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【500字エッセイ】『普通のこと』は三日坊主を解消するはずだった

 学生時代、2つ上の先輩で、ある競技で全国ベスト16になった人がいた。
 すごく気さくな楽しい先輩で、自分の自慢話などはまったくしない人だった。
 その先輩がある日、1人で自主練していたのを見た。恐らく毎日やっているのだろう。

 しかし、1人で練習なんて、私ならすぐやめてしまうに違いない。
 だから聞いてみた。
「毎日自主練するのって辛くないですか?」
 それに対して先輩は、
「え、なんで?普通だけど?」
と、事もなげに言った。
 先輩にとって、毎日練習することは例えば朝起きたり、夜寝たり、ごはんを食べたりするのと同じレベルで当たり前のことだったのだ。

 私はハッとした。
 それは何をやるにも同じことではないかと思った。
 やろうと思っていることが『特別なこと』だと思うから挫折する。
 やっていることが『普通のこと』なら、挫折するわけがない。

 何をやっても三日坊主だった私は衝撃を受け、

これこそ三日坊主を解消する方法だ!

と思った。

 自分も気持ちを入れ替えてやってみよう!
 自分のやっていることは『普通のこと』。『やるのが当たり前なこと』。

 そう自分に言い聞かせて3日後。

 『普通のこと』と言い聞かせてやっていたことは、私にとっての『普通のこと』にはなれなかったようで、結局、三日坊主という『普通のこと』が起こったさ。

 めでたしめでたし。

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