今度こそ、でしょうか

感染症騒動前ですから少なくとも3年以上前に、当社も放牧や調教農場の通信基盤整備事案のお引き合いをいただきました。
この「農地」と通信基盤整備は、技術や性能にはほとんど課題がなくて投資・費用対効果の問題です。
記事中「Wi-Fiに対して」云々とありますが、単体ですらWi-Fi基地局よりも高額なローカル5Gに、電波特性(直進・遮蔽耐性)を勘案した分散アンテナまで盛り込めば、費用は当社が試算したものの比ではなくなっているはずです。

いまやソフトウェア専業みたいなところはありますが、これでも当社四半世紀、ネットワークの最新技術検証・実証実験を数多く手がけました。実証実験もさることながら、ほんとうに難しいのは「事業化」だと痛感します。

「ローカル5G」の前に「プライベートLTE」というものがありました。「構内PHS」は建物内では一定の普及を見たものの、広域通信基盤として姿を消して久しいです。
業界の中にいてもわかりにくいのですが、「(無線)電話」の技術とインターネット通信の技術はそれぞれ「標準(規格)」を決めている組織も決め方も異なります。
インターネット技術は提案も決定も採用も原則的には事業者の自由です。そのかわり、なのでしょうか、提案される技術はできるだけ広く採用されるよう過去のものとの互換性に配慮されることが大きい(いまだにIPv4から完全にIPv6に移行できないでいる遠因もこのあたりにありそうです)。一方で「電話」の規格は「ほぼ全世界いっせいに切り替わり」ます。そして世代間に互換性はありません。3G、4G、5Gというのはそういうことです。世代が変わるごとに回線事業者では大規模な設備投資が行われます。インターネットのように長い時間かけてじわじわと更新されていく、ということがありません。なので、「局所的」「個別用途」通信基盤には各世代ごとに「プライベート」だったり「ローカル」だったりと別な名前を付けるのです。

「無線電話技術」は主目的として大手通信事業者の「汎用用途による加入者端末数の増加や利用帯域の増加」に対応するために世代交代しているのだろうと思います。3Gが4Gになったときはそう感じました。ですが今回以降「新機軸」を大々的に広めて「新たな用途」を見つけ出そうと躍起になっているように見えます。世代交代しながら「新用途のひとたち」を待っている、そんな感じです。
で、アプリケーション側からの需要は高まってきています。もしかすると今回5Gで構内PHSのように一定の市場地位を築くかもしれません。
でも、用途が成熟すると今度は「基盤技術はなんでもよい」となるのでは?
そのとき、ITUに引っ張られて「必ず同期的に世代交代する」「ローカル5G」はどうなっているでしょうか。ちょっと何かボタンの掛け違いみたいなものを感じます。

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