再度、文明開化なのでは?

港湾作業の自動化無人化はたいへんな速度で進んでいるとのこと。門外漢だから寡聞にして…などとは言えません。門外漢ではないのですから。
欧米の港湾が先行していたがここ数年で中国の対応・進歩が目覚ましいとのこと。
おそらく日本の遅れは相当のものになってしまっているのでしょう。
作業の98%が自動化されていてヒトの手は2%ほどしかかかっていない、などという自慢話は残念ながらついぞ日本の港湾都市では聞いたことがありません。
このことは、単に「”港湾”のIT化、DX」に留まる話ではないのは明らかです。
むしろ因果は逆で、IT化・DXの底力、基礎的な地力があるからその適用産業が高度化している、つまりIT・ICT産業の技量、層の厚み、総合力に圧倒的な差がある、そう捉えるべきなのでしょう。

例えば。
EVについて、実際には市場支配力は期待したほどではない、という論調もあるようですが、前述の「無人化港湾」に組み込まれている「無人運搬車両」を見ると、自動運転と相性の良いEVの技術の進歩は一般道とは異なる局面、港湾であれば通常一般車両のEVで問題にされるような「航続距離」の問題は製品・サービスとして致命的になりにくく、どんどん実装と試行錯誤が進み、「挑戦」をしていないものと技術レベルの差はみるみる広がっていくでしょう。そして、一般車両EVのすべてを賄うには不十分でもほかの分野に適用可能な水準に達したものから順次他産業をIT化・DXしていく、そんな連鎖じゃないでしょうか。

急速に進み、また持続している「円安」。ここに政策金利の差以外に「デジタル赤字」に代表される「日本経済の構造的な弱さ」が取り沙汰されるようになってきました。
もしそうであればICT分野での「敗戦確定」が、DXやAIなどプラットフォーム利活用の広まりとともに、いわば「デジタル植民地化」が顕在化したものと言えるかもしれません。(植民地経済という単語はこの日記では、持論、固有の使い方をしているかもしれません。そのあたりはいずれちゃんと識者について是正すべきは是正しようと思っています)
前述の「港湾の無人化」をやろうとしても、やればやるほどこのデジタル赤字が大きくなる方向なのではないかと危惧します。つまり「無人化港湾」を実現するための「プラットフォーム」のほとんどは「欧米中」にすでに握られていて彼らの知財を導入するよりほかに合理的な手立てがない、そう推測されます。
いったんは、かつての中国やさらに以前の日本がそうであったように不合理を承知で自製に拘るということも必要なのかもしれません。まぁそれをやって「ガラパゴス化」した苦い経験があってこのような委縮した社会になったのかもしれませんが…。

失敗するものを難じ、とりあえず先行事例を探し、二番煎じで良くて、得だけを取ろうとした結果、21世紀のICT社会では「植民地労働者」のようになってしまった、ということに気づいて、暮らせば暮らすほど、がんばればがんばるほど富が流れ出すという状況から脱出する手立てを考えていかないと。
手遅れ、と仰る方もおられるでしょう。でも、諦めたらそこで試合終了です。

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