🗂️ Design Materials：優れたデザインが生み出されるかどうかは準備段階でほぼ決まる－効果的なデザイン・ブリーフを書くには？

もしあなたがチームと新しいプロジェクトを開始しているなら、キックオフ・ミーティングが開かれるかと思います。キックオフ・ミーティングはプロジェクトを立ち上げる際に行い、その後のプロジェクトの進行に影響する重要なミーティングですが、その場でデザインの方向性やスケジュール、素材等に関して話し込んだのに、プロジェクトを進めていくうちに方向性がブレて一度承認を得たはずのデザインが根本からひっくり返ってしまった…

そんな経験を何度もしたデザイナーも多くいるかと思います。そんな時のアウトカムはなぜだかしっくり来ず、自分のポートフォリオのケース・スタディも書かずじまいになってしまいます。

またプロジェクトを全体的にみてみると、デザイン作業に費やす時間よりも、クライアントとのレビジョンのやりとり、チームとのシンクアップ・ミーティングなど、コミュニケーションに最も時間と労力を費やしているケースが多くみられます。

デザイン・ブリーフとは？

成功するプロジェクトは優れたデザイン・ブリーフの存在が不可欠ともいえます。これはクライアント、チーム全体をプロジェクトを成功に導く為に最も重要なドキュメント、またツールでもあります。

クライアントの期待値設定、目的の明確化、ターゲット、アウトカム、ユーザーに届けたい価値、差別化できる因等、最終的なゴールなど一見デザインには関係ないと思われるような、しかし欠かせない情報を端的にまとめたもの、これらをまとめたドキュメントをデザイン・ブリーフやクリエイティブ・ブリーフなどと呼びます。キックオフ・ミーティングにおいてクライアントと、チームメンバーと方向性を定める事でその後のズレを避けるのが目的、またプロジェクトのロードマップのようなものとしてみられています。

デザイン・ブリーフは大抵1～2ページ程度の短いドキュメントで、そのプロジェクトにおける戦略などが解説されています。そのプロジェクトの目的を明確にした上で、ゴール達成のためのプランを開始するために必須の書類であると言えます。

💡また、クライアントが一度サインオフされた内容に不満が出てきてしまった時にも、このドキュメントがあれば、当初の目的を再確認する事ができ、様々な問題が複雑に絡み合う事があっても、これがあれば常に初心に戻る事が出来るのです。

今日はデザイン・ブリーフの作成方法またテンプレートをご紹介いたします。

デザイン・ブリーフの作成方法

プロジェクトによってデザイン・ブリーフのコンテンツに違いは出るものの、下記のポイントを押さえておけば、必要とされる内容の大半はカバーされています。

💡成功するデザイン要項とそうでないものの最も大きな違いは、必要な情報が全て含まれているかどうかという点です。見た目が美しくなくても構いませんが、少なくとも情報について必要なものが揃っているようでなければいけないのです。

1. タイトルと概要　
制作日、制作者、メールアドレスなどの連絡先、またビジネスに関する概要を記述します。どれくらいの規模の会社で、どれくらいの事業継続年数があるか。どういった商品やサービスを提供しているのか確認しましょう。

2. 予算
プロジェクトに対して提供される予算及び時間を記述します。

デザインに対する予算が、ウェブ開発部分と別個の予算枠になっているかどうかを確認すると良いでしょう。また、コピーライティングや写真撮影などの費用も含まれているかどうか、確認してみましょう。素材を印刷する必要があるなら、そのコストについても確認しておくと良いでしょう。

予算が決まっていない場合はTBCなどと書きます。
💡TBCとは、「To be confirmed」の略で、「確認中」「未定」を表す英語です。TBCに関連する表現として、「TBA (To be announced, 後日発表)」「TBD (To be determined, 未決定)」があります。

3. タイムライン
プロジェクトのスケジュールと最終締め切りを記述します。
複数の提供物がある場合、それぞれの締め切りについて明確になっているか確認します。

4. コンセプト
プロジェクトのコア・バリューを簡潔に記述します。またユーザーベネフィット、プロジェクトの価値を記述します。

5. オーディエンス
プロジェクトのターゲットオーディエンスを記述します。
顧客について、ターゲットとしている年齢層や人種、ジェンダーなどについて書き出しましょう。どういった分野の人が関係しているか、そのサービスをどれくらいの頻度で購入または利用しているかなども考える必要があります。

6. ビジネス・ゴール
プロダクトやサービスの目的あるいはゴールを記述します。
クライアントの最終的な目標は何でしょうか。色々なパターンが考えられます。その最終的な目標と、それをどのように計るかということを確認しましょう。

7. 仮定とリサーチ
データ、ユーザビリティ分析そして調査、業務命令、プロジェクトのデザインに役立つすべてのものを書き出します。

8. 競合状況
競合製品の例、そしてチームがそこから学ぶために何ができるかを記述します。
競合としてどういった企業が存在しているかを明確にしましょう。これにより全体像もはっきりしてきます。こうなれば戦略を明確化することも可能になり、他よりも目立つようにデザインを行う上でどういったことが必要かということも分かってくるのです。

9.  必要なマテリアル、デザインの検討事項
クライアントやそれぞれのメンバーからの提出が必要な素材について記述します。
ブランドのガイドラインがあるかどうか、ロゴの作成フォーマット、フォントや色の指定があるかどうかも確認しておきましょう。

またクライアントのイメージがどういったものであるかということを考えましょう。高級志向、フレンドリー、地球に優しいなど、色々なイメージが考えられます。また、クライアント自身が自分をどのように見せたいかということも考えてみる必要があります。例えば参考にしたいウェブサイトのリンクなどの添付、このセクションにはプロジェクトのデザイン検討事項を記述します。

チームでの共有

いったん、ブリーフが出来上がったら、チーム全体で共有できるよう、デザインブリーフはオンラインでシェアするのも良いアイデアです。クライアントのウェブサイトやデザインファイル、例などのリンクを入れておけば、必要に応じていつでも参照することができます。

まとめ

プロジェクトを成功させるには、それなりのデザインブリーフが必要です。

詳細かつよく練られたデザインブリーフにより、最終的なアウトカムもそれだけ良いものにすることができます。ターゲットオーディエンスや予算、必要な素材の詳細なリストを保持し、最終的な目的とそれがどのように計られるかということを理解しておくことで、誰にとっても満足度の高いアウトカムを得られることになるでしょう。

ダウンロード

btraxさんでは自社でしようされているデザイン・ブリーフのファイルをご提供されています。

デザインブリーフ日本語 (pdf)
デザインブリーフ英語 (pdf)

クリエイティブブリーフ、デザインブリーフの役割とその作成方法 デザイン会社 ビートラックス: ブログ

［参考資料］

https://www.canva.com/ja_jp/learn/effective-design-brief/

［ケース・スタディ］

デザインブリーフの例
asanaさんでは、上手に構成されたデザインブリーフの例のケース・スタディをご紹介されています。素晴らしいブリーフの例を実際に確認できれば、自分のブリーフを策定する際に役立つでしょう。チームワークがスムーズに行われるように、プロジェクトマネージャーが時間をかけ頭を使って作成されたクリエイティブブリーフであることが一目瞭然です。

クリエイティブブリーフ: 内容、作成例、テンプレート • Asana

私も、色々勉強中なので、皆さまの、ご意見・ご感想をお聞かせください。お読み頂きまして、ありがとうございました。

メルボルンを拠点にプロダクトデザイナーとして働いています。 主にデジタル・プロダクトの制作に携わっています。