アナログを大事に

大学の専攻は当業界に直接かかわりのあるものではなかったので、当業界に入ってから多くの方に教えを授かりました。その中には文字通り学術の分野で教鞭をとられている方々もおられ、そうした先生方の多くがこの数年ご定年を迎えられています。
当インターネット業界は90年代スタートで当時30代になりたての方々が牽引していた新分野でした。商用化が1995年、あれから30年経つわけですがそのときに30歳だった方々がご定年を迎える、という概算です。
2000年ころから十数年間ほんとうにお手間とご心労をおかけした先生が先日ご定年を迎えられて、遅ればせながらそのお祝いに参上してお忙しい中一時間もお時間をいただき親しくお話をお聞きすることができました。
この、できることはなんでも遠隔でモノゴトを済ませる時代にリアルに会ってくださることにまず感動します。

お話しでは、まぁ、あいかわらず私の拙さ至らなさをあらためて痛感するばかりで、話しながら赤面する思いですが、そこはずっと教えを授かってきた身には一面変わらぬありがたさに安心したりもします。
ご専門のネットワーク、AI、画像処理から、人材の育成や採用、地域経済、まで広く話題にして貴重なご見識をいただき、そうですね、事業運営に資すると言えばかっこいいですがとにかく自分の知覚や思索の及ぶ範囲が広がったような気がしてとても気持ちが高揚するところが、お話をしていて感銘を受けるところです。
お話をしていても、教え諭していながら教わるヒトの自主性・主体性を引き出す柔らかい姿勢に、お人柄の一片でも見習えたらと痛切に思います。

印象的だったのは「アナログを大事に」というお言葉。
思えば、ネットワークは企画、設計や維持、管理、障害対応、補修など、間接業務にアナログなことがたくさんあります。付加価値創造の源泉はディジタル世界ですが、社会実装という意味では「ヒトの世界」への理解・洞察がネットワークに携わるものにとっては重要なのでした。

先生とお話ししたあとはいつも何かをする・できるエネルギーをいただいています。
が、先生も一線を退かれ私の事業家としての時間も残り少なくなって来ています。
実は、今回ご挨拶にうかがって一区切りを感じて一抹の寂寥感・孤独感、また焦燥感やある種の諦観の方がやや勝っている気がします。
そんなことは言ってられないので、まずは「為すべきことを為す」ところからしっかりとやっていかなければ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?