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本に出合って考えたこと

 この本、1958年に出版された本です。私がこの本を読んだのは、1970年代の高校生の頃でした。いい本です。

 この本の作家、堀田善衛さんが、アジア作家会議に参加するために1956年にインドに行って、カルチャーショックというか、日本とアジア、西欧を考えることがいろいろ出てきたことを書いた本です。

 「インドで考えたこと」から私が考えたことというと、欧米世界だけでなく、アジア世界をもっとよく知りたいということでした。

 このころの私は留学とか海外に行くというとアメリカやイギリスといった欧米の大学を目指したり、パリやニューヨークの芸術・文化にふれることが価値あることと頭に浮かぶのでした。

 この世の中の一員としての私の志向は、欧米世界に向いているのです。明治以来の流れです。

 一方、そんな世の中では、自分が住む日本やその周りのアジアの国々がどうも価値の低いもののように見られていて、これがなんとも腑に落ちないことにも思えました。

 欧米世界の政治・経済、学問・文化や技術を深く知っていた訳ではないのですが、バランス感覚として、そちらの価値観一本やりということに不安定なものを感じて流れに抗おうとした。

 そんな中で、「インドで考えたこと」という本は、私の志向に大きな後押しを与えました。その頃から、私は日本の古典や仏教、アジアに関する歴史や政治、特にアジア・アフリカの独立運動に関する本を追うようになりました。

 今から考えると、どちらの価値が上か下かと考えること自体、へんに思えます。欧米中心的な世の中の流れに抗おうとしていること自体、自分の中にある欧米中心的考えを捨てきれなかったのだと思います。

 世の中の趨勢と違う考えを持つことで偉くなった気になっていたのでしょう。

 今振り返って考えると、その時以降ずっと、多様なものを見ようとしてきたんだなあと思います。多様な文化を味わうことで、良いバランスと安心感を感じる私になっていました。

 「インドで考えたこと」を読んで考えたことを振り返って考えてみました。

 

 

 

 

 

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