あらためて、事業体は価値創造をする組織

「師匠」を長時間独占してまた問答をしてもらいました。いつもながらたいへん思索が深まったように思います。思索が深まるというのは、自身の中で価値観の確立していないモヤモヤとしたものの輪郭がいくばくかはっきりして評価の形成が一歩でも半歩でも前進すること、ではないかなと思います。今日はそこを起点にいくつかの論点で。

円安が進んでいるわけですが、円安の遠因には国としての経済力の弱さがあるという見方はいまや経済人の共通の見方のようです。経済力の弱さの要因はなんでしょうか。それは一言で片づけられるものではないようですけれど、俯瞰して方向性を定めたうえで、ひとつひとつ手当てをしていくことが重要に思います。
そのひとつ、が「付加価値創造へ意識を向けること」。

現行の行動についてあまりネガティブなことは指摘したくないものですが、「付加価値を創造すること」については「何を見てそう言っているのか」を述べないと、ふんわりとした曖昧な、「当たり前のことを言っているだけ」になりそうですね。
師匠との話が対照にしているのは「コストカット意識」です。
「どちらも大事ですよね」となりそうですが、マネジメントで何度もトライ・チャレンジを繰り返してみるとわかります。どちらも、はうまくいきません。
この30年、私たちの社会は「コストカットで利益を確保すること」をしてきました。器用に両方はできないから、コストカットで利益を確保すること「しか」やってこなかったと捉えた方が良いように思います。
さまざまな産業が競争力を失っている現状は、「価格競争力」だけを追い求めた結果、「売値据え置き」が限界に達し、「安さ」以外の競争力が無くなり、結果賃金の安さ=購買力の無さ=内需の弱さ・外乱に強い経済の喪失という局面になっているのではないか、という話です。

すべきことは件の連鎖を逆向きに回すこと。では何をすると逆向きに回るでしょうか。「削る」のはなくて「増やす」、「新しいことに取り組むこと」。新分野創出はもちろん、既存事業もそれら新分野のやや過大な期待値評価に負けない「付加価値の創造」をし続けること、詰まるところそういったごく当然のことを飽くことなく続けていくことだ、というまとめでした。
四半世紀強の事業家・執行監督者の日々を振り返れば、「価値創造」の日々はたいへん辛いものがあります。しかし、結局そこに尽きる、というのです。まぁ、そうだな、と。

たしかに、まだ探せば削れるコストはあるかもしれません。
その労力を否定するものではありません。ですが、同額利益が増えるなら価値創造をする方が「未来のためになる」ことが多いです。事業家はそう志すべきですし、その意志の具体的な表現・表明である執行もそうありたいものです。一見、価値創造を定義されていないように思われるセクション、例えばバックオフィスなどにもそうした理念・方針を行き渡らせて、事業体全体を価値創造の組織に保っていかなければなりません。

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