その少年、死を目前にして

少年は15歳にして首を吊った
それはとある年の6月
彼は死ねば楽になると本気で思っていた
学校を休んで家から道具をかき集めた

丈夫そうなビニール紐を適当な長さに切って二重の輪っかにした
痛みによって途中で辞めないようにタオルを用意した
2段ベッドの上にくくりつけて
携帯のメモに遺書を残した
いざ、この世ともおさらばと
迷うことなく輪っかを首にかけた

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さて、ここまで書いて一旦CMがてら自己紹介
この話はリアルであり、ここにこうして書けているのもオチとしては"失敗"したからというネタバレをしていくスタイルでやっていきます
とは言えわざわざ書くからにはここから何某かの展開があるわけで
人生の大きな分岐になったというわけですね

来年30歳ですって
彼がそれまで生きた年数の倍を生きることになっちまいます
まあ、彼が"失敗"したからこそ追加の15年があったわけで
経験できたいろいろは彼のおかげということになる
感謝に近いような、恨むのもどこか違うような、なんかそんな感じ
たぶん15歳の彼は
「嫌なことがあったならそれはその時のお前が招いた結果なんだから恨まれる筋合いないわ」
とクソ生意気な正論をぶつけてきそうなので恨まないでおくことにしといてあげましょう

来年30歳だよ〜ってしか自己紹介してませんが、まあいいでしょう
細かいことを気にしてたら20代にしてハゲます
しかもM字にハゲます
そしてCM明けます

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首にかけた輪っかはタオルのお陰で食い込むことはなく
ただ静かに呼吸を止めた
首を吊ると苦しくないと聞いたことがあるが
本当にその通りだった
苦しいと感じる前に意識を失う感覚
目を閉じてるのに視界が白くなり
すーっという表現がぴったりだった

こんなにも簡単に死ねるのか
呆気なかったなあと思った
同時に、1人の友人の顔が浮かんだ
「いつか一緒にバンドやろうぜ!」
その年の4月、修学旅行の同じ部屋で
寝る前にした約束が聞こえてきた

気がつくと足を地面につけていた
輪っかを2段ベッドの柱にかけており
お尻が浮いて上半身の体重だけで締めていた
膝を立てれば足がつくという欠陥があった

あぁ、死ねなかった
そう思った
それと同時に
あいつとバンドがしたい
そう思った

その日の夜、その友人にメールを送った
「とりあえずバンド名決めようぜ!」

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とまあこんな感じで、少年は幸か不幸か生きてしまったわけです
その友人はたまたま修学旅行で同じ部屋になっただけの関係ではなく
とにかくいろいろあってバンドの話になったんですが
その話はまた今度

そしてCM中にオチを"失敗"と表現したということは
元少年は今、生きてしまったことを"失敗"だと思っているということになる

さて、ここから先どうなるのか
生きてしまった少年の運命やいかに

つづく!気分で!そのうち!気が向いたら!

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