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エダマメプロジェクト

えだまめってビールに合うじゃないですか。なんでそんなにぴったりなんでしょうか?他にビールにあうおつまみというと,ソーセージとか,焼き鳥とか他にもイカとかどちらかというと動物系が思い浮かぶのですが,えだまめだけはどストレートの植物です。

とは言ええだまめは未成熟の大豆ですから畑の肉,動物系と同じくタンパク質が豊富です。そうか,ビールに合うのはタンパク質なのか!ということはプロテインをビールに溶かして飲めばOK?

そういうことではありませんね。えだまめのさわやかな香りで夏の気分を満喫しながら飲むビールが最高なのです。
下の図はえだまめの市場流通量と価格のデータを季節ごとに色分けしたものです。

ほぼ夏~秋にかけてしか流通していません。流通技術の進歩により輸入物や冷凍物であれば年間を通して手に入りますが,一度旬のえだまめのあの味を知ってしまうと冷凍では物足りなくなるでしょう。夏のビール+えだまめの破壊力は想像以上なのです。

ということから,えだまめは野菜の中ではどちらかというと嗜好品に近い存在になるかと思います。嗜好品ですから味にこだわりたいですよね。どのようにすればおいしいえだまめを作ることができるのか,これを探るために「エダマメプロジェクト」を実行中です。

  • 「エダマメプロジェクト」では,知り合いの農家の協力のもと,場所の離れた複数の畑3か所で,気象条件以外を極力揃えた形でえだまめを栽培し,出来上がりの味を比較してみようというものです。

  • 選定品種は「ゆあがり娘」。早生系で茶豆のふくよかな味が特徴のえだまめです。4月27日にセルトレイに播種したものを,5月23日に畑に定植,現在栽培途中です。

下の写真は6月16日に追肥をした時の写真です。

6/16 地点H
6/16 地点N
6/16 地点T

堆肥や肥料の条件も同じなのですが,生育の様子に差があり,株の大きさでは,地点N>地点H>地点Tという状態でした。

下図は最も大きかった地点Nと小さかった地点Tの昼夜温度差のグラフです。

地点Nの方が1℃~2℃程度昼夜温度差が大きいことが分かります。これがどの程度影響しているか分りませんが,場所により生育が異なる状況にあることは確かです。

どのような気象条件のえだまめがおいしくなるかについては既往の研究があります。

https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010692327.pdf

こちらの論文では,糖含有量,アミノ酸含有量は収穫直前の温度が影響していると示唆しています。
また,えだまめはの収穫適期を逃してしまうと大豆化が進み,柔らかさや香りが失われてしまうのですが,収穫の目安として積算温度(毎日の平均気温を足し合わせたもの)を使うことができます。

これらの点を考慮して,暫定的に栽培条件からえだまめの味を評価するチャートを作成しました。

積算気温と収穫直前の昼夜温度差をそれぞれ100点として200点満点で評価するものです。
このチャートと実際に食べてみた味を比べてみて,点数と合っているのかを比較してみたいと思っています。そして,温度以外の気象条件のデータも併せて分析して,おいしいえだまめになる条件を導き出すのがこのプロジェクトの目標です。

えだまめを買う人は「おいしい」えだまめを欲しいと思っています。「おいしさ」の基準は人それぞれですが,それを判断できる情報は十分提供されているとはいい難いのではないでしょうか。「おいしさ」が分かるようになれば農産物はもっと売れると思います。それを気象データによって提示することを目指していきたいと思います。

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