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年一回のオペラ歌手 前半🎶

「来世の夢は?」と聞く人も語る人もなかなかいないとは思いますが、なぜだか「来世はオペラ歌手」と言っていました。

オペラが好きな訳でもなく、クラシック音楽といえば、4才くらいから13才くらいまで習っていたバレエで聞いて踊っていた音楽。

まして、オペラソプラノ特有のキーンとした高い声で歌う音楽には興味がなく、アメリカンポップスや歌謡曲が好きでした。
特に郷ひろみが好きで追っかけをしていた友達についてコンサートやTV収録に行ったものです。
またディスコ世代ですので、小林克也さんのベストヒットUSAを友達とよく聞いて踊っていました。

ある時女性だけの会合で知り合ったTさんと話しをする機会がありました。
Tさんのお嬢さんSちゃんがフランスに留学しているというので、良く聞いてみるとオペラ、つまり声楽をフランスで学んでいるとのことでした。

そうこうするうちに日本に一時帰国したSちゃんに会う機会があって、

「あら、奇遇ね、私は来世はオペラ歌手なのよ」なんて現在ではなくて未来でもなくてあるかないかわかりもしない「来世の夢」のことを話していたら、
普通だったら聞き流していた母親世代の「来世の夢」を彼女は真剣に聞いてくれていたようで、
「ママン、遅くはないですよ。今やらないでどうするの⁉️」と喝が入り、
「そ、そういえばそうね」と言っている自分がおりました。

Sちゃんはフランスに帰ってから、彼女の音楽大学の恩師に連絡を取ってくれて、その先生(教授)による声楽の体験レッスンを初めて受けました。

ウォーミングアップの「あ〜あ〜あああ〜」を歌っただけでその気持ちよさ、まさに天にも昇る心地、今でもその感覚を覚えています。

その日から私の「来世の夢」が「現実の夢」へと一歩一歩進んで行くことになっていったのです。

タイミングよくその音大の秋のカルチャー講座でオペラ「ラボエーム」のコーラスを募集しており、それは110周年の記念式典公演のオペラの舞台にコーラスとして立つというのものでした。

その先生もその講座の個人レッスンで教えられているというので大学の人事に選考されれば先生のレッスンを受けられるというので、早速応募いたしました。
行ってみると音大出の方々、ママさんコーラスの歌自慢の方々、声楽の強豪ばかり。

それはそうだわね。

そして担当の教授から一言、「オペラ公演に出演できるのは、過去に音楽を修了していたとか、楽譜が読めて、声楽レッスンで先生から選ばれた方々数名です。」

またもや、それはそうだわね。

楽譜も読めないクラシック音楽も詳しいわけではないのだから、強豪の方々と舞台に上がるだけでも上等。
失うものもないわけだから、チャレンジ精神でいけいけゴーゴーゴーと音符や歌詞と苦戦しながらも楽しく講座を受けました。

式典公演は二日間行われ、一日目は学生メインの式典オペラ公演そして二日目は演奏会形式でコーラスの発表会という形で行われ、この講座を受講する人たちはほぼ全員が二日目での出演でした。

オペラ式典公演に出演できる生徒でさえ、オーディションに合格した優秀な生徒や教授からお墨付きの生徒ばかり、そして役によっては先生方も出演するので、本公演に出演できるのは夢のまた夢。

二日目の発表会にも一日目のメインキャストやコーラスの生徒も出演するのでそれは楽しみでした。

コーラスで舞台に上がるのは中学校ぶりでしたが幼い頃にバレエで舞台に上がっていた高揚感が甦ってきました。

東京音楽大学でのコーラス発表会


二日間の公演は無事終わり、二日目の私たちコーラスの発表会が終わって帰ろうとした時にメインキャストのお一人である、的場正剛さん(オペラ歌手バス)が「二期会のデビューコンサートをするのでチケットありますから、ぜひいらしてください」とアナウンスされており、コンサート会場が我が家から近かったので行くことにしました。

そこに行ってからがまさに年一回のオペラ歌手が始動開始されていくのでした。

続く

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