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家が欲しい、35日目(ハートウォーミング契約!)

契約は夫だけでいいかな、と思っていたら規約等に関する大事な話もあるので奥様も、ということで夫婦揃って契約に行くことになった。
ほーん、よく知らんがそういうもんなのね。

その日は午後から陶芸教室のあと町中華をキメる予定だったのでちょっとチャイナっぽいワンピースをチョイスした。そのワンピースを着る時は餃子のピアスをすることにしている。おいしそうな餃子がゆらゆら揺れてかわいいお気に入りのピアスだ。どうせ不動産と会うだけだし。夫もいつもの癖つよ滝藤賢一風のチンピラファッションで不動産に向かった。

不動産に着くと「お久しぶりです、珍しい苗字なのでもしかしてと思ってたんですよー」と不動産の社長。どうやら夫と社長は知り合いらしい。妻ですいつもお世話になっております〜うふふ、と餃子を揺らして挨拶をした。
「売主様は二階でお待ちですよ」
あれ?売主様が来てるの?そんな話聞いてない…。というか前の住人と一緒に契約なんだ、知らなかった。
2階に案内されるとそこにはうちの不動産(例のエリート)、向こうの不動産、そしてご夫婦がいた。自分の親よりちょっと若い5〜60代だろうか。ここでも餃子をゆらゆら挨拶をして早速契約を始める。
管理規約やらなんやら読み上げられてうんうん、と聞いてるふりをしているが、私は内心気が気じゃなかった。これはやっちまったぞ、こんなふざけた格好の2人と取引するなんて失敗したと思われないかな、やめますって言われたらどうしよう、とりあえずトイレ行くふりして餃子外してくるか?ピアスははずせるけど夫は下着にならないといけないな、下着の男とチンピラはどっちがマシだ?と考えている間にも契約は進む。
こんな怪しい奴らと契約なんてできるか!とは言われなかったのでとりあえずセーフ…と思いながら1度目の休憩。
ここまできてピアスを外してももう遅いと思い、開き直ってお茶を飲む。夫とさっきの社長さんの話になり、こんなとこに偶然知り合いがいるなんて世間は狭いね、と言うと「何年か前に交流会で知り合ったんだ〜」と夫。交流会!!??私が怪しくて胡散臭いと思ってる会ベストスリー、降霊会・交流会・ワイン会のあの交流会!バッドワードを引き出してしまった。ご夫婦に聞こえてなければいいが…と様子を伺うとなにやら2人でコソコソと話している。これは非常にマズイのでは。
奥様と目が合う。「あの、これ…」とスマホの画面を差し出してきた。
あぁ、もしかして、あの写真が…?薄暗い場所で極悪顔でお金を数えてるあの写真が流出してるの… ?違うんですあれは怪しい取引現場にしか見えないですが、飲み会の最後にみんなの会計をまとめてるところなんです!しっかりした善人なんです!確かに反社的な見た目で顔も割と輩感ありますけど実は介護系の会社を経営してるんです!

覚悟を決めてのぞいた画面には美しいピンクの花が。
「ベランダの花壇のサツキです。今年の写真なんです。わたしたちが越してきた頃にはもう植えてあったんですが毎年すごく綺麗に咲きますよ」
ふぁ〜!奥様わざわざ写真探してくださってた〜〜!!!きれいです〜!!ほっこり
写真がきっかけで引っ越しの理由やご近所の様子など話すこともできて、休憩後は前半より和やかに契約が進んだ。
「ここの道は少し暗いので帰りはこっちの道がいい」
「この部屋の窓は少し建て付けが良くないので開ける時にコツがいる」
「規約はペット不可だけどみんな飼ってるから大丈夫」
などところどころにご夫婦の注釈が入る。なんだかただの売買じゃなくて、家の引き継ぎって感じだ。わたしたちもこの家とサツキ大事にしなきゃ!とほっこりした気持ちになった。
得体の知れない餃子女とチンピラで不安にさせてごめんなさいね。

無事に契約が終わり、我々はついに家を手に入れた!と思いきやここからローンの本審査、その後鍵をもらってやっとマイホームだそうで。
鍵がないと中の計測などもできないのでこの間は特にすることもなく気持ち的にも一旦落ち着いた感じだった。
次回「図面が出てきてテンション爆上げ!」に続く。(つづかない)

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