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経済トピック:伸び続ける冷凍食品市場

近年、家庭での調理の手間を減らすために、手軽で便利な冷凍食品の需要が高まっています。

日本冷凍食品協会が発表している統計データによると、令和4年は生産数量と生産金額ともに過去最高を更新しています。生産金額は7,639億と前年比で104%。生産量は約159万トンと前年比で100.7%。冷凍食品の一人当たり消費量も23.9キロと前年比で103.8%と伸びています。

下記に、冷凍食品の国内生産及び消費の数字を記載致します。



※出典:一般社団法人日本冷凍食品協会

■冷凍食品の需要が増加している理由
そもそも、日本で冷凍食品はいつからあったのでしょうか。
起源を調べてみると、1948年、東京・日本橋の白木屋デパートで日本冷蔵(現在のニチレイフーズ)が「ホームミート」「ホームシチュー」を販売したことが調理冷凍食品の始まりとされています。

冷凍食品需要が増している背景として、一つ目には「SDGs(持続可能な開発目標)」の実現に向けてフードロス削減に取り組む企業が増えていることが挙げられます。
生の食材ではロスが出てしまいますが、冷凍食品であれば保管期間も長く、フードロスを減らすことができます。

二つ目の理由としては、冷凍技術の進化が挙げられます。冷凍手法が進化したことで、
食品を解凍した後の「復元率」を高めることにつながり、冷凍食品の美味しさの担保につながっています。
最新の冷凍食品販売経路

三つ目の理由として、冷凍食品を購入できる場所が多様化したことが挙げられます。
スーパーやコンビニでも冷凍食品は数多く取り扱われていますが、下記のような場所が増えたことで、冷凍食品の需要は伸びています。

①    冷凍食品専門店
関東を中心に複数店舗を出店しているフランス発冷凍食品専門店「ピカール」、アイスクリームや冷凍食品の卸売りを手がけるアイスコの専門店「FROZEN JOE’S(フローズンジョーズ)」、イオンの冷凍食品強化型店舗「@FROZEN」など、現在国内では冷凍食品専門店が増え続けています。

②    自動販売機
自動販売機で冷凍食品を取り扱うケースが増えています。代表的な冷凍自動販売機は、2021年1月にサンデン・リテール株式会社が販売開始した「ど冷もん」です。
販売開始以来、7か月で設置台数1000台を突破し、2022年10月末で5,000台に達しています。
最近では、冷凍ラーメンや餃子だけでなく、うなぎや、ステーキ重、寿司、伊勢海老など、様々な食品が冷凍食品として自販機で販売されています。

冷凍の自動販売機を取り扱うメリットとして、「24時間・非対面で運転が可能」「冷凍食品は保健所の営業許可が不要」「人件費、家賃の削減」などが挙げられる一方、「商品の形状が限定される」という点では取り扱う商品が限定されるデメリットもあります。

③    冷凍宅配弁当

コロナ禍で飛躍的に販売数を伸ばした冷凍宅配弁当の「ナッシュ」は、直近2年間で月間販売食数を18万食から150万食に伸びた実績がある。

また、元々常温・チルドの配食に力を入れている事業者も、冷凍商材の取り扱いを強化し始めていることから、市場規模は今後も拡大するとの見込みもあります。

■需要はあるが、冷凍庫がパンパンで消費が伸びない?
冷凍技術が進化して、美味しく便利な冷凍食品ですが、家庭用の冷凍冷蔵庫は冷蔵機能がメインのため、冷凍スペースの割合は半分から4分の1程度です。
そこで発生するのが、「冷凍庫パンパン問題」。ハイアールジャパンセールスが行った冷凍庫に関する調査では、子供と同居する家庭の約7割(68.1%)、共働き家庭では7割以上(70.7%)が、「冷凍庫がパンパン」だと回答しています。

日本国内の冷凍食品市場が成長を続けられるかは、家庭の冷凍庫の収納スペース拡大にかかっています。今後は冷凍食品の収納スペースを増やすためにも、「セカンド冷凍庫」のニーズが高まりそうです。

皆さんの身近になっている冷凍食品市場について、ぜひこれを機に注目して頂けますと幸いです。

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