最近観た映画:きこえなかったあの日

仕事の関係で聾について知りたく、そんな時ちょうど横川シネマで上映されていた映画「きこえなかったあの日」を観た。

東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨、そして今なお続くコロナ禍。被災した耳のきこえない人たちを10年の長きに渡り撮影した今村彩子監督は、自身もまたろう者だという。

映画の冒頭、東日本大震災の直後に訪れた宮城での余震、鳴り響く津波警報。「わたしはまったくきこえなかった」という今村監督のナレーションが流れる。これは予想していた。耳のきこえない人にとって、災害時にまず直面する困難は迫りくる危険を察知することなのだろう。続いての困難は、避難所や仮設住宅での周囲とのコミュニケーション。これは耳のきこえる人にとってもきこえない人にとっても重要なことだ。人間は助け合わなければ生きられない。そしてそれは災害時なら尚更だ。この映画では聴覚障害のある人びとを取材しているが、彼ら/彼女らだけでなく全ての人にとって共通の「災害時に命を守るとは?」「コミュニケーションとは?」を問うている。
平成25年の鳥取県を皮切りに、日本全国で手話言語条例が制定されている。日常のコミュニケーションがとりやすくなることは、災害時にできることも増えるということだ。耳のきこえない人だけでなく、さまざまなハンディキャップを持つ人や外国語話者など、マイノリティになりやすい人たちへの配慮が日常の中に増えれば、災害時にも助けになるのだと実感した。


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