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東京旅行記 R6/7①

 また東京。東京。社員旅行の行き先が東京しかないから東京。書くのはまたしても帰りの電車。といっても道中の半分ほどは寝ていた。また寝るかもしれないが、その時はその時。こうやって文章を書くのは暇つぶしのようなもの。文章を書いていて眠くなるときもあるし、気分の高揚する時もある。どちらにせよ精神的に安定をもたらすのは間違いない。

 どこから話そうか。
 行きの新幹線は何もなかった。両隣に年配の社員が座り、最初ボソボソと何か話していたが、話すこともなくなり無言の状態が続いた。年も離れているし、そもそも話す事がない。「みんなが馬車馬のように働いているのに、こうやって旅行に行けるのは優越感があるね。」と年配社員が言っていたのは記憶に残っている。確かに行く前の日はどうやら忙しそうであった。私の支社から3人旅行に参加するので尚更のこと。

 大宮で降りて在来線で池袋まで移動。添乗員がいて旗を振って誘導するのは誠に結構な事であるが、いかんせん周りの目が痛い。気にしすぎなのではあるが、いかにも田舎から来ました感を放っていた。私は俯いて歩いた。

 池袋のホテルに着くなり旅行に参加した人みんなで食事。フレンチのコース。まあまあである。だが思い返せば今回の東京の食事で1番美味しかったかもしれない。前に座ったオバハンから今日何するかを聞かれて「渋谷の映画館に行きます」と答えたら、その隣に座っていた品の無いオバハンから「あれやろ、渋谷の地下アイドルとか行くんやろ」などと、渋谷という言葉だけを捉えてトンチンカンな事を言い出した。

 食事が終わるとホテルの部屋に荷物を置いてさっそく渋谷に向かった。

 渋谷に着くと治一郎のバウムクーヘンがあったので買って郵送した。

 地図アプリを見ながらユーロスペースという映画館に向かう。観る映画は「つゆのあとさき」。永井荷風の小説を現代的な解釈にしたらしい。原作の小説自体そこまで好きではないが、一応読んだ事あってすこしだけ興味があった。それに昔の小説を現代風に解釈しようって試みが素敵だと感じた。商業的な面だけではなく、作りたくて作るのだろう。だがパパ活をテーマにして果たして面白いのかどうか疑問であった。

 半信半疑で観た映画は面白かった。面白かったという表現は微妙かもしれない。物凄く暗い気分になった。つまり作品の世界に浸れたという事。ホームページのあらすじなんかでは強く生きる女性を描くとあって確かにその通りではある。だが強く逞しい生き方が必ずしも幸福ではないし、むしろ孤独だ。浅薄な男の方が世の中に迎合しているし、生き易い。

 後半のシーンで主人公と清岡の別れるシーンがある。主人公が清岡に「うっせんだよ!金しかねえ奴が!」と言い放ち、それに対して清岡が「その金もない奴が、バカ女。」と答えて去っていく(記憶が曖昧なので一言一句合ってはない)。その時は激しいシーンだなと思ったもの。だが今になって果たして主人公は何もなかったのかな?なんて考えた。確かに清岡の言う通り主人公には友人も恋人も家族もいない。しかしそれは社会的なステータスであって、外見的には見えないものがあったのではないだろうかと。一人でも生きていける。これはもしかしたしたら物凄いことかもしれない。そういった意味でやはり主人公は逞しく生きているのだろうと納得した。人が多くいるような都会であっても一人で生きている人はいる。そう考えると人間は結局一人なんだなと思わされる。

 映画が終わった後にズーンと暗い気持ちになったのはそういうことかもしれない。けれどもそうした非日常を味わえるのは映画のいいところだなと感じた。他にも「ゲバルトの杜」という映画も気になった。ちなみにユーロスペースでの上映が最終日だったらしく、上映後演じていた俳優が何人かステージ上に登場した。おお、東京って凄い、なんて思った。そういう意味でもミニシアターに行ってよかった。

 雨の中、渋谷から池袋へ。会社の年配社員が鳥貴族に行きたいと言っていたので、そこで食事。私も初めて行ったのではあるが、そこそこおいしかった。

 初日はこれで終わり。もっと映画について書きたかったがそれは気が向いたら。

 それでは、また。

 

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