島という冒険⑴未知のワクワク
「誕生日には山に登る」
そう決めて、凍てつく朝に始発に乗った。小田のばあちゃんがよく行くお寺の駅まで行って、漠然と家の方向に向かって、山を目指した。
スマホもない時代、地図さえも持たず、とにかく山頂を目指す。最後の方はケモノ道さえない薮の中をかき分けながら登った。
頂上に着いて、愕然とした。
自分が予想していた風景がそこにはなく、下に降りて、見つけたバス停の地名が読めなかった。
「ここは何処?」
思わず声を上げて笑う。
「知らないとこに来ちゃったよ!」
「どうしよう?家に