街に、わたし


鋼の垂と横風の交点にまたうたかたが消えていく。破裂した夢/飛び散った肉片は隔壁を汚す唯一の彩色でした。吹き抜ける疾風(はやて):高速道路の湛えた笑み、カーブ曲がり切れず びゅう[終]。既知も未知も道の内――アフォリズムの踊る夜、イルミネーション、ウインクに倣うカウントダウン。木立、睡蓮、コーヒーカップ、猫足チェアのショールーム。見えない窓が触れない。推定通りの彗星に、会釈も許されない私はここにいる。術もなく。いつから、いつまで?私を見ているに違いないあの光に誘われるまま、いなくなりたくなりました。闇間に漂う自動販売機さん、私は、私は、私は、今すぐ失明させてください。
                                 」
                監視カメラB3:定期レポートは以上です

色とりどりの光の線が貫くの
わたしの 瞳 とおく 消えてく記憶の端っこ

揺れる地面に覚えるのは不安より絶望より希望だったかもしれないね
滲むのがあたりまえだと思ってた
ぽつりぽつり 聞こえる 声、音、別れと涙
さよなら が口ぐせになったのはいつから?

くらくらしてた、聞こえる背景の雑音、
青かったらしいの わたしの生って

青に溶けたら完成される。初めから最後までずっとずっと青のまま、触れていたい。傷つけていたい。わたしたちをかたどるのは赤じゃないんだよ。きみのことばなんて、少しも響かない。



 Daytime

まあるい!まあるい!まあるい時計!きいろいきいろいきいろい架刑!リリリリリリリリリリリ起きろ死んだ分までその荷は重い胸張って背負えよ黄色黄色黄色黄色黄色黄色黄色黄色黄色黄色生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生きろ生
<密室>





引き算 の





黒い空と海の現実があたりまえだと信じてたの。冷たそうな壁に当たる日差しはとおいとおい世界のことで、指先すらとどかない。

あいも、ゆううつも、かなしいも、ないから安心してね。わたしは眠って、起きて、眠ります。

いつか傷つけるかもしれない未来に怯える必要もなくなって、炭酸の抜けたような言葉が真実だと言い張る、あなたの、存在が、吐き気がするほど、だいきらいです。
刺せない嫌悪ほどタチの悪いものはないでしょ。



1週間目のコンクリート
笑うなんて唾吐いてるのと変わらない って、人
殴るように歌う人の顔がわからない って、人

十日後のコンサート
蟻を見たいと集まる人がまるで蟻みたい って、人

緑青がかったテニスコート
降り立った
パラシュート

1年がかりのジェノサイド
46億年もののソファベッド
乗ったり反ったり埋まったり する、人



何億が過ぎても、何秒が過ぎても、
愛してたか、愛してなかったか、愛されてたか、愛されてなかったか、でしかなかった。

点でしかない、わたしたちの存在。

線になるだなんて曖昧な概念に包まれて、
無限に点でしかないことに気づいてないまま死んでいく。

荒ぶる波に、飲み込まれても幸せだと。
黄砂まみれの視界に響く雑音が事実だと。

ガラスの破片が飛び散るなかで、
燃える木々の揺らめきが、
美しいといえる瞬間こそ、生だ。



影を差し出し
色を纏う
ショーウィンドウに抽象された
栄えある標本

乾いた濡れ衣を脱ぎ捨てられないテナントの
褪せた広告の絶叫を
わかるから通り過ぎた

空のない星の積もり積もった砂浜
さくさくと鳴るのは殻
私たちの還る砂浜に
意味はないとしたら
やがて飛び散るこの惑星の
気持ちが少しわかる
時間が通り過ぎていく



こぼれる音の記憶を辿りながらわたし、眠っていた。誰かの声が、誰だったのか思い出せない。わたし、の声がどれなのかわからない。

指を伸ばしているつもりの、
声を震わせているつもりの、
握りしめていたつもりの、
愛していたつもりで、

最後に残るのは滲み出た記憶の影。

砂に落ちた涙はあっというまに吸い込まれて、消えた。





営業終了の5分前です

 軽い灰。
 <丸い愛>

本日も
あなたがあなたを意味していただけたことに
心より感謝いたします。

 空に舞い。
 <まみえない>

営業終了のお時間です

 忘れない。
 <既にない>

明日も
あなたがあなたとして苛まれてくださることを
心よりお待ちしております。



旗が夕日の影に飲み込まれている。
潮風の匂いがするような、気がするだけの味気ない空気。

慣れたら、それまで。

哀愁の奥にある忘却を、
許せるだろうか。
許せるときがお前の消えどきだ。

わたしがわたしであるうちに終わりますように。

頑なに刻み続けるあなたを
受け入れられますように。

すべてが溶けた瞬間に訪れる温度を、
わたしたちはずっと待っている。







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Slept.

心の瞬間の共鳴にぼくは文字をそっと添える。無力な言葉に抗って、きみと、ぼくと、せかい。応援してくれる方、サポートしてくれたら嬉しいです……お願いします