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スナップエンドウ栽培気象条件の分析

 今回はエンドウ(スナップエンドウ)について分析していきます。スナップエンドウはさやごと食べられて,さやのさわやかな歯ごたえとマメのあまみのコンビネーションがたまりません。好きです。


 思わず告白してしまいましたが,作物の特徴としては低温に強く暑さには弱いということ,花が咲くためには一定の低温が要求されるといった特徴があります。この特徴を利用して露地では,秋に播種後小さい状態で冬越しをして春先に収穫する作型が多く採用されています。今回はこの秋播き型のデータになります。

 下図は11月に播種し4~5月に収穫した2019年ケースの収穫量と平均気温の推移です。収穫量については,栽培面積の異なる他の年度のデータと比較するために「収量率」に変換しています。

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収量率 = その日の収穫量 ÷ 1作合計の収穫量

 収穫量はだんだん増えていきますが,5月に入ると下降気味になり最後は大幅に下がって収穫を終了しました。収穫期間中の平均気温は10℃代前半から20℃を超えるくらいまで上昇していっています。エンドウの栽培適温は15~20℃とされていますのでだいたいこれに合っています。

 下図は同様に2020年のケースです。

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 2019年と同じくだんだん収穫量が増えていっていますが,5月に入っても収穫量が低下せずに継続できました。(最後は次作の都合もあり収穫せずに撤去してしまいました)この差は何でしょうか。

 気温との関係を見ていきます。ここでは収穫量の指標として収量率をさらに前収穫日からの日数で割った1日あたりの収量率に変換します。
 下図は前収穫日から収穫日までの日平均気温と1日あたりの収穫量の関係です。

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 17℃くらいまでは直線的に伸びていってそれ以上になると横ばいになります。やはり栽培適温は15℃~20℃と言えそうです。

 エンドウは花が咲き,種ができて,それが成長して収穫できるようになります。ですからまず花が咲かなければなりませんが,観察しているとある時からぱったりと花が咲かなくなり,実もできなくなります。花が咲く条件を探すため収穫日からさかのぼって温度条件を見てみます。

 下図は収穫日25日前の平均気温(5日間平均)と1日あたりの収穫量の関係です。

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 14℃くらいを境界にして収穫量が低下しています。2019年と2020年5月の収穫量の差はここにありました。栽培適温は15~20℃とされていますが,このデータからは14℃を超えると花が少なくなり,その後20~25日経って15~20℃くらいになった時が結果的に収穫のピークになるということが言えそうです。

 もちろん品種によって差はありますが,この品種のエンドウの収穫量を高めようとするならば12℃~14℃の気温をできるだけ維持することが有利になるため,ハウスなど環境制御できるのであればその範囲で管理し,露地であればそのような気象条件の場所がエンドウの栽培に適しています。

 エンドウは比較的高い収益が得られる品目としても注目されていますが,期待した通りの収穫量が得られるかどうかはその場所の気象条件に大きく左右されます。エンドウに限らず,栽培品目検討の際には気象条件を考慮に入れることが重要です。

 あとスナップエンドウの栽培で困ったところ・・・,緑の葉の中に緑のマメができるので見つけにくい!収穫に結構時間がかかります。これは慣れの問題?毎日収穫しているプロはすぐに見つけられるのでしょうか?

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