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何かに酔う力


ずっと何者にもなれないような気がしていた
幼い頃から
あと一歩、で前に進める場所にいたからだ 
けれど
どんな分野でも完璧にはなれなかった

駅伝、マラソン、カメラ、
ピアノ、勉強、作文、描画、物読み。
私が大好きな分野たち。
だけどあるとき
限界を見せつけられてしまった

そこから自分にいつも失望していた
自分自身が大嫌いになった
同級生が表彰状を貰うたびに
その横顔を睨んでいた


けれども生活は続く。
その少し気だるげな毎日を過ごす中で
自分の唯一の強さを感じた


それはずばり
何者にでもなれるということ。
何かに酔ってしまえば、何者にでもなれる。
優等生だと思えば
知らないうちに勉強が続く。
陸上選手だと思えば
毎日走り込みするのも苦しくない。
知らぬ間に
何者ににもなれる存在になれていた。

きっとこれはただの勘違いだし
周りから見るとかなり情けないと思う

自分に嘘をつき続けた結果
幻覚を、幻想を、見ているのか。
そう思われても仕方ないだろう
きっと私だってそう思うに違いない

何も完璧じゃない。ただの見せかけ。
情けない。そんな自分は嫌だ。
いつだって誇り高くいたい。
けれど
きっと死ぬまで忘れられないような、
この感情に酔ってみたらどうだろう
こうして
自分の機嫌と上手に付き合えたらどうだろう

きっと幸せだと思える日々が迎えに来るはずだ

その小さな1歩で
明日の自分を作る何かが
私のために歩みを進めてくれる。

そう考えながら
私は今日も電車に揺られて
この記事を書く今に酔っている

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