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サメシマの楽曲解説#16 『How To Fly』

『絶体絶メイ』から間髪入れずに新作を出したかったのだけど、「こうしたらもっとワクワクするはず!」と計画を話しあってたら思いのほか時間がかかってしまいました。

NOMAD POPらしい原点回帰と、メンバー個々人の現在地を更新するような素敵な曲になったと思います。

(音声版はこちら↓)

・いろいろ変わったこと

まずレコーディングの方法が変わりました。
今まではすべての楽器をレコーディングスタジオで録ってたけど、この曲はドラムと歌だけです。ギター、ベース、キーボードは宅録(家)で録ってます。
これによって音色が細かく調整できるようになって細部まで作りこめた実感があります。
(スタジオだと音色づくりに時間がかかるほどレコーディングに割ける時間は減るので、常に時間との戦いなのです)

そしてマスタリングを風間萌さんにお願いしました。

マスタリングってなんぞやって方もいると思うのですが、音源の仕上げ・空間や空気感をまとめ上げる仕事と思っていただいていいと思います。(思うが多すぎる)
風間さんはNHKドラマ『鎌倉殿の13人』サントラや、僕の高校の先輩である稲葉さん所属のHelsinki Lambda Clubも担当されています。

かのりゅーの紹介でまず↑作品群を拝聴したのですが、
昨年リリースされた柴田聡子さんの『ぼちぼち銀河』というアルバム、これがすごい素敵な作品で個人的に愛聴してたのがまさかの風間さんワークということがわかり、すぐにお願いしました。

マスタリング当日、風間さんのスタジオに入ると壁にクリムトの絵が飾ってあって、これは間違いなくいい作品になると確信。
風間さんならではのあたたかさと透明度が同居した音源になりました。

いい作品になると確信したかのりゅー


・音像について

人の感情のグレーな部分を音にしたいと思いました。
気持ちが沈んでるときも空って驚くほど青かったり街はとても賑やかだったりするわけで、そこに圧倒されたり自分の矮小さが笑えたり、時に元気をもらえたりする。
そういう気持ちのコントラストを捉えたくて、精神的なふるさとであるイギリスの音楽を参考にしながらメンバーに音色を作ってもらいました。

曲はじめからずっと鳴ってる憂鬱なシンセとか、人間の複雑さが出てて好きなポイントです。
僕らはアレンジ固めるまでにデモデータを何周か回すんですが、かのりゅーは1周目でこの音を鳴らしてたので(多分そっからほとんど変わってない)結構驚いた記憶。

「戻らない時間と夕暮れ 渡り鳥の群れ」から入ってくるギターは鳥の鳴き声っぽくて和田くんらしいユーモアだと思います。
リズム隊のビートアプローチは今作の核ですし、各々の最新形で奥行きのある曲に仕上がりました。


・詩

シュワちゃんのラストアクションヒーローという映画が好きで少なからず影響を受けてます。
主人公はシュワちゃん演じる映画の中のヒーローに憧れてるんですが、ひょんなことから映画の世界に入りこんじゃってシュワちゃんと大冒険を繰り広げる話です。

同じく僕も、幼い頃からスパイダーマンの映画をくり返し見てきました。
そこから当然の流れとしてマーベルやDCといったヒーロー映画にハマっていくんですが、それらがイシューを取り入れた、言葉を選ばずに言えば大人向けの作品でもあることをわかった上で、大人になってもヒーローに熱中する自分ってどうなのと思う自分もいるわけで。
でもそれって作品がくだらないのかと言ったら絶対そんなことはなくて、自嘲によって俯瞰した気になったり、何かから傷つく前に予防線張ってるんだと思うんですよね。
そういう感じで二面性を持ってるのが人間で、両者の綱引きで答えが出せなかったり一歩踏み出せなくなってることってあるよね〜とか考えながら詩を書きました。

そんな感じで捻くれたガワを持ちながら、ストレートに明るい未来を願った一曲です。


・リリックビデオ

今回もDr.高清水が撮影・編集してくれました。

ジャケットが出来上がった時点でCDが回転するビデオにしたいとは伝えていて。
ディスクが回ってるのが視認できるプレイヤーを探したんですが、イメージと合うやつがなかなか見つからなくて苦労しました。

ヒーローステッカーまみれのCDプレイヤーとボタニカルな静物。
それぞれ子どもと大人の対比みたいで、両者が混ざりあわないで同居してる感じはすごくこの曲っぽいなと思います。

羽の生えたキャラクターについては↓こちらを。


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