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あの数分間

数年前のこと。ある男性のことが好きだった。

その男性はクソみたいな男だったけど、それを見抜けず、いや、見抜いていたけど好きだからという理由で自分で自分の中の違和感をごまかしていた。そんな当時の私こそクソだった。

ただ、「そこが私だよね」なのが、感覚派なので違和感は自分の中の正解に等しく、いくらごまかしてもごまかしても拭えない。「やっぱりおかしい」と思って「もうこの人と縁を切ろう」と決めた。悲しくて悔しくて涙が出たけど、「これでいいんだ」と決めた。

お別れした後「本当に理央さんと会えてよかったよ。感謝してる。ありがとう!」的なメッセージ送りつけてきやがって人と向き合わないくせに(バレバレだけど本人がそのことに気づいてない)表面を撫でたような上辺だけの優しい言葉がぽんぽん出てきて俺は良い人でーすって思いたいところが死ね!!!!(治安悪い)って思って「そういうのが1番ひどいからなてめぇいいかげんにしろよ」的な返信をしてマジであいつ死ねばいいって思ったし自分のことも情けなくて泣いた。

それから数ヶ月たって、写真撮ってインスタ投稿しよう(当時始めたばかりでハマっていた)と「いつもやっていること」をその日もやろうとした。ら…

iPhoneのカメラを起動したら画面が真っ暗だった。レンズに何かある?レンズは問題なさそう。起動し直しても変わらない。インカメラに切り替えてもムービーに切り替えても変わらない。真っ暗。写真が撮れない。今まで1度もこんなことなかったのに……何で?

どうしよう…どうしよう…とオロオロしてる中「1回電源を切ってみよう」と思いついた。会社で複合機にエラーが出たときに、「調子が悪いときは、1回電源を切ってみてください。切って立ち上げたら、大丈夫になってることが多いですから」と教えてもらったことがあったから。

電源を切った。数分して電源を入れたら、カメラは何事もなく立ちあがって、写真も撮れた。「ん?何かあったんですか?」くらいにすがすがしく。

ふと、メッセージが入っていることに気づいた。そのメッセージはこんな内容だった。

「〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇から着信がありましたが、あなたが電源を切っていたので受信できませんでした」

クソ男からの着信だった。

よりによってiPhoneの電源を切っていたあの数分間に着信を入れてくるとは。よっぽど私たちは縁がないんだろうなと思った。

神様か仏様かご先祖様が、あの男ともう関わっちゃダメだよ、縁しない方がいいよと教えてくれたんじゃないかと思ってる。

不思議なあの数分間には感謝してるんだ。


「そういえば、前に言ってたあの男の人とはどうなったの?」

久しぶりに会った友達にこう聞かれ、あの不思議な体験を話した。

「実は私もね…」

友達も不思議な体験を教えてくれた。とても不思議な話だった。

私たちはお互い「けど正解だよね」と笑い合った。

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