構造の是正は、弱い立場のものががんばることではないはず

そういえば先日出席した当社新規加入の業界団体の総会で、資料に添えて「アンケート」がありました。総務省のものとのこと。以前地元で中小企業庁からインタビューを受けたものと同じ「取り引き適正化」に関するものでした。
設問や構成を見ると、「公平公正を期すために、両方から話を聞かなければ」的な、いかにもどこかでみたことのある行政機関のアンケートで、官僚の皆さんのご苦労が察せられます。ですが、もうその段階は済んでいるはずですよね。済んでいるからこそ「適正化」を前提に政策・制度が設定されてこのようなアンケートがなされているわけでしょうし。

監督官庁の担当者が現場に立ち会う、ということがたいへん重要。
この報道の中では、トラックドライバーの荷捌き待ち時間の実態視察・聞き取り、また価格交渉に直接関与することまで触れられています。
総務省や経産省のソフトウェア開発現場でそのようなことが行われたことがあるとは、残念ながら聞いたことがありません。

私たちが「供給側」事業者でこの政策の受益者なので、このような話をするとどうしてもポジショントークと受け止められることは、ここでは少々不本意で、立場を離れた一市井の人間の観点、一般論を記す意図だとご理解いただけたらありがたいですが、以前のインタビューや今回のアンケートに見られるような、喧嘩両成敗的な、弱い立場でいる側にも理由がある、改善点があるとする論調、姿勢を、すでに構図が明らかになったあとまで維持し継続することはたいへん危険なことだと思います。
(読んでいるかたが、すぐに想起されるのは学校でのいわゆるいじめの問題でしょう)
「構造」の問題だと明らかになって制度・政策が定められたあとも、個別の事象に面した時に「個々(人、社)の問題」だととらえて「自助」を求める、のは問題のすり替え、と言えそうです。そもそも、「(社会)構造」というのは強者によって維持されていたのでしょうから、強者の言い分を聞いてしまうと「元の木阿弥」なのでは?という気もします。
新たに定められた制度、またその制度政策の意図・精神に則って「目指す新しい構造に沿わない個々の強者」に対しては弱者の事情に関わらず粛々と対応してもらって、「構造の是正」が早期に実現することを期待したいと思います。

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