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落ち込んでいるときこそ「好き」で五感を満たす

離島で生まれ育ち、大学進学に伴い島を離れ、転職を機に都会に来た者です。

こちらの生活にも慣れてきたのですが、最近少々困ったことがありました。
なんだか元気が出ないのです。

気分って波があるじゃないですか。
「今は下がっているときだよ。いずれ上がってくるんだからそんな落ち込みなさんな。」と頭の中の私が囁きます。

それでもしんどいことはしんどい。
少しでも楽になりたい。

私は気分が下がっている状況を面白がれるほど大人ではなく、昇華できるほど聡明でもなく、子どものように感情の沼でじたばた藻掻いてしまうのです。

そんな私がこうしてnoteで発信しています。
文章を書いているとき、またその文章を読んでくださるあなたがいることに気づいたとき、あたたかい気持ちになります。noteという空間が私の心の癒しになっているのです。


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1年ほど勤めた病院を退職し、ご縁があって都会に引っ越しました。
引っ越しと同時に転職活動を進めており、4社ほどエントリーして内定をいただいていました。
それぞれ理由があり内定を辞退することになり、転職エージェントからのサポートをお断りし、今現在は失業給付をもらいながらぽけーっと過ごしています。

なんだか自分おかしいなと思ったのは、食洗器事件が起きた日です。

夕食が済んでいつも通り食洗器様に食器を洗ってもらっていました。
いつもは放置して朝が来るのですが、その日はなぜか食洗器の電源をつけたまま排水ホースをしまいました。

ベッドに入ってうとうとしていると、キッチンから水が漏れるような音がしました。
飛び起きてキッチンに行くと、どこからともなく水があふれだし床がびしゃびしゃになっていました。
「私は何をやってもだめな人間なんだ」という言葉が頭の中に浮かびました。
その夜は涙が止まりませんでした。


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「だめな人間なんだ」と言う悪魔は、学生のころから私の頭に住み着いていたと思います。
メンタルブレイクしがちで悩んでいる方や、メンタルブレイクしがちな人と関わりがある方は、前回の「不登校の高校時代を経て、」という記事を読んでみてください。そういう人が生きやすくなる知恵を得ることができます。あくまでも一例ではありますが。

そうそう、食洗器事件の話でしたね。

あんなことで泣くなんで、私やべぇなと。そんなんじゃ社会で生きていけないなと。なんとか対処せねばと思い、毎日つけている日記と真っ白な紙と鉛筆を用意しました。


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ふむふむなるほど。
こういうことがあって、こう感じて、それがストレスになっていたのか。
てか食料の買い出し以外ずっと家の中で過ごしてるな。
前は弾き語りとか散歩とか好きなことしていたのに、最近できていないな。

日記を見返すとそんなことに気づきました。

そして真っ白の紙に鉛筆で、私の「好き」を書きだしました。

  • ピアノ、ギターを弾く

  • 歌う

  • 川や海を眺める

  • キンモクセイの香りを嗅ぐ

  • 散歩する

  • ひとりで居酒屋に行く

本当に23歳?とか思いながらそのリストを眺めてその日は終わりました。


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しなければならない用事があると外出し、そのたびにキンモクセイを探していましたが、なかなか見つけることができませでした。

実家の近くにはキンモクセイがあって、自ら求めなくても勝手に香りがしていたのになぁ…あれだけ島から離れたかった私が「あの頃はよかった」と思うほど、「好き」の枯渇は精神衛生上よろしくないんだなぁ…

そんなことを思いながら、意識的に五感に集中する時間をつくったりして、少しずつ元気を取り戻しつつありました。

昨日よりも心が軽いと感じられると不思議と意欲が出てきました。

「都内 公園」と検索すると、一つの公園がすごく気になりました。
ハローワークに用事があって外出しないといけない日でしたし、用事が済んだらその足で公園まで行ってみようと思いました。


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電車が走っているときの揺れ
人が乗り降りするときの揺れ

ものすごい速さで移り変わる窓の外の景色
じっくりゆっくりだるくなってくる腰から下の感覚

かけすぎじゃない?と思うくらいの香水臭
ドアが開いたときに流れ込むアスファルトの空気

スマホを見ずに公園にたどり着けるかな
看板を探して辺りを見渡し歩き回る


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公園に着きました。
平日なのに人多い、さすが都会だな。なんて思いながらベンチを探しました。
公園で読書しようと、小説を持ってきていたからです。

少し歩くとベンチが見えました。
と同時にあの香りがしたのです。

キンモクセイだ。

鼓動がはずみ、足早にベンチに向かいました。
ベンチのすぐ近くにはキンモクセイが咲いていました。
マスクを外し、深く深く息を吸い、ゆっくり吐き、また息を吸い込みました。
ベンチに座り、目の前の池を眺めながら大好きなブラックコーヒーを飲みました。
鳥や虫の声、風になびいて重なっては離れる葉っぱたち。
私が生まれるよりずっと前から存在している大地が、壮大な音楽を奏でていました。
読みかけの小説を取り出し、あたたかい太陽の光を浴びながら読み始めました。


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心地よいと感じる環境に身を置くと感情の波が穏やかになります。
感情の波が穏やかになると心地よいと感じられます。

落ち込んでいるときこそ「好き」で五感を満たすのです。
空気、香り、音、目に見えなくても確実に存在するものたちが、私を生かしてくれています。

今日も足るを知り、感謝します。
そうすれば、心があたたかくなるプレゼントが返ってきますから。

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