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賛成?反対?“大阪都構想”を問う NHK『かんさい熱視線』文字おこし(9月18日放送)

賛成?反対?“大阪都構想”を問う

 NHK『かんさい熱視線』で2020年9月18日に放送された「賛成?反対?“大阪都構想”を問う」で大阪市廃止=「大阪都」構想の住民投票に関して各党代表による討論が行なわれました。

 この討論の最後に住民投票で各党はどのように訴えていくかという問いかけがありました。この場面で、自民党大阪市会議員団幹事長の北野妙子さんが次のように指摘しました。

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 市民にとって得することしかなければ住民投票は必要ないんですね。例えば中核市にランクアップするとか、政令市になるという時には住民投票はありません。
 しかしながら、今回住民投票が一番最後にあるということの意味はですね、損をすることデメリットがあるからこそ住民投票にかかるというご理解をいただきたいんですね。それは「後で文句を言っても知りませんよ」という念押し、確認の意味での住民投票なんです。

 また北野さんの前に発言した共産党大阪市会議員団団長の山中智子さんからは、コロナとの関係が語られました。

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 税収が来年大阪市500億円落ち込むということですが、税収が落ち込むというのは本当に市民の暮らしがしんどい時。…営業を守るために、あらゆることをしないといけない大阪市を潰すということは、もうそういう仕事ができなくなるということです。潰す作業にみんながかかってしまっては今困っている人を助けることもできません。

 これらに対して、大阪市長の松井一郎さんは次のように応えざるを得ませんでした。

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 デメリットと比べれば、今回それはイニシャルコストもかかります。人件費も増えます。でも過去のデメリットに比べれば、これは投資です。

 以下、討論の内容をメモしました。

 ※司会の発言など一部省略しているところがあります。放送を聞きながらメモしたものですので、聞き取り間違いがある可能性があります。またテーマごとの見出しは、「残そう、大阪」の側でつけたものです。

出演
大阪維新の会・松井一郎大阪市長
公明党・肥後洋一郎府議団幹事長
自民党・北野妙子市議団幹事長
共産党・山中智子市議団長
事前インタビューとして、立憲民主党・辻元清美大阪府連代表
司会 近田雄一アナウンサー

司会 住民投票は11月1日の予定。あと40日余りです。今夜は大阪がどう変わるのか、そして、メリット、デメリットは何なのかじっくりと議論を進めていきます。スタジオには、都構想の設計図を検討・議論してきました法定協議会のメンバーである4党の代表者にお越しいただきました。今日はよろしくお願いします。議論の進行にはNHK大阪放送局の政治担当・石川デスクも加わります。
 まず、「大阪都」構想の狙いとして挙げられているポイント、押さえていきましょう。広域機能を府に一元化し、大阪の成長を実現する。住民ニーズに沿った身近なサービスを展開するとしています。まずはですね、大阪都構想に賛成か反対か、そのお立場、さらにその理由を短く一言ずつお願いしたいと思います。

松井 まあ僕は都構想を推進してきたわけですから、もちろんこれを実現させたいという。都構想を賛成多数で実現さしたいというそういう立場です。で、なぜかと。まさにこの10年、橋下さんが市長になり、僕が知事になったのが2011年です。この10年間は府市は対立しておりません。でもその前を思い出してくださいよ、その前。橋下さんが知事で、平松さんが市長の頃、ねえ、対立ばかりです。その前も太田さんが知事で磯村さんが市長のときも。もう会うこともしないわけですよ、知事と市長が。この狭い大阪で。これを一つにまとまってきたのがこの10年間です。これでも人による関係。こういうのをね、これは非常にね脆弱なもんです。人によっての子の関係は。これを制度として確立していこうと、今の状況、これから二度と「府市あわせ」なんて揶揄されない、その大阪をつくるためには、都構想という制度を変えることが必要です。

北野 5年前の住民投票で否決されたからこそ、今の大阪市があるということなんですけれども、でもいったん可決されてしまいますと、二度と大阪市に戻ることはできません。なぜなら、そのような市に戻す法律がないからなんですね。今この住民投票が行われようとしていますけれども、これは政治ではないということを申し上げたい。それは皆さん方の暮らしや、あるいは生活そのものだと思っています。大阪市がなくなれば住民サービスが下がるということを、この討論を通してしっかり反対ということで訴えていきたいと思っております。

肥後 公明党としては、この都構想には賛成の立場であります。昨年のダブル選挙で、都構想を前に実現してほしいという大きな民意が得られました。公明党としては、法定協議会に入りまして、具体的な住民サービスの低下であるとか、コストが増大していったという懸念がありましたので、しっかりそこを改善すべくということで、公明党の主張が盛り込まれた形でより良い制度設計になったということで賛成の立場であります。

山中 私たちは、この大阪市を廃止して無くして、バラバラの特別区にすることは、市民にとってデメリットしかなくって、百害あって一利なしというふうにずっと申し上げてきました。このコロナ禍の下で、市民の皆さんがそれどころじゃないときに、大急ぎでやってしまおうとしているのは、そういう本当の姿ですね、市民にとってマイナスしかないということが知れ渡らない間にやってしまいたいというふうにしか思えなくて、いよいよ絶対にやってはいけないなという思いを強くしています。


経緯 二度目の住民投票へ"都構想"めぐる攻防


司会
 まずは、なぜ二度目の住民投票に至ったのか。これまでの経緯をご覧ください。

VTR
 初めての住民投票は5年前。大阪維新は府市の二重行政が成長の弊害となっているとして、大阪都構想を掲げた。問題の象徴としたのは高層ビルなどの開発競争。大型開発の多くが破綻。府市は合わせて10兆円を超える借金を背負うことに。
 橋下市長(当時)「大阪府庁と大阪市役所がお互いに大きな仕事をやり続けてきた。もうこういう仕事やめさせましょう」
 都構想を進めようとする維新に対し、自民、公明、共産などは反発。
 柳本自民党市議(当時)「大阪市がなくなるということは、住民サービスが今まで通りできなくなってしまう可能性が大いにあるということだ」
 有権者が下した審判は都構想の否決。その差、わずか1万票。その後も維新はあきらめない。局面を一変させようと打って出たのが去年のダブル選。結果は維新の圧勝。府市両議会でも大きく議席を伸ばした。選挙結果を受けて公明党はこれまでの姿勢を転換。都構想に賛成する考えを表明。
 佐藤府本部代表「われわれの当初の予定をはるかに上回る、そういう強い民意を感じた」
 そして、都構想の設計図を記した協定書が議会で承認。11月に二度目の住民投票が行われことに。


大阪市廃止になぜ賛成?なぜ反対?


司会
 ここから議論を始めていくが、発言はできるだけ1回1分以内でお願いしたいと思います。(ルール説明・略)

石川 では維新の会の松井さんからお伺いしたいと思います。先ほど、松井さんのご発言にもあったことに対する一つの問いかけにもなると思うんですけれども、今は吉村さんと松井さんの人間関係で今、府と市の関係は維持されているというお考えでした。これ、結構、市民の方にお伺いするとですね、今のままで良いではないかと。つまり、トップ同士の姿勢がうまく、そこのあたりがうまくできていれば、何も大阪市を廃止するまで行く必要はないのではないかと。こういうなかで、なぜ再度、住民投票で民意を問う必要があるのかと。こういう声が多いんですけれども、そういう声に対してはどうお答えしますか。

松井 これは今はたまたま、同じ方向を向く知事と市長が行政を担っているということですよ。これはもう、たまたまの10年間です、この間。その以前どうだったんですかと。橋下知事、平松さんの時。先ほど言いましたけどね。太田さん、磯村さんの時。まったくそりが合わない。対立ばっかりだったじゃないですか。で、この10年間は、たまたま同じ方向を目指す知事と市長という形で役所を担っているから二重行政ないですけど。これはもう不安定すぎますよ、ええ。だから、制度として役割分担を明確にしましょうということ。
 2015年思い出してくださいよ。自民党は話し合いで解決できる、都構想の対案は大阪会議。これはっきり言ってましたよ。でもこの大阪会議を、機能しましたか。出てこなかった。自民党、最後ボイコットです。挙句の果てに、選挙中は「対案」と言いながら、終われば、もうその大阪会議そのものを否定ですからね、自身で。これが、もうまさに大阪府と大阪市の二重行政の、もうまさに根幹の部分。話し合いで解決ができないんです、人が変われば。だから、これ制度としてもう二度と二重行政、府市の対立を起こさない、そういう仕組みが必要というのが僕の考え方です。うん。

石川 続きまして公明党の肥後さんにお伺いしたいと思います。公明党は前回、5年前の住民投票は反対でした。去年から賛成と、今回は、という形になりました。支持者、党員の方々には、この党の考え方にかなり戸惑いの声とかも出ているようなんですけれども、今の党の姿勢に対して理解は得られるとお考えでしょうか。

肥後 今、得られるようにしっかり説明をしている最中でございます。前回は、公明党としてはやはり、住民サービスが低下するのではないかとか、コストが増大するのではないかという、さまざまな懸念がございました。また、タイトなスケジュールの中での議論でしたので、そういった部分には、住民の福祉、住民サービスの維持・拡充がなければ真の制度改革にはならないということで反対をさしていただきました。
 昨年、先ほども申し上げましたけれども、もう一度、都構想を前に、改革を前にという大きな民意を重く受け止めて、しっかりとよりよい制度設計にしましたので、今この住民投票までに、公明党として誠実に丁寧に説明をやっていくと。それに尽きると思います。

石川 続きまして自民党の北野さんにお伺いしたいと思います。去年のダブル選以降、党内で賛否両論めぐってですね、色々な議論が自民党内ではありました。今回、大阪府連として反対という方針決定をされましたけれども、党内の一部、まだちょっとくすぶっているような意見もあります。これ住民投票に向けて党を一枚岩で臨むことできるのでしょうか。

北野 昨年、ダブル選挙を受けまして、我々の間でも府連会長の方がですね、方針転換をしたという経緯があります。ですが、その後ですね、法定協で是々非々で議論に臨んできました。その後、色んな党内でも議論がある。それを集約する中で、党内討論をやったりとか、そういうプロセスをきちんと経たうえで、難産の挙句、一枚岩で臨もうということで機関決定を致しました。組織として、これからですね、しっかりと一枚岩にならなければ、この戦いには勝てないということで、いま府連では一枚岩になっていると私は考えています。

石川 では続きまして共産党の山中さんにお伺いしたいと思います。この都構想についてはですね、共産党はもう一貫して反対という姿勢を貫いております。反対する一番の理由というのはどんなところにあるんでしょうか。

山中 まあとにかく、どこをとっても市民が不幸になるというふうに思っています。例えば、仕事の中身でいうと、今やっぱり住民の皆さんのための仕事はなるべく住民に近いところに下ろそうというのが流れなのに、消防とか水道とか下水道という住民にとって非常に身近な、今それぞれの市町村がやっている仕事を、府に移ってしまうわけですね。担い手が府になってしまう。だから、住民の皆さんの声が非常に届きにくくなってしまいます。
 お金の面でいくと、大阪市に入ってきている基本的な税目が、これも府に移ってしまいますし、国から入ってきている交付税も府にいってしまって、府から「あなたのところはこれだけね」というふうに、お小遣いもらうみたいにしてお金をもらうような形になってしまって、自立した一人前の自治体ではないという、そういう姿になってしまうんですね。
 だから東京なんかでは、戦中にそういう体制にされて75年経ちますけれども、自治権拡充しようってずっと頑張ってきたけれども、もう限界だと。この制度の下では本当の住民自治はできない、これは時代遅れだからもうやめたいという風に言っているわけですよね。東京で「やめたい」と言っているものを、今大阪がやる必要は本当にないという風に思っています。


コロナ禍での住民投票について


石川
 続きまして、もう一つ、これ市民・有権者の中でたぶん、これも賛否両論あるのかなと思うんですれども、今新型コロナウイルスの感染が続いております。こうした中で11月1日、住民投票実施が決まりましたけれども、コロナ禍のなかでこの住民投票を行うことの是非というところは、これ一つ議論になるところかなと思います。また松井さんの方からお伺いしたいと思いますけれども、今回こういう形で、コロナ禍、あえてコロナの感染が続く中で住民投票を行うというところはどこにあるんでしょうか。

松井 これはやっぱり民主主義の根幹、選挙というものは民主主義の根幹ですから、そのコロナ下においても、十分対策をしながら市民の皆さんの声を聞くというのは、僕は当然のことだと思ってます。そしてこのコロナの影響というのは、まさにその命にかかわっている、そういう部分。これは、コロナという症状・病状によるものと、それからやっぱり経済がすごく衰退してます、コロナで。この経済的不況によって、それぞれ命にかかわっている、そういう状況もあります。
 で、ウィズコロナの時代、アフターコロナの時代にね、やはりこれ経済を再度成長させていく、取り戻す、そのためには、府市がもうバラバラでね、府市合わせといわれる二重行政なんていうのは、やっている場合ではないんです。この10年間は一体で、成長戦略一つにまとめて一体で動いてきて、10年間、まさに大阪成長してきました。
 これ税収に表れているんです、税収に。大阪府、僕は知事もやりましたから。この10年間で大阪府の税収は1.4倍。大阪市でも500億以上の税収が伸びてます。先ほどから言う、住民サービスを拡充するんなら、やっぱり稼げる都市にならないと、住民サービスを向上さすことはできないんです。

北野 やはりコロナを恐れて投票所にいかないとか、そういったような具体的な、コロナに対する影響というものがあると思いますけれども、今市長おっしゃったような税収の落ちですとか、あるいはですね、コロナの影響を織り込んだような財政シミュレーションきっちりと、こんな時だからこそいれていくべきだと思っておりまして、そうはなっていないのが現状でございますので、やはりこのコロナ下の投票ということであれば、コロナがもたらした影響をしっかりと反映させた、そういうような議論ができるような協定書でなければならないと思います。
 しかしながらそうはなっていないので…

松井 ちょっと俺に質問させてよ、後でね、うん。せっかく、これ分かりやすく市民に分かっていただきたいためにね。

北野 私の発言中ですから。

司会 北野さん、続きもしあれば。

北野 はい。その財政シミュレーションをきっちりと作り直して頂きたいということと、あとはやはり説明が中々行き届かないのではないかなという風なこと、これを心配いたしております。前回の住民投票の時には3万2000人の方に市長が自ら説明をされました。今回は約5000人。たった8回しかできないということで、このような説明の状態で、皆さんが納得、しっかりと理解をしたうえでコロナ禍でありますので、住民投票に臨めるかということが大変心配されるところでございます。

松井 うん、まず北野さんにね、お聞きしたいのはね、なぜあの大阪会議をボイコットされたのかですよ。僕らは、あれ話し合いで解決できるんなら大阪会議でまともな議論をしていこうと賛成しましたよ。なぜ自民党はボイコットしたんですか。これがまず一つ。

司会 じゃあまずその一ついきましょう。短くお願いします。

北野 私たちは大阪会議という、そもそもやっぱ民主主義は話し合いですから、どのような制度変更をしたとしても、やはり命令一下ですね、独裁ではありませんので、かならずこの民主主義のプロセスとして話し合いというものは当然あるべきであると思いますので、大阪会議そのもの発想はやはり話し合いで物事を解決していこうという、こういうことでございますので。はい。

松井 うん。それはよかったんです。でも、ボイコットされたじゃないですか。なぜ出てこなかったんですか。

北野 その時のことを今聞かれてもですね、私はお答えすることはできませんね。蒸し返してはいけませんよ。論点のすり替えだと思います。

松井 いや、蒸し返したんじゃなくて、そこが二回目のね、住民投票に臨むスタートなんです。話し合いを拒否された。結局…

北野 あ、それでしたら、よろしいでしょうか。大阪会議の精神はですね、やっぱり、都道府県と政令市の調整会議ということで、これ地方自治法に改正された中に折り込まれておりまして、すでにもうこの大阪でもやってるじゃないですか。その精神はきっちりと受け継がれているというふなことで、私たちは大阪会議というものスピリットというものが今、この地方自治のなかで生きていると考えておりますので。

司会 いったんごめんなさい。改めて都構想の制度設計の説明に行きたいと思います。すいません、議論の途中で失礼します。改めてそもそもを押さえていきましょう。大阪都構想、大阪市を廃止して四つの特別区に再編します。淀川区、北区、天王寺区、中央区の4区です。それぞれの区長と区議会議員は選挙で選出するとしています。
 では業務はどうなるのか。成長戦略や観光業は広域行政として府が一元して行うとしています。これによって二重行政を解消し、経済成長するとしています。一方、特別区の役割は、子育てや福祉といったより住民い身近なサービスを行う、特化するとしています。
 じゃあコストどれぐらいかかるのか。当初のコストとしてはおよそ241億円。ランニングコスト、維持費として30億円が必要としています。


「二重行政」についての各党の考え方


石川
 この二重行政をめぐる問題、考え方について各党にお伺いしたいと思います。まず松井さん。この二重行政、おそらくこれの問題がいわゆる都構想の議論の出発点だと思いますけれども、やはりこれは大阪市を廃止しないとできない話なんでしょうか。

松井 いやできません。今は、何度も言います。僕と吉村知事、同じ方向性で行政運営してますから、二重行政はありません、ありません。でも、その以前は、大阪市は大阪市で成長戦略をつくってたんです。大阪府は大阪府で成長戦略をつくっております。
 大阪府と大阪市っていうのは重なり合ってるんです。別々のエリアにあるんじゃないんです。重なり合っているのに、それぞれ別々で違う方向の成長戦略をつくって、これ実現できますかね。そういうのが平松さん、橋下さん、磯村さん、太田さんの時代だったんです。時代だった。
 成長戦略を一元化すら、当時できなかったんです。今は人が僕と吉村さんなんで同じ方向で一元化なってます。橋下さんの時から。これがもう重なり合ってるエリアで、バラバラの成長戦略、実現できるはずがないんですよ。これを人によるもんじゃなくて、制度として知事に一元化していきましょうと。吉村知事は大阪市民からも選ばれてるんです。だから、大阪府が大きな仕事は一元化してスピード感をもって物事を前に進めていくのが都構想のメリットなんです。

石川 わかりました。この二重行政の考え方について、共産党の山中さん、これは二重行政という問題そのものについてお考えがありますよね。

山中 そうですね、まずね、今の成長戦略について言いますと、成長戦略って何もビッグプロジェクトばかりではなくて、どんな小っちゃな市町村だって自分のところの成長戦略って持ってますよ。まして大阪市と大阪府というのは、基本的にほとんど同じような成長戦略もっていたわけで、それが違ったらだめだっていうのはちょっと全然分かりません。
 それから、あの大学とか高校っていうのは、別に府がやらなければならないなんてどこにも書いていなくて、一般市でも大学をもっているところもありますしね、大学であれ、病院であれ、府もやる、市もやる。で、それで例えば体育館が両方あって、ガラガラだとかって言うときには、どっちを無くしましょうという相談をしたらいいですけれども、そんな非効率がなければ、府も市も住民のために一生懸命やるというのは全然悪いことではないという風に思います。
 仮に体育館がガラガラで非効率だねということがあったからといって、大阪市の政令市としてもっている権限・財源ぜんぶ潰すような、大阪市をもう潰してしまうようなことをしなければならないような、そんな弊害はないと思います。

石川 あともう一つ、この都構想を進めることで、いわゆる成長、大阪の成長につながるのかというところは、たぶん一つ議論のところだと思うんですね。ちょっと順番を変えて、公明党の肥後さん、いわゆるこの大阪の成長戦略、これ都構想というのは繋がるとお考えでしょうか。

肥後 そう、繋がっているという風に思っています。先ほど、二重行政の話もありましたけど、二重行政というよりはやっぱり二元行政だったという風に思ってるんですね。やはり狭いエリアの中で、観光であったり、港湾であったり、産業であったり、そういう部分に違う方向性の方が2人いらっしゃるってことになれば、中々進まなかった。なにわ筋線でもそうですし、阪神高速の淀川左岸線も中々、調整が、大阪市会・市長、で大阪府議会・知事という、この話し合いって中々今まで上手くいかなかったと私は思ってますんで、司令塔をやっぱり一本化して、成長戦略であったり、まして今、コロナの影響で中々ちょっとインバウンドの方来られてませんけど、今後、万博に向けてやはり一本化して、世界に通用する都市として大阪をもっていく、そういう風にできると思っております。

石川 いわゆる都構想に反対の立場で、では次の大阪の街のありようといいますか、大阪の成長にはどういうような道筋をつけていくべきだとお考えでしょうか。

北野 そうですね、都構想には非常にお金がかかるということで、設置コスト、分割コスト、たくさんの税金が使われるという風な予定なんですけれども、そういう風なお金をですね、徹底的な規制緩和、例えばですね、将来を見据えた、例えば今コロナ禍で困ってらっしゃる、病気を中々、病院にわざわざ行って診てもらうことができないよな時には遠隔医療であるとか。
 それとか、いま大変災害が多い。そういうものをビッグデータを活用してですね、そういった防災の先進都市としてやっていく、そういういわゆるスーパーシ都市というような、スーパーシティ都市というようなイメージですね。そういうものをこれから進めていけばいいと思いますし、先ほどインバウンドというお話が出ましたけれども、IRとかインバウンド頼りすぎない、それに偏りすぎないような、これから成長戦略を組んでいくべきと思っておりますが、それには都構想は必要ありません。むしろ、さっき申し上げたようなスーパーシティというのは、やはり基礎と広域がきちんとバランスをとって、その繋がりがなければ可能ではありませんので、やはり政令市のままやっていくのが良いのではないかなと私は考えております。

司会 今回はですね、4党に加えまして、府議会に議席をもつ立憲民主党にも事前に話を聞いています。

(VTR)辻元 二重行政って殺し文句のように言うてはるんですけれども、果たしてどういうことなのかと。IRみたいな、また夢洲埋め立ててごっついもん今頃ね、また大型開発しようとして。これも大赤字になって大損するかもしれないんですよ。
 やっぱり、教育への投資、人への投資とか、それから今回のコロナのことでやっぱり医療体制を、きちんとセーフティーネットを強くしていくことが、結局は街の成長であったり安心であったり、経済発展につながると考えてますので、そういうベーシックサービスをきちんと、命を守るですね、整備していくことが持続可能な経済成長につながると思います。

司会 松井さん、セーフティーネットを継続させていくという話がありましたけれどこれについては。

松井 あのもう、皆さんね、辻元さんもそう、北野さんも山中さんもそうなんですけど、もう意見が抽象的。ええ、僕は実際に行政を10年近くこれ動かしてきてます。今言われるように、住民の皆さんのサービスを拡充する、それから住民の命を守る、このためにはやはり成長して、財源を生み出してくる、財源を生み出せる大都市にしないと、これできないんですよ。
 僕はもう具体的に言いますよ。大阪府と大阪市、じゃあ災害のときにね、どういう形でね、命を守る対策してきたか。これ、北野さんも山中さんもご存知だと思うけども、要は南海トラフ巨大地震の時に、大阪湾から津波が襲われるわけです。市内が一番被害遭うわけですよ。これご存知なんです。
 で、この南海トラフの時の防潮堤対策、これ大阪府と大阪市、バラバラだったからできなかったじゃないですか、実際に。橋下さんが知事の時、「平松さんやろうよ」と言っても、大阪市は今財源非常に厳しい、できないんです。

司会 松井さん、時間お願いします、すみません。

松井 うん。津波なんていうのは一体でやらないと、淀川の右と左、ここで防潮堤の維持管理がそれぞれ別とか、こんなことやってたらね全く事業が進まないんです。これを僕と橋下さんのときに一挙にもう、10年計画でやろうと。大阪市内の一番厳しいところはもう実施済みですよ。こういうことやらないと。

石川 具体的な話という話があったがいかがでしょうか。その具体的な策という話が松井さんからありましたけれども。

北野 はい、今の防災の話が出ましたけれども、こういった意思決定の迅速性といいますか、そういうものではなくて、やはりそれを、地元調整というおのはもう必ずいりますよね。そのことを考えましたら、いくら早く決めたとしても、それを実施していく上で基礎自治体との調整というのは絶対必要になってまいりますので、防災というものを考えていく上では、俗人的な関係だけでトップが決めればいいんだというふうなことではなしに、例えばこれが特別区長さんがどんどん誕生してくるような都構想においては、その方たちとの、じゃあ制度的に担保できるような何か関係性というものを、この都構想の協定書できっちりと書き込んであるのかといいますと、それはやっておりませんよね。はい。

松井 北野先生、そこがもう違うんです。要はそういう大きな仕事は、今度は大阪府知事の権限で、スピード感もって進められるんです。

北野 じゃあそれでしたら特別区長さんはもう何もものを言うな、42市町村の首長さんはもう何も言うなと言う風なことになってしまうと思うんですね。無茶苦茶な話ですよ。

松井 それは大きな仕事に対しては。

司会 時間が限られるなかで大変申し訳ありません。この後、住民サービス、身近な話への移っていきたいと思います。

山中 ちょっとすみません。

司会 山中さん、じゃあ一言だけ。

山中 松井市長は私たち抽象的とおっしゃるけれども、成長の話ってね、非常に抽象的だと思うんですよ。成長してる、してるとおっしゃるけれども、実際に大阪の現状を見れば、県民一人当たりの所得にしても、そんなに全国と比べて高いわけでもないし、失業率に至っては全国最下位でね、何を成長してるとおっしゃっているのかということや、それから、何で成長させようとしておられるのかということが、まあ、何なんでしょう。

松井 成長戦略、読まれてないんですか。びっくりします。

山中 何で成長させようとしているんですか。

松井 いやだからその中に具体的に書いてますよ。

山中 おっしゃってくださいよ。

松井 まずは観光立国を。

山中 いや、観光は分かってますよ。

松井 それからもう一つは、やっぱ大阪湾、ベイエリア。これをものの中継拠点としてつくっていこうと。

山中 結局、カジノということですよね。

松井 カジノは、これはIRです。

山中 IRですけど、カジノということですよね。

松井 それは、その物流の拠点としてもやります。

山中 でもそれで、大阪府全体が成長するんですか。IRで。

松井 してるじゃないですか。

山中 してないじゃないですか。してないじゃないですか、成長なんて。


どうなる?住民サービス


司会
 はい、すいません、申し訳ないです。時間に限りがありますので番組の後半に移りたいと思います。
 大阪市が今行っている住民サービス、独自のサービスを行っています。これが大阪都構想を経て続くかどうか、気になっている方も多いかと思います。実際いま利用されている方を取材していきました。

≪VTR≫
 大阪市が70歳以上の住民を対象に交付している敬老パス。現在およそ33万人に発行されている。利用者の男性はパーキンソン病を患い、日常生活に支障きたすように。通院などで月4回ほどバスや地下鉄を利用。美容室を営む男性。コロナの影響で客足が遠のき、収入はコロナ前の6割まで減少。生活が苦しいなかで敬老パスは欠かせないという。
 男性「50円でぱっと乗って帰ってこれるから、ほんまに重宝している。できるだけ継続してほしいとは思うわな」

司会 実際どうなるかというとこちら。敬老パス、独自サービスとして塾代助成など市が行っているサービスは特別区になってもそのまま引き継がれるとしています。その後、維持されるかどうかは選挙でえらばれる区長や区議会が決めるとしています。そして、保健所、児童相談所は特別区4区、各区ごとに設置するとしています。

石川 今の大阪市の独自の住民サービスが本当に維持されるのかどうかっていのは、たぶん市民の方、最大の関心事なのかなと思います。松井さんからお伺いしたいと思います。これ、そのまま引き継がれるということで、最終的にはそれぞれの、もし都構想が実現した場合は最後は区長、区議会が最終判断というところで。そこで本当に維持されるのかどうかということも含めて、不安視する声が多いんですけれども、そのあたりはいかがですか。

松井 これはこのようなサービスに対しては、裏付けとなる財源があって初めてサービスをこれ提供できてるわけですよ。あの、その財源がなければサービスは提供できません。で、いまこの間府市一体で成長しながら税収も上げてきました。だからこのサービスは特別区になった時には引き継ぐということで、協議書の中にきちっと書き込まれております。だからこういう今のサービスはそのまま引き継がれます。
 で、例えば特別区長がね、選ばれるときに選挙で選ばれるんですよ、選挙で。その特別区長が住民のニーズと全く違う、敬老パスやめますよと、塾代助成やめますと、それじゃや通らないじゃないですか。予算編成するのは区長なんです。そういう形で、この必要なサービスっていうのは、きちっと特別区になっても引き継がれるし、で、このサービスを維持するためにもね、やっぱり成長する大都市じゃないと維持できなくなります、これが。

石川 次、公明党の肥後さんにお伺いします。維新との協議の中でも住民サービスの維持というのはだいぶ強硬に主張されたという経緯がありますけど、このあたりは本当に担保されるとみていいんですか。

肥後 ここはもう本当に公明党が一番こだわたったところであります。協定書にしっかりと維持するということを明記されておりますので、そのまま引き継がれることになります。また、財源につきましても、今市長おっしゃったように、大阪市と特別区で財源に見合った権限と仕事量とお金ですね、財源をそのまま配分するわけなので、しっかり担保はされます。
 もう一つ言いますと、それは今後の特別区であったとしても、大阪市が残ったとしても、その時の、時の首長さんが色んなサービスについては議論をしてくわけですから、未来恒久的に残るということにはならない。ですから今後、首長さんが住民のニーズに合ったところで、しっかりとそれはできるということになると思います。

石川 自民党の北野さんにお伺いします。都構想が実現した場合の住民サービスは維持されるかどうかと。ここは議論が分かれるところですけれども。

北野 そうですね。私たちは25年の1月1日時点では維持されると書いてありますので、とりあえずそこまでの担保はあるのかなと思いますけれども、それ以降のことについては特別区長を縛るものではないという風なこともきっちりと協定書には書いてございます。
 もっと他にも、様々な住民サービスがありまして。例えば市民プール、これは24か所から9か所に減らされ、そしてスポーツセンターに至っては24か所から18か所に減らされれる。そして、老人福祉センターなんかも26か所あるものを18か所。そして、子ども子育てプラザ、こういったものも本当に市民の皆様に愛されている市民利用施設でございますけれども、こういうものも24か所から18か所に減らされるということが、きちんと財政シミュレーションの中に折り込まれているんですよね。
 このことは、やっぱりこの削減効果ありきの、住民サービスが落ちることが前提の協定書であるということの証拠だと思いまして、このことをぜひ市民の皆さんには知っていただきたいと思っております。

石川 共産・山中さん、この住民サービスの問題どう見てらっしゃいますか。

山中 はい。まああの、この構想の始めの時に、橋下、当時の知事が言われた「大阪市の権限と財源をむしり取る」って言葉をやっぱり思い出さないといけないと思うんですね。財源は仕事に見合ってとおっしゃるけれども、職員が増えてしまう分とかっていうのは、この渡される財源の中には入ってきませんし、財源が少なくなっていく中で、いくら選挙で選ばれた特別区長が今まで通りの予算編成をしようとしても、大阪府からそれだけのお金が来なくなる。自主財源がやっぱり無くなりますから、やっぱり特別区ごとに、どれを削ろうかということを相談するしかないという状態に特別区はなるという風に思います。

石川 財源の話が出ましたので、財源の話にいきましょう。平成28年度ベースですけれども、大阪市、8600億円分の財源がありまして住民サービスや道路整備などを行っています。これがどうなるかと言いますと、特別区におよそ6600億円分が移ります。2000億円分は大阪府が一元化、広域行政として行うとしています。 
 じゃあこの財源どうなるか。権限が変わりますので、特別区の税収・交付金はおよそ3000億円です。じゃあ、この分どうなるかといいますと、府からの調整財源から配分する仕組みとなります。さらに、設置から10年間は特別加算があるとしています。


コロナの影響を反映していない財政シミュレーション


石川
 先ほどの住民サービスが守られるかどうかの一つの裏付けになるわけですね。お金があるかないかというところですよね。結果的には特別区に移行した場合、できるのかというところのまさに議論だと思うんですが、端的に申すと、いわゆる一般財源、自主財源分が減る分、府の調整財源がどれだけ機能するのかというところをどう見るのかというところが、市議会や法定協議会で議論になったと思うんですけれども、これにつきまして順番に聞いてみたいなと思うんですが、この問題につきましては、かなり市議会でも反対派の会派からは議論が出ました。自民党の北野さんからいきましょうか。

北野 もちろん財政がもつのかということはもたないと考えています。当然のことながら、十分な仕事見合いの、権限見合いの財源ということで2000億が府に行ってしまうわけなんですけど自主財源が著しく減ってしまう。4分の1になってしまうわけですから、特別区の区長さんがいくら「こういうふうな施策をしたい」「こんなサービスも付加したい」と考えられても、実現できないというのが事実でございます。それを考えますと財政調整の仕組みそのものがですね、元々決算ベースでなされているということでそもそも1年目の予算から組めるのかという問題が残ってきます。それは極めて硬直的な財政調整の仕組みとなってしまうのではないかというふうに言えると思います。

司会 ではこの問題について、松井さん、ここも含めて担保されるのかと。

松井 もともと担保されています。これ、特別会計で別の会計として管理されるわけです。大阪府の一般会計の中に丼勘定で入れられるわけではないんです。これは別の会計で、特別会計という形で都区財政制度の中で管理維持されます。それをどう使うかということについては毎年の決算。大阪市内で使ったお金の決算で出てきた金額で毎年見直していくわけですから、これは必ずそれだけの財政財源は今、大阪市内で使われているお金、これは大阪市内にそのまま投入をされる制度になっているんです、法定協議書の中で。だからこれは担保は間違いありません。
 それから大阪府議会は大阪市民の敵ではありません。大阪市内からも大勢の議員が選ばれているわけです。もっと言うなら大阪府域、大阪市内以外の府域全体でね、大阪市だけを敵にするなんてことはありえないんです。僕は知事もやっていましたから、例えば府民センターのエリアというのは7つぐらいあるんです。そんなところで大阪市だけを敵にまわすような府議会構造ではありませんから、必ず担保されます。

司会 この財政の問題、共産・山中さんはどうでしょうか。

山中 一つは今、市長もおっしゃったように、決算で考えるんですよね。毎年大阪市でも予算と決算って何百億と違う。予算で「これだけの仕事をしたい」と組んでも、結局、工事が土壌汚染なんかが出て遅れてしまったりとか、あるいは「これだけの方に健康診断を受けてほしい」と思ったけれどもなかなか思った通り検診ができなかったとかで、決算ってたいぶ落ちるんですね。それをもとに毎年計算していくということは、夢を見ることができない。もうキツキツでやったものを「またあげるよ」って言ったら、どんどんどんどんパイは逆に小さくなっていくんではないかと思っていて、独自に大阪市がやってきたような施策っていうのをやる余裕はなくなるのではないかなと。この仕組みでいくとそうなります。
 あわせて今回、副首都推進局が出した財政シミュレーション、財政試算を見たら大阪メトロの大変なな黒字という、ないようなものを当て込まなければ特別区はできないような試算なっていますから、特別区は本当に大変だなぁと強く思っています。

司会 今出た財政シミュレーションの話は、もう一回この後やりたいと思います。その前に公明党の肥後さん、この財政の問題いかがでいらっしゃいますか。

肥後 先ほどの図ですけども、これは完全に仕事に見合った事務事業として配分されている。

司会 (略)

肥後 この中で特別区に分けられている事業が約2500ぐらいの事務事業があって、大阪府が428の事務事業。それらを一つ一つ精査したうえで仕事量と財源を分けているわけですので、それで成り立っているということになると思うんですね。先ほど松井市長もおっしゃいましたけど、大阪府に配分される分は大阪府と特別区の協議会で毎年チェックがされますから、透明性もしっかりと担保され、バランスのよい制度設計になっていると言える。

司会 山中さんから出ました財政シミュレーションの説明から参りましょう。出ますでしょうか。こちらですね。府と市が先日公表したものです。特別区全体の収支、発足2025年から15年間の財政収支を折れ線グラフで示したものです。ゼロから上、つまり収支に不測は生じないとしています。そのよりどころの一つ、先ほどもありましたけども大阪メトロからの収入、株式配当が2025年度以降53億から71億を見込んでいるというシミュレーションですね。

石川 そうですね。このシミュレーションを巡っては先の臨時市議会でもだいぶ議論になりましたよね。特に大阪メトロからの収入の部分を含めてなんですけど、ここ自民党・北野さん改めて。

北野 これは大阪メトロという一企業のですね、業績の浮沈、上がったり下がったりということを見越したと言いますか、メトロ頼みの財政シミュレーションになっていると同時に、先ほど申し上げたような市民利用施設を全部削減した中での17億円、これを毎年毎年乗っけている。つまり、住民サービスを削減した分が乗っかっているから、なんとかゼロから上に浮き上がっているけれども、71億円プラス17億円、これが毎年毎年この財政シミュレーションをゼロ以上にしているわけですけど、それらを引きますと真っ赤っかなんですね。ですから、こういった財政が成り立つかどうかわからない。唯一の根拠となっている財政シミュレーションを組む上では入れてはいけない数字を入れ込んでいるというのが、この制度設計上好ましくないのではないかと、もっと厳しく見るべきだと考えています。

石川 松井さん、議会の中でもコロナ禍で先行きが見通せなくなってきていると。税収もそうですし、大阪メトロからの株式の配当もそうですよね。シミュレーションを見直すべきじゃないのかという形の意見はかなり市議会でも議論になりました。このあたり見直すお考えってあるんでしょうか。

松井 長期の財政シミュレーションっていうのは、一定前提条件を入れた上での数字です。これ2025年からなんですよ。今、コロナは2020年。メトロだけではなくて私鉄各社、大変厳しい状況です。人が動かないんだから。でも、これコロナ対策というのは世界中で今この対策に英知を集めてワクチンをつくる、それから治療法を開発しようとやっているわけです。2025年には、まさに大阪メトロを含めた私鉄の経営状況というのは、普通の感覚であれば回復して十分ビジネスとして黒字基調となっている。コロナは特殊事情なんで、そういう意味では財政シミュレーションの中に(メトロの黒字を計算に)入れ込むことはまったく問題ないと思っております。
 それともう一つ、先ほどから「プールがなくなる」「市民ホールもなくなる」と、その部分が17億円入っているというが、これは大阪市の市政改革プランの中で、橋下さんのころにつくられた数字です。これは大阪市であっても将来に向けていろいろ改革の案件はつくっていくというのは必要になるわけですよ。
 それからもう一つ、厳しめ厳しめと言いますけど、今僕は実際に大阪市の予算・決算を動かしているわけです。毎年大阪市は決算すれば約200億近い黒字が出ているんです。そこは甘いめで見込んではいません、我々は。実際、予算運営して決算閉めると200億円黒字になるわけですよ。

司会 これ北野さん反論おありですか。

北野 よろしいですか。今、市政改革プランのお話が出ました。市民利用施設が橋下さん時台に「1区1館は贅沢だろう」ということで削られました。そういうプランの中で、今はバージョンアップして市政改革プラン3.0というバージョンになっているんですけど、そちらの方では削らないという市政改革プランになっていることは市長ご自身がご存じではないですか。にもかかわらず、ここには「削減効果」ということで廃止すること前提のシミュレーションになっていることが問題だと申し上げているんです。

松井 それは25年以降の話じゃないですか。25年までは引き継ぐんですよ、特別区に。引き継ぐ時には残っていますよね。

北野 でも市政改革プランから外れているのに、どうしてあげているんですか、削減効果を。おかしいじゃないですか。

松井 いや、この効果額17億というのは、市の財政シミュレーションに則ってつくっていますから。

北野 だからその改革プランには載っていないと申し上げているんです。ご確認くださいよ。

松井 いや、それは今の財政シミュレーションの中で書いてきているわけですから、17億円は十分埋めることができるじゃないですか。

北野 住民サービスは確実に下がりますよ。

司会 わかりました。各党にも聞いてみたいと思います。山中さん、財政シミュレーションについてのご見解を。

山中 今の話はね、もちろん市政改革プランからはもう消えていますし、「住民サービスは維持する」とか「維持するように努める」と強調していますが、そのことともすでに矛盾するんじゃないですか。その17億円がカットされるように入っていることが一番問題だと思います。
 それからメトロですけど、たしかに2025年に今と同じ状況ではないだろうと思いますけど、コロナ前に戻ることはないだろうというのが大方の見方ですよね。働き方だとか、暮らし方だとか、テレワークやオンラインも入っていって、コロナ前に戻ることはないわけで、今までのシミュレーションでもメトロからは101億円入っているわけですよね。それにさらに71億円というメトロが今まで一番右肩上がりだったときの数字を入れてしまうというのは大甘すぎて、こんなもので大阪市を潰して特別区にしては大変なことになると思います。

司会 肥後さん、コロナを踏まえた上での財政見通しはどう見ていますか。

肥後 財政シミュレーションそのものは成り立つとなっていますので、私たちはそこを支持をしています。一方で、コロナで大変な状況になるというのはあるんですけども、2018年リーマンショックの時も大変な状況で、府でいえば2000億円ぐらい税収が減りましたけども国からの地方交付金等で結果的には360何億円でプラスとなっています。メトロだけで大阪市が影響を受けているわけではなく日本全国で影響を受けているのでそこは切り離して考えるべきだと思いますし、そのために国で全力をあげてコロナの収束に向けて取り組んでいると思っております

司会 住民サービスについては立憲民主党の辻元清美さんにも聞いています。

(VTR)辻元 政令指定都市という相当な権限を得ている大阪市の権限にはまったく及ばない権限しかなくなってしまうので、大阪市民にとっては損することの方が多いと思います。ニアイズベターというが、何がニア(近く)になってベター(良く)なるのかわかる?わからへんなぁ。
 もう一回、財政的な見通しもし直す。税収もこれから10年ですね、どうなっていくだろうかというシミュレーションをしていく。そういうことをきちんとすることが大事であって、今やるいうのは論外ですね。大阪市民のことを考えてないというか、見てはらへんという証ではないかしら。


コロナの中でどう訴えていくか?

司会 住民投票まであと40日あまりです。説明会は5年前と比べると少なくなっている。コロナもあります。こういう状況で各党がどう訴えていくか、最後に聞いていきたいと思います。(略)まず、共産の山中さんからお願いします。

山中 私はコロナで本当に市民のみなさんが苦しんでおられる。税収が来年大阪市500億円落ち込むということですが、税収が落ち込むというのは本当に市民の暮らしがしんどい時。なのに、その時に市民のみなさんの暮らしをしっかり支えて健康とか暮らし、営業を守るために、あらゆることをしないといけない大阪市を潰すということは、もうそういう仕事ができなくなるということです。潰す作業にみんながかかってしまっては今困っている人を助けることもできません。そんなことにならないように、本当にみんなで命、暮らしを大事にする、市民を一番大事にする新しい大阪市に変えていきたいという訴えをしていきたいと思います。

肥後 公明党としては、まずはコロナの感染防止にしっかりと、今は府市をあげてやっておりますけど、まずはここをしっかりやっていくということになります。ただ、短期的に見るのではなく、中長期的に見ても感染症の防止対策であるとか災害対応ってことで大阪の発展なくして日本の成長もないと私も思っていますので、そこはしっかりと市民のみなさんに丁寧に説明をしながらやってていきたいと思っております。

北野 私としてはですね、いろんなプロセスの一番最後に住民投票がなぜあるのかということを考えていただきたいと思っていまして、市民にとって得することしかなければ住民投票は必要ないんですね。例えば中核市にランクアップするとか、政令市になるという時には住民投票はありません。
 しかしながら、今回住民投票が一番最後にあるということの意味はですね、損をすることデメリットがあるからこそ住民投票にかかるというご理解をいただきたいんですね。それは「後で文句を言っても知りませんよ」という念押し、確認の意味での住民投票なんです。何がなんでもこんな状況で住民投票をやろうとするのは、やはり間違っていると思いますし、市民のみなさんにはなぜ投票があるのかということを考えていただいたならば、自ずと答えは出てくる。正しく知れば、答えはNOになると私たちは考えています。

松井 今の話で共産党も自民党さんもデメリット、デメリットと言われますけど、市民のみなさんに思い出していただきたいのは二重行政対立の時にいくらのお金を無駄にしたのということです。そのデメリットは計り知れません。ビル開発、ビル1本で1200億円。みなさん、誰も弁償していないんですよ。全部市民が負担しているんです。今もオークというビルのお金、これ600億ほど。ビルで損した以上の返済を市民のお金でやっています。そのデメリットと比べれば、今回それはイニシャルコストもかかります。人件費も増えます。でも過去のデメリットに比べれば、これは投資です。サービスが良くなるわけですから。ぜひそういうことをご理解いただいて、二度と府市が対立しないそういう大阪をご理解いただいて、賛成多数を勝ち取りたいと思っています。

石川 今週国政を巡っては、菅新政権が発足しました。松井さんはかねてより菅さんとは良好な関係を維持されていますが、政界関係者の中には住民投票前に菅さんを巡る自民党との間で「さや当て」が始まるのではないかという見方もありますが、その辺りどうですか。

松井 それはもう我々は野党ですから、国政においては。個人的なさまざまなお付き合いはありますし、そこは大切にしたいと思っていますけど、国においては是々非々の対応でお付き合いはさせてもらいたいと思っています。

石川 北野さん、新しい総理・総裁を選ぶことになりました。菅さんには今の都構想に対する府連の考え方を理解していただきたいということでしょうか。

北野 そうですね。もちろんそうだと思います。特にこの大変な局面でお受けになったということで、菅総理・総裁にはしっかりと期待していきたいと思いますが、安倍総理・総裁の路線を継承するとはっきり明言されています。安倍総理・総裁の時には都構想について理解があったわけではなく「反対」で、私たちの「府連の考えは自分の考えである」とおっしゃっておられましたので、その継承をしていただきたいと思っています。

司会 最後に松井さん、コロナが続いています。コロナ感染が再拡大した場合、その場合、住民投票をやるか、やらないの判断は最後いつごろになるんでしょうか。

松井 告示日までに判断をいたします。

司会 10月12日までにですね。

〔文責:残そう、大阪〕
※記事中画像は、番組画面より。

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