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短歌

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2104_短歌

口元に毛布を当てた感触を犬と仮定し抱きしめて寝る

自転より速い世間の回転数酔い止めなしでどこまで持つのか

パーティーの支度を済ませて会場に着いた頃には終わってました

背伸びして飲んでるうちに慣れただけコーヒーの味まだ好きじゃない

何かしらみどりの香りがするけれどスマホじゃ匂いは調べられない

失って初めて気づく首元の温もり保った髪の存在

刈り上げたうなじを風が撫でていく温度で測る季節の境

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2102_短歌

壁伝い速度に合わせて歯が震う特急電車時速100キロ

空白を有意義にする強迫状つきつけられてもそっぽを向ける

いつもそう人からもらう食べ物はほんのちょっとですごく美味しい

1人では決して埋まらぬ寂しさの穴から抜ける風が冷たい

検索欄ちょっと打ち込み調べれば山ほど出てくる自分の分身

2011_短歌

手が届く範囲のものしか見えてない物理的にも精神的にも

背徳感しょって食うからうまいのよ深夜に食べるカップラーメン

もういいかいまだよまだよのせめぎ合い今宵とうとう暖房つけた

この髪を抜いてカツラにしようとは思わないけど脱いちゃう癖毛

気に入らん考える時のその態度一挙一動に出てる自尊心

鏡越し目が合う自分に手を振ってなんか仲良くなれた気がした

このままで生きていくのかこれからも誰のことも

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2101_短歌

鈍感になっていってるだけなのに生きやすくなったと言い換えたりして

自分でも忘れてしまいそうな日をかけがえのない日と言われましても

愛される方が幸せなんだよと愛を受け取る苦労も知らず

生きている価値や意味などなくたっていいと思える方がしあわせ

軽トラで届ける感じのいい暮らし、無印コピーで作った短歌

嘘ついて家に呼び込む無礼さを口説き作法と思ったダサさ

男女には友情なんてないんだと令和にも

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