表計算で読み解く『怪文書』
まただ。また始まった。
髙橋多聞である。
なんだこの記事は。
彼とはここnote上で知り合って、もう1年近くになる。
やりたい放題、書きたい放題のnoteライフで完全にエンジョイしていると思いきや、ガチガチに音楽もやっていたりして、全方位オタクを自認するシンガーソングライターのライター、そう、シンガーソングライターライター。
完全に面白に振り切って笑いを誘ってきたかと思えば、身の毛もよだつホラーテイストの創作をしてみせたり、2ヶ月以上かけて音楽までガチガチに作り込んだ偏愛記事を作ってみたり、クリスマス直前に謎のゲームを2時間もゲーム実況してみたり、"枚挙に暇がない"が服を着て歩いているような男である。たぶん使い方が違う。
時に「才能の無駄遣い」を地で行き、難解を極める文章が繰り出されることがある。稀に、よくある。たまに、しばしばある。
ともすれば存在しない言語を扱っているくらいである。
しかし、それでいて彼はエンターテイナーであるからして、必ずやそこに意味を持たせてきている、と見ているのが、そう、紛れもないこの僕だ。
僕は"髙橋多聞ファン第一号(自称)"と声高に宣言しながら近所をほっつき歩いている、いわゆる危ない人だが、それだけに彼の作品を愛する気持ちが誰よりも強いと言ってしまっては過言である。
時間の針を前回の緊急事態宣言辺りまで戻そう。
全く新しい脅威に世間が慌てふためくなか、
彼はこんな文章を書いていた。
意味が分からない。
いや、しかし、それは僕の愛が足りないのだろう。
必死に考えた。映画観ながら考えた。
答えは分からなかった。
悔しい。情けない。
そんな気持ちに押しつぶされそうになりながら、ヘラヘラした顔で確認してみた。
なんということだ。
そして、
つい先月にも。
師走と三波の禍に世間が振り回されるなか、
彼はこんな文章を書いていた。
意味不明である。
だが、前回よりはヒントがある。
そして何より、僕は学習した。
先に確認しよう、と。
やはりか。
見込みは当たっていた。彼は思わせぶりな態度で人を惑わす、小悪魔のような男だ。
小悪魔アゲハ、いや、小悪魔アガアだ。
そして、
年越しの浮かれた空気にすっかり油断していた
2021年1月3日。
その時は来た。
まただ。また始まった。
もう騙されるもんか。そう思った。
もうたくさんだ。
街中で困ったように声をかけてきた異邦人風の見た目の女性がいたとして、少しでも助けになれればと話を聞いているうちによく分からない文書への署名を迫ってくるパターンに落ちるケースは5回も経験すればたくさんだ。
本当はやっていない宿題を、さも悪気ないかのように見せかけながら、家に置いてきたと嘯く男子小学生はもうたくさんだ。
こんなにも広い世界で暮らしながら、なぜ我々は隣人といがみ合うのか。
もうたくさんだ。
そう思いながら怪文書を開いた。
寄り目にすると何か見えるヤツ?
「一つだけ"ク"がありそうな気がするな?」
と誰かが言った。
無論、僕のゲシュタルトも崩壊していた。
気が遠くなるほどの「ウ」と「ホ」をかき分けながら進むと、そこには新しい世界が広がっていた。
#暗号 !!!!!
なんてことだ。
これは挑戦状だ。
2回の嘘は伏線でしかなかったのだ。
幼少期に読んだ「狼と羊飼い」の教訓を逆手に取るかのようなこの戦略。
完全に虚を突かれた。ケーガニーバナナ大学の研究によれば成人男性の99.6%が忘れてしまったことで知られる童話の内容を、この歳まで記憶し続けてしまった類稀なる記憶力が憎い。そんな大学は無い。カーネギーメロン大学みたいに言えばいいってもんじゃない。どっちも毛深いサルカニ合戦か。
しかし、幸いなことに、
僕はアインシュタインの次に好奇心旺盛だ。
受けて立とう。
いや、もはや
しかし、なんせ相手はウホウホ言語だ。
どこから手を付けたものか、、、、
そこに在るのは「ウ」と「ホ」だけ。。。。
ハッ!まさか!
ペロ・・・これは、バイナリーコード!
いや、バイナリーコード解いたことなんて無いんだけど。
しかし、幸いなことに、
僕はビル・ゲイツの次に表計算ソフトが扱える。
嘘だ。そもそも開発者はチャールズ・シモニーだ。
しかも使うのはGoogleスプレッドシートだ。
ということで、
このウホウホコードをどうにかして読み解いていくお話です。
すでに長いんだが、どうしてくれる?
せっかくですから、
皆さんも一緒に挑戦してみることを
オススメしません。
=====本文ここから======
まずは、冒頭部分を見ていく。
ホホホウウウホホ ホウウウウウウホ ホウホホホホホホ ホホホウウウホホ ホウウウウウウホ ホウホウホウホウ ホホホウウウホホ ホウウウウウウホ ホウウホウホウホ ホホホウウウホホ ホウウウウウホウ ホウウホウウホホ ホホホウウウホホ ホウウウウウウホ ホウウホウウホホ ホホホウウウホホ ホウウウウウホウ ホウウホウウホホ
8文字でひとくくり、なるほど。つまり、2^8=256通りの組み合わせになっているようだ。
むむ、256だとなんだか多くないか?
アルファベットなら26文字だし、ひらがな・カタカナなら212文字だし。
ちょっとパターンを見てみよう。
スプレッドシートに全文貼り付けて、
分離しつつ縦に展開。
関数は <=TRANSPOSE(SPLIT())>
どうやら8文字ずつ377の区切りになっているようです。何も分からん。
うーむ、
重複を削除<=UNIQUE()>
並べ替え<=SORT()>
377区切りのうち、ユニークなものは62区切りだと分かりました。
これは、ヒントなのか、、、?
それぞれの登場回数を数えてみましょう。
<=ARRAYFORMULA(COUNTIF())>で。
縦に長ぇので、並べ替えて
上位にだけフォーカスしましょう。
<=SORT()>で。
だいぶ偏ってんのに、
上位5つで50%台かよ。
どんな分布だ。
グラフにしてみよう。
地獄かよ。
Amazonも真っ青のロングテールモデルじゃないか。
うーむ、これは言語にダイレクト変換すればいいってことじゃなさそうですね。自然言語でここまで偏ることはないんじゃなかろうか。
やばい。どうやら知識不足なようです。
しかし、今は2021年。
車が空を飛びそうな未来。誰もが思い描いた夢の未来です。全人類がアカシックレコードに接続され、全ての煩悩と苦しみから開放された時代です。雲間から差し込む陽射しに、兵士たちは争いを止め、銃ではなく花を手に取らんと今まさに奇跡が起きるかのような、そんな夜明けを感じさせる新しい世界です。
そう、つまり、脳内にある知識だけが武器ではありません。
まだあわてるような時間じゃない。
推察するにバイナリーコードを文字に変換する方法はいくつもありそうですので、無知を反省しつつ、成長するチャンスが舞い込んだ幸せを噛み締めつつ、とある筋を頼りに、有識者に師事することにしました。
それはそうと、いい加減ウホウホと目がうるさいので、
さっさと 0/1 に置換しましょう。
<=SUBSTITUTE()>です。
なんか大変なことになってきてんな。
なお、パターンは2つの可能性があり、
ウ=0 / ホ=1
or
ウ=1 / ホ=0
ですが、
これは火を見るよりも明らかに一点の曇りもなく前者です。
なぜなら髙橋多聞はそういう男だから。僕は知っているから。
実際のところはもう考えるのが面倒くさいから。
さて、師事したGoogle先生からのご教示は割愛させていただくとして、世の中にはバイナリーコード変換ツールというものがあるそうです。
これやこれこれ!
知識なんていらんかったんや。
さっそく叩き込みます。
これで、役割を果たせます。ありがとうございます!
いざ。
うおおお!!
無事に読み解けました!!
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æå¾ã¾ã§å¿æ´ãããããé¡ãè´ãã¾ã!
だそうです。
宇宙言語ですね。
どういうことだってばよ!?
やばい、やはり知識が足りないようです。
なんということでしょう。ここまできて挫折とは。
ぎゃていぎゃてい はらぎゃてい
はらそうぎゃてい ぼじそわか
と書いてあるのでしょうか。
悟りを開けるのでしょうか。
いや、まだあわてるような時間じゃない。
あきらめたらそこで試合終了ですよ。
しかし、幸いなことに、
僕はナポレオンの次に忍耐強い。
どっせーい!
他の変換ツールを試してみましょう。
まずは10進法。
227,129,191,227,129,170,227,129,149,227,130,147,227,129,147,227,130,147,227,129,176,227,130,147,227,129,175,10,228,187,138,230,151,165,227,129,175,229,165,135,227,130,146,227,129,166,227,130,137,227,129,163,227,129,166,10,50,233,128,178,230,149,176,227,129,167,
227が3つおきに出てきてんな。
どうやら三つ組で意味を成していそうです。
法則はありますね。
次は16進法。
e3,81,bf,e3,81,aa,e3,81,95,e3,82,93,e3,81,93,e3,82,93,e3,81,b0,e3,82,93,e3,81,af,a0,e4,bb,8a,e6,97,a5,e3,81,af,e5,a5,87,e3,82,92,e3,81,a6,e3,82,89,e3,81,a3,e3,81,a6,a0,32,e9,80,b2,e6,95,b0,e3,81,a7,e6,9b,b8,e3,81,84,e3,81,a6
e3が3つおきに出てきてんな。
e3[16]=227[10]ってことデスね。
ん?なんか見たことある気がするな、e3って、、、
あ、日本語で検索した時のURLとかにでてくるこれ↓じゃね?
"https://www.google.com/search?q=%E3%81%91%E3%82%93%E3%81%95%E3%81%8F"
試しに「けんさく」と検索してみた結果がこちらです。
E3で始まる三つ組が4つ。これはビンゴかもしれない。
==
さて、件のゴリラ語、話者は髙橋多聞です。
となれば、書き出しは
「みなさんこんにちは、髙橋多聞です。」
と、紀元前から決まりきっています。
ならば、"みなさん"と検索してみましょう。
"https://www.google.com/search?q=%E3%81%BF%E3%81%AA%E3%81%95%E3%82%93"
これは・・・!
16進数に変換した冒頭はこちらです。
e3,81,bf,e3,81,aa,e3,81,95,e3,82,93
やった、、、!!
これだ。これしかない。
これが悟りだ。
どうやら調べてみると、UTF-8という文字符号化形式では、16進数2桁の数字を1~4つ組み合わせて使用することで多言語を同時に表示可能にしているのだそうです。つまり、4つ組だけで考えても256^4=4,294,967,296通りの文字指定ができる、と。
なお、こちらのサイト(ノスタルジーあふれる)にて、簡便な日本語で解説してくださっておりましたが、他の検索ページには宇宙言語で書かれていまして、詳細な理解には程遠い状態です。
しかしまぁ、コンピュータってのはこうやって文字情報を扱っているのですね。抽象概念としては理解していましたが、まさかこんなところで具体的な理解をすることになるとは。無知とは恐ろしいものです。
そしてUTF-8の対応表を発見しまして、
地道にコピペを繰り返して
対応表のDBを作成。
そして
<=OFFSET()>と<=MATCH()>
の組み合わせで2次元検索
を走らせた結果、、
キタ━━━y=-(゚∀゚)・∵.━━━ン!!!!
思わず00年代初頭のインターネッツにタイムスリップしながらゴリラ二進数を読み解くと、、、、
こちら!
みなさんこんばんは。今日は奇をてらって、2進数で書いております。「う」と「ほ」のゴリラ二進数です。楽しいでしょう。ネタは既出臭いですが。いつもこんなくだらない文章をよんでくださって本当にありがとうございます。あと20日ほどで最終回。最後まで応援よろしくお願い致します!
うおおおおお!
やった。やり抜いた。
成功するまでやり続ければ、
いつか必ず成功するんだ。
達成感と虚無感が同時に押し寄せる。
これが悟りの境地か。
〜完〜
さて、さて、そんな具合でして、
多聞さんは365日連続更新を目指して、あと少しなのですよね。
応援してるぜ、この記事が応援そのものだ。
あー疲れた。。。
これ、作る時は楽だったんだろうな、
ちょっとやってみようかな。
一発かよ。
でも逆をやると、、、
宇宙言語なんだよな、、、
と、言いつつ、ページ下部を見ると、、、
ん?
んん?
まさかな、、、
まさか、やめてくれよな、、、
うわー・・・!!
一撃かよ。
表計算なんかいらんかったんや!!
お後がよろしいようで。
ということで、
1時間半かけて解析したら3分で済む話だったことを、
5時間かけて書いた記事でした。
お付き合いいただきありがとうございました。
お相手は「策士策に溺れる」でお馴染み、
納木まもるでした。
次回もどうぞよしなに。
※この投稿はラッコツールズさんのご提供で
お送りしておりません。
<編集後記>
冷静になっていてはいけない、でここまで書き進め。
年始に何やってんだ。
しかし、これ、1つ目のツールで宇宙言語に翻訳される問題、どういう原理なんでしょう?どなたか詳しい方がいたらぜひ教えていただきたいです。。
一部の界隈では基礎レベルにも満たない知識が、他では全く知られていない、って結構ありますよね。個人的には、なんとも恥ずかしい気持ちでいっぱいなのですが、皆さんはこういうことあるでしょうか。
ふと思ったんですが「noteで謎解き」って仕掛けられそうですよね。
謎解きが好きってわけでも得意ってわけでもないのですけど、仕掛けられたらやってみたいですね。
〜ホホホウウホウホ ホウホウホホホウ ホウウウホホウウ〜
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読んでいただいてありがとうございます。貴重な時間をいただいていることは自覚しつつ、窮屈にならない程度にやっていきます。