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高学歴→大企業の出世コースはもう終わり

もし、この文章を読んでいる人の中で、世間一般に高学歴と言われている大学に通っている人がいたら、なぜその大学に進んだのか考えてみてほしい。おそらく大学のネームバリューに惹かれて就職したのだと思うが、その先には「いい会社に就職できるから」という想いがあるからではないだろうか。私は2つの面において、この出世コースは終わりだと考えている。ひとつ目が、大企業の出世コースを選んでも幸せには結びつかないこと。2つ目は少し視点を変えて、いい大学に入ったことで逆に「いい会社に就職しなければ」とプレッシャーを感じてしまうことだ。この2点を中心になぜ、高学歴→大企業の出世コースはもう終わりなのかということを解説したい。

いい大学を出て大企業に入っても幸せは訪れない

いい大学を出て大企業に入ることができても人生は順風満帆に行くわけではない。「就職は必要ない」にも同じことが言えるが、ブラック企業や人間関係で悩んでしまうことが必ずある。しかも、日本の終身雇用制度は破綻しており、一度いい会社に入っても退職するまで安泰というわけにはいかないのだ。突然、クビの宣告をされたり、どこかに転勤になったりする。自分がどうしたいのか、人生に100%反映されるわけではない。

働き方と就活の変容
さらに最近の流れとして、ジョブ型雇用というのも進んでいる。いわゆる正社員で終身雇用、年功序列で働くのではなく、業務にスキルがあるかどうかで所得が変わってしまう。この流れがもっと本格化すると、常に社会人はスキルアップをしなければならない。ある種、高学歴の特権でもあった窓際族としてほとんど何もしなくてもお金が得られるといったことはなくなっているのだ。
そして、高学歴の就活という面であれば、コロナ禍で大きく変わったことがある。コロナ禍でオンラインの面接が一般的になって、企業側も積極的に取り組み始めた。それに付随して変わるのが、地方の就活環境だ。地方の就活生は今まで東京まで出てきて対面で面接していた。それがコロナ禍でオンライン面接もどんどん可能になってきた。もし、地方に優秀な若者がいればオンライン面接を駆使して、優良企業に入りやすくなる。そうなれば、企業側から今まで採用しやすかった、高学歴の能力ある若者の相対的な価値が下がる。就活市場はオンラインでもっと競争が激しくなっているのだ。

優秀な若者は地方を目指す時代
一方、都心部の優秀な若者はどうしているかというと、地方に行き始めている。地方に行くとなると、当然職業に困ることになるだろう。しかし、都心部の優秀な若者はスキルがあるから、どこであってもマネタイズできるので、地方に行っても困らない。どこにいてもお金を手に入れられる優秀な人は、必ずしもどこかに定住するわけではないので、地方に出てくる。今まで優秀な人たちは都心の大企業で社会を動かすと言われていたのに、大転換が起こっている。逆に言えば、就活をするということは、自分で稼ぐスキルがないから就職を選んだという見方も一部ではされている。オールドエリートが企業に入って、企業内で業績を残すのに対して、ニューエリートは自分自身でお金を生み出す力を持っているとも言える。これは大きな転換だ。
さらに、今では地方創生やSDGsといったキーワードも熱い。社会貢献をしたい若者がたくさん生まれているのも事実だ。だから収入面は自分のスキルでどうにかして、地方で社会貢献に従事する人も出てきている。その典型が地方の民家をリノベーションして、お店を開くことだ。ゲストハウスやカフェなどを経営する人も珍しくない。地方にとっても活気が生まれ、なおかつ社会貢献できるのだから一石二鳥だ。日本で能動的に行動する人たちの最前線はこうした状況になっている。

「いい企業に就職しなければ」というプレッシャー

高学歴な大学生にとって就活は、自分の大学のネームバリューが効いてトントン拍子でうまく行くかもしれない。しかし、裏を返せば、自分の大学への重圧を感じているかもしれない。極端な例だが、東京大学に通っている人がいたとする。東京大学の卒業生の就職先を見てみると、名だたる企業が並んでいる。このレベルに就職できて当然と見られるのだ。だから自分は失敗できないと追い込まれて辛い日々を送る可能性だってある。いっそのこと就活をやめてしまえば、この苦しみから解放される。会社に入っても「あの人は〇〇大学卒だから」と変な期待と色眼鏡で見られてしまうこともなくなる。

大学ブランドと新卒カードは時にブレーキになる

日本の大学で入学時点で自分の進路が明確に決まっている人は稀だ。ぼんやりと決まっていることはあっても、絶対に〇〇会社で働くという人は少数だ。大多数の学生は大学生活を経験する中で自分のやりたいことや、自分に合っていることを見つけて、そこで見つけた手がかりを元に就職活動をする。特に大学1年生や2年生の間は時間があるので、自分の好きな時間が作れる。そこで今後の人生を変えるような出会いや経験をするものだ。この時期にいい大学に入った学生は自分が迷子になってしまうことがある。たとえば、早慶に通っていたとする。早慶の卒業生のほとんどはバリキャリで働くことになる。しかし、自分探しの期間に、学歴が機能しないことに興味を持ったらどうだろうか。たとえば、「画家になりたい」「演劇をやりたい」「寿司職人になりたい」こういったことは、別に大学すら出なくても就ける。しかし、「自分はいい大学に入ったのだから」と考えてしまうと、その学歴を捨ててまで自分のやりたいことを追求しようと思わない。結果的に自分の人生の選択肢を狭めることにもつながっている。本来、勉強をしていい大学に行けば、人生の選択肢が広がるはずなのに、ブレーキをかけてしまう事態になっているのはおかしな話だ。

もっと踏み込むと、新卒フリーランスという選択肢もある。これははっきり言って、あまりブランド力のない大学の卒業生の方が成功しやすい。前途の理由で高学歴の大学生は自分の大学の新卒カードを失ってしまうことを恐れて、フリーランスという選択肢を選べない。失うものが最初からないような人の方が思い切った決断ができるので、新卒フリーランスにもなれるしその後もうまく行く。
早慶卒、大学院卒でも就職しない理由

さて、ここで少し自分の話をしよう。私は早慶出身で大学院まで卒業している。しかし、どこにも就職しなかった。私の場合は就活というシステムに疑問を持って、自分の人生を会社に委ねることについて納得がいかなかったから、就職することからドロップアウトした。新卒カードを捨てることについて不安もあったが、そのまま卒業後に就職をして、企業に依存しながらモヤモヤを抱えて生きるよりよっぽどマシだと考えた。それで確かに企業に属していないと不安や信用が得られない面があるのは否めない。しかし、自分が好きな時に好きな仕事ができている。このライフスタイルを手に入れた方がよっぽど人生の幸福度が高い。今、あなたが読んでいる文章も私自身が「就職活動をしない」という選択肢を取らなければ、実体験に基づいて書くことはできなかったし、文章を通じて私のことを知ってもらうことはなかっただろう。結果オーライだ。

辞める勇気と新しい選択肢を見つけてほしい

ここまで、本当に優秀な若者は大企業ではなく地方に向かっていること、それから高学歴であることが逆に人生の選択肢を狭めていることについて説明してきた。また、煽るばかりで実例がないと不安に思われないように、私自身の経験をご紹介した。ここまでをまとめると、高学歴→大企業の出世コースでは誰もが幸せになれるわけではない。むしろ茨の道な場合もある。それから、多様性の時代だと言いながら、自分の進路もある程度レールが決められているのもおかしい。私自身の経験を踏まえて、「辞める勇気」を提示したいと思う。次回は、もし企業に属さずに働けばどういったメリットがあるのかということについて解説したい。

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