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深い愛と後悔の渦


変わらないものなんてないんだって
確かに私は分かっていたけど
それでも不変を願ってしまうのは
そんなに悪いことでしょうか

英語でよく聞く構文
“彼は昔の彼とは違う”
良い意味で使われがちな言葉だけど
もちろん今日は悪い意味

君はもういなくなってしまった
身体だけはここにある
声も顔もそのままで
君がいなくなってしまった

彼はついに気付いてしまった
彼はついに手に入れてしまった
おめでとう 彼はこの街を巣立って
生きるか死ぬか分からない旅路へ出る

ずっとこの街にいてほしかった
旅に出てしまった君を少し恨めしく思います
少し、体調が心配ですが
きっと君のことなので上手くやるんだろうなと思います

君がいなくなって
この街は再び静かになった
元通りに戻っただけなのに
最初よりも一層木枯らしを感じます

旅立つことは悪いことじゃない
次に進むための大切な一歩だ
ただ、1つワガママを許してもらえるのなら
私も連れて行ってほしかったな

今日もまだ私はこの街に住み続ける
次の住民を迎え入れるか、私が旅立つか
どちらが早いかは分からない

ただ、この街を流れる時間が
心を溶かしていくのだけは確かだ

全ての経験は君の糧になる
辛い経験を積んだ分だけ
君の人生に深みが生まれ
人間としての価値が上がる

今日も前に進むしかない
痛くても、足が動かなくても
生きるためには進まなくちゃならない
スピードに個人差があって、彼はそれが速かった

彼はもう戻ってこない
また肩を並べるには彼に追いつくしかないのだけど
彼が今目指す大都会はどうにも私には合わない
都会で大怪我するよりは
まだこの街で孤独を嘆いている方がマシなんだ

前に進めないけどこれでいい
本当の私は不変を望んでいるのだから

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