いまさら…ですが事業はレバーです

請負開発、というのは技能者個人が生活給を得るという立て付けであれば成立する業態だと思います。企業、なかんずく株式会社としてはどうかというと、かなり厳しい。
「社会的な意義」を意気に感じてする、か、相当知財の帰属などについて交渉をがんばって先行投資的な意味を付けておくか、しなければ「単発、その日暮らし」のような運営になります。これでは事業になりません。一見「ひとに秀でた技術」があれば「事業」として成立しそうに見えるかと思いますが、その日暮らしを繰り返すことは事業ではありません。

事業には拡張性・展開性とレバレッジが必要です。
まずは事業の設計として、構造的に、これら拡張性・展開性、レバレッジが備わっている、見込めることは大前提です。
その上で執行はその見込みを損なわない、あるいは最大限に伸長するように手を尽くさねばなりません。
前述した、「ひとに秀でた技術」による職人的生業はこの観点で言えば需要があっても、低レバー比な事業です。これまでの経営の経験上、時節によってはレバー比が「1」を切ってしまうこともあります。短期間であれば貯蓄でもちますが長期・無期限になると「その職業」ごと社会から消えてしまうこともあります。
また、需要はあるものの、拡張や展開については技能が属人的であったり実際の執行が著しく人件費に依存しているため従事者の「数と時間」に強く制約を受け規模を大きくすることができません。

仮に従事者数が確保できて展開性・拡張性があってもレバー比がなければ事業拡大はリスクばかりが大きくなるので、事業判断としては否定的、にならざるを得ないでしょう。
こう考察してみると、レバー比が大きくなるよう事業設計したり執行することが優先だとわかります。

「開発力、技術力あります」
と広報すると、開発委託のお話が来がちです。
委託開発、はそれだけ発注主にとっては魅力的なのでしょう。とてもわかります。今日の日記では割愛しますが。
請ける側もそれでWin-Winなら良いのですが…たいていの場合はそうではありません。
先日、SNSで酷い記事を見ました。初見の依頼主が「まずは仕事を見せてほしいので、無償でやってみてくれないか」と言った、というのです。もちろん断った、と。
これは極端な例ですが、請負開発ではこれに類する話はあるある過ぎると思います。書けば枚挙にいとまがない。
その上、委託開発は商談段階から納品、保守までコミュニケーションが非常に高度で難しいのです。とてもではないですが「展開性・拡張性、レバー比」を確保できる「業務」ではありません。
受託開発は、売り上げにはなりますが事業としてとらえるのは難しいです。

ですが、魅力的な開発テーマはやってみたいのですよね(笑)。
「これが社会実装されたらどうなるんだろう」というワクワクもありますし。
いや、事業家、執行責任者としては、執行組織としっかり組んでレバレッジと展開性の確保を進めていかなければ、と日々肝に銘じて。

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