺めながら仕事の合間に土鍋で米を炊いたり、ホームベーカリーでパンを焼いたり、ホットサンドメーカーでそのパンを調理したり。パンを作るための粉も色々揃えた。ほぼ家飲みになったので安い箱ワインを置くことにした、もちろん赤白。ウイスキーも1.8リットルを買うようになった。粉末の出汁をやめて出汁パックを三種類常備した。外食できなくてもエスニックが食べたいので調味料もたくさん揃えて…おうち生活の充実で明らかにキッチンの収納が追いついていない、体感では積載量150%だ。
去年から部屋に花を飾り始めたが、かなりの確率で切り花が発根する。それに合わせて増える花瓶。だって捨てるわけにいかないじゃない?この子たちだって生きようとしているんだものね、ユパ様。それにいつの間にか食器もどんどん増えている。いつの間にかと言ってもこっちは勝手に繁殖して子を産んでいるわけではないと思うから私が買っているんだろう。同じくどんどん増える本、本棚に入りきらず横積みされていく。一部屋使っているのに入りきらず魔界と化したクローゼットでは去年の夏服が未だ行方不明である。この家には物がありすぎる。かと言って減らすわけにはいかない。こんまり風に言うならば全てときめく物だから。うちにはときめきしかないんです。が、ときめきがもう入らない、ときめきオーバーキル!

突然だけど家が欲しい。

本当に突然そう思ったのだ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?