フランクフルト 写真美術館
Fotografie Forum Frankfurt
2022. Aug
初めてフランクフルトの鉄道駅に降り立った時は、活気が溢れていてこれぞ鉄道駅の醍醐味だ!と思ったが、さて音を立ててトランクを引きずり歩くのは目立つし、恥ずかしい上に怪しい輩の視線も感じてしまい急に心細くなる。
タクシーを探そうと裏通りに入ってしまったところ、午後2時にも関わらず飲んだくれが路上に転がっていたり失業者がたむろしておりかなりやばい気配だ。路上はゴミだらけ。この昼間の怪しさは、20年前によく訪れた中国深圳(しんせん)の鉄道駅のそれと全く同じだ。
幸いタクシーが見つかった。タクシー運転手との一期一会の会話は、どこの国でもリアルな情報と人間臭さに溢れており面白い。
彼は50歳−60歳くらいの独身でブルガリアからの移民だ。自国の余りの経済事情の悪さに絶望して、思い切って20代の頃に兄弟でフランクフルトへ仕事を求めてやって来た。
当時は、移民のコミュニティー間での助け合いもこれといってなかった為、文字通り一匹狼で生きる為に必死で働いた。全くわからなかったドイツ語も、職探しの為に独学で習得した。彼曰く、今は容易に移民グループで仲間とつるむことが出来るので大してドイツ語を学ぶ努力もせずにのらりくらりと失業状態で暮らしている人間も多いそうだ。私がさっき見た若者達はまさにその実例だったようだ。
鉄道駅がフランクフルトで、いやドイツで(!)トップを争う治安の悪さだと聞き、言い意味で勉強になった…。
さてホテルにチェックインしてから午後2時過ぎ、早速街歩きを開始。
目指すのはお茶屋さんとart spots の二本立て。
フランクフルトは街の中心にコンパクトに詰まったアートスポットが地図上でも分かりやすい。
天気も良いので早速歩いて行ってみようと思い立った。鉄道駅の案内所で貰ったアート関連に特化したガイドブックがとても親切だった。
写真美術館はこじんまりした非営利団体による運営ながら、佇まいがクールで面白い。興味を引かれて早速入ってみた。
この日はElina Brotherusの写真展の期間中で、北欧の静謐な空気感とストレートで私的な身体撮影が素敵。
アーティスト本人がヌードになり、それを複数の画家に各々の持ち味で描いてもらう。その推移を写真で撮る。
時を置いてこの連続した行為を一緒に眺める私達。複層の鑑賞者が向き合う時間を共有することができた。
帰り際に受付で販売中の古いポストカードをめくっていたら気取った藤田嗣治が現れて驚いた。買わなかったけど…。
Fotografie Froum Frankfurt
Braubachstarasse 30-32
60311 Frankfurt am Main
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