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ジョブ型雇用がもたらす未来について

最近ニュースや新聞など「ジョブ型雇用」というものをよく目にします。

ジョブ型雇用が増えることによって、どのような影響があるかを本日は考えてみました。


1.ジョブ型雇用とは?

ジョブ型というのは、文字通り、ジョブ(業務内容・仕事内容)を軸にした雇用手法です。重視されるのは年齢や学歴、意欲ではなく、求めている仕事をするための顕在化されたスキルです。

仕事に人を合わせていく「仕事基準」の採用と言えます。
ジョブに合わせて専門スキルを保有した人材を採用するため、一括研修などは実施しないことが多く、業務外で自ら学ぶことが求められます。

一方、自ら専門スキルを高めていくことで、より厚待遇のジョブを自ら選んでいける特徴があります。新卒で入社した会社に終身雇用されるのではなく、色んな会社での仕事を通して専門スキルを高めていくのが一般的です。

欧米の企業では、昔からこのジョブ型での雇用が一般出来でした。

◆メンバーシップ型
ジョブ型の対義語として挙げられるのが、メンバーシップ型です。

これは日本でよく見られる新卒一括採用型の雇用システムです。多くは総合職として採用し、転勤や異動、ジョブローテーションを繰りかえすことで、会社を支える人材を長期的に育成していきます。

早期離職をしないよう、長期的に働くほど一律で昇給する年齢給を採用する企業が多く、さらに多額の退職金が受け取れる年功序列型賃金体系をセットにしている会社も多いです。

定年まで雇用の安定を約束する終身雇用とも呼ばれ、会社に人を合わせていく「会社基準」の雇用と言えるでしょう。戦後の高度成長期に完成されたと言われています。

下記の図は、ジョブ型とメンバーシップ型の特徴をまとめたものです。

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2.ジョブ型が広まっている背景

<背景①>
ジョブ型が注目されているのは、1つはコロナウイルスにより、在宅勤務、テレワークが普及したことにあります。

在宅勤務をする場合、各社員に何をまかせるかを明確にする必要があるため、それに伴って仕事を明確にするジョブ型が注目されました。

<背景②>
テレワークが普及をする前から、国際競争力を高めるためにはジョブ型が良いという考えが増えていました。

メンバーシップ型雇用を継続していると、企業も企業に所属する個人も、専門性が高まりづらくなります。

実際、メンバーシップ型の企業が多い日本は、本当に競争力が低いのでしょうか?

スイスのビジネススクールIMDが発表した「世界競争力ランキング2019」では、日本は前年から順位を5つ下げ、30位になっています。同ランキングで1989年から4年連続で世界1位を記録した日本ですが、この20~30年で国際競争力は大きく下がったと言えます。
※国際競争力が低下した要因のすべてがメンバーシップ型の雇用のせいではないと思いますが。

<背景③>
専門人材の人手不足という問題も、ジョブ型を広めている背景の1つです。

AI、IoT、ブロックチェーン、ロボット、ドローン、5G、ビッグデータなど、第4次産業革命とも言われる技術革新に伴い、ITエンジニアやデータサイエンティスト、マーケティングなどの専門職が日本では不足しています。

従来までは一部の会社だけで求められた専門職ですが、技術革新に伴い、業界問わず多くの会社でのニーズが高まっています。

このような専門人材を採用する際にも、メンバーシップ型の雇用形態よりもジョブ型の方が求める役割が明確で、採用をしやすくなります。

3.ジョブ型を導入するには?

ジョブ型には興味があるけど、なかなか自社での導入が難しいと考えている企業様も多くいると思います。

その主な理由は、仕事を明確に定義する「ジョブディスクリプション」がないことにあります

今回は作成手順を簡単にしか記載しませんが、このジョブディスクリプションを作成することが、ジョブ型雇用を実現する第1歩です。

ジョブディスクリプションの作成方法を記載すると・・・

【ステップ1】社内の仕事を職種ごとに整理する。
・社員にアンケートを取ったり、ヒアリングをすることで、仕事の内容を全て洗い出します。まずは全ての業務を把握しましょう。

【ステップ2】業務内容の分析
業務の内容を下記の要素で分析します。
 ・重要度:社内でその仕事がどれほど重要か。
 ・頻度:1か月間で「何時間」行うか。
 ・必要な知識、スキル:その業務を行うために、どのような能力が必要か。
 ・習得期間:必要な能力を身に着けるために、「何時間」必要か。

【ステップ3】仕事内容を職種ごとに明文化する
分析をしたものを参考に、「業務概要」、「業務内容」、「必要とされる能力とスキル」、「必要とされる資格と経験」を文章として書いていくことで
ジョブディスクリプションを作成していきます。

大事なことは、仕事を任された人の「業務範囲」と「その業務に必要な能力とスキル」が明確になっていることです。

4.ジョブ型雇用がもたらす未来

最後に、ジョブ型の雇用が進むと、将来的に日本にどのようなことが起こるか仮説を考えてみます。

私は、ジョブ型が進むことで、
極端に言うと、失業が増えると考えています。
※仕事を選べる人、仕事がなくなる人の2極が進むということです。

ジョブ型によって・・・・
①企業において、必要な業務が明確になる
②業務内容が明確になることで、組織の最適化が進む。
 
⇒今まで正社員に任せていたあいまいな仕事も、ジョブディスクリプションにより「必要性」「頻度」「難易度」が明確になり、正社員に任せるもの、外部に委託するもの、自動化させるもの・・・などが分類しやすくなる。
③機械やRPA、AIなどに代替されることで、仕事を取られる人が増え、失業率が上がる。

下記の図のように、ジョブディスクリプションによって仕事が明確になると、自社の社員に任せるか、外部に任せても良いものか、検討がしやすくなります。
そうなると、組織にとっての最適な選択肢が明確になり、不要な人材は職を失うのではと考えています。

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5.個人が目指すべき未来とは

働く側、社員側の視点でみると、これからの世界で必要なことは

「私の仕事は○○です」と自分の専門領域をはっきり言えるかどうかだと思います。

今の自分の仕事は、次のどちらに当てはまるかを考えることが重要です。
①他の会社でも通用するスキル
②今の会社だけでしか通用しないスキル

もし自分の今の状況が②なのであれば、①になるように考え方、働き方を見直さなくてはいけないと思います。

今回のコロナウイルスのように、経済がどのようになるか、先が見えない時代は続きます。
そんな中で自分の仕事を保証してくれるのは、会社ではなく、自分自身です。

それに少しでも早く気づくかどうかで、自分の人生が大きく変わると思います。

私自身も、「私の仕事は経営コンサルタント」と胸を張って言えるように、日々精進を続けたいと思います。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。


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