分散の方針は電力も絡んでいる、という話

先日来、JANOG52からの話題のピックアップを通じて、現在全国規模の大手通信事業者界隈と国の協調した政策として地方へのオフロード(負荷分散)を目的として地方の情報通信基盤整備促進が促されていて、地方はその目的の微妙なズレを乗り越えていかにこの機会を活かすか、という視点のお話をしています。

そこへ、JPNIC(日本ネットワークインフォメーションセンター)主催の「Internet Week ショーケース in 札幌 2023」から、「この政策」の背景の強さを知る機会がありましたので記しておこうと思います。考察は後でじっくりやろうと思います。

背景に「電力」がある、ということです。
学術の、つまり机上の世界では情報処理と電力が一体で、だからこそその融合分野に革新があることはもう長く研究開発の対象ではありましたし、なんとなれば私たちの「ポジモ」もまさに「電力と情報処理(通信)の融合」の製品形態のひとつと言えると自負するところですが、それが政策となれば話は別で電力と情報処理は経産省、通信は総務省と管轄が分かれていますからその融合政策は事実上無理ではないかな、と四半世紀もこの業界に居て、しかもその狭間で辛酸をなめている当事者からすると、思っていたわけです。
この「電力需給の分散」という話の不可欠な構成要素に「情報通信基盤の分散」があるわけですが、そこへここでも取り上げた「データセンター地方誘致」や「北回り海底ケーブル」といった話もくっついていたということです。
さらに、上記の通りこのグランドデザインには経産省管轄のエネルギーの話もくっついていますから「再生エネルギー」「脱原発」「EVシフト」も構成要素です。
とても志の高いグランドデザインで、よくぞここまで構想したものと感心します。

少々気になることが2点ほどあって。
まず、このグランドデザインの「原資」は、通信に比べて桁違いに大きい「エネルギー」分野の経済効果だと思うのですが、前述で例に挙げたあたりは少々合理性に難があるように思うのです。そのうちなんとかなるという見通しなんでしょうね、きっと。
つぎに、仮に上記の分野から原資が得られてもそれが情報通信業界(外部経済)に回る仕掛けがいまのところ存在していない、ということです。ここでも取り上げたように、情報通信業界は映像コンテンツ業界やソフトウェア開発界隈との間ですら収益の公正な分配の機能をまだ持っていません。

まして、監督官庁すら異なるよその業界との間で貢献に見合う収益の配分が期待できるのでしょうか。

率直に「そうなればたいへんけっこうなこと」と思いながら、かえって「素朴な疑問」が気になってしまったので、備忘録として記しておきます。
あとで情報収集のテーマにしよう。

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