百人一首復習ノート:現代語訳、英訳、解釈とその感想(八九、九〇)
普段、現代語で短歌を詠んでいるのであって、文語に親しみたいわけでも、文語で短歌を詠みたいわけでもない。けど、永く日本人の体に染みついたリズムで、教養ある人が一度は親しんだ(無理やり覚えさせられた)歌に接することには、意味があることかもしれない。
教養としてではなく、自分の作歌の養分と作歌のテクニックという実利を期待して、いまさらながら百人一首を復習してみようと思う。情報は、手元にあった百人一首の本三冊から(『百人一首がよくわかる(橋本治)』『英語で読む百人一首(ピーター・J・マクミラン)』『百人一首 (平凡社カラー新書)(馬場 あき子)』)。
だいたい週一回、まとめている。一つのnoteには、2首ずつ取り上げる。2首ずつ取り上げる理由は、百人一首が、二人ずつのペアが50組あるという作りだから。どうせなら意味のあるペアの形でインプットしたい。歌をまとめて取り上げる作業は、連作を作るアイデアにもなるかもしれない。
八九.式子内親王(しょくしないしんのう)
玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば
忍ぶることの 弱りもぞする
(たまのおよ たえなばたえね ながらえば
しのぶることの よわりもぞする)
現代語訳
英訳
jeweled / jéw・eled 宝石で飾られた
thread / θréd(米国英語), θred(英国英語)/ 糸、縫い糸、織り糸、糸のように細いもの、筋道、脈絡、生命の糸、人間の寿命、ねじ山、服
解釈
感想
「絶えなば絶えね」、「ながらへば」、「忍ぶること」とめっちゃ引きずる気持ちを引っ張った後の「弱りもぞする(~となっては困る)」、どんだけ困るっているかは伝わる。二句から四句まで、三句にかけて、重ねに重ねること、絶対失敗しそうだけど、してみようかな。そんな歌を歌会に持ちこんだら、絶対、しつこいって言われそう。
九〇.殷冨門院大輔(いんぶもんいんのたいふ)
見せばやな 雄島のあまの 袖だにも
ぬれにぞぬれし 色はかはらず
(みせばやな おじまのあまの そでだにも
ぬれにぞぬれし いろはかわらず)
現代語訳
英訳
drenched / drɛntʃt(米国英語), drentʃt(英国英語)/drenchの過去形、または過去分詞。(…を)びしょぬれにする、 ざぶりと水に浸す
bathed / beðd(米国英語), beɪðd(英国英語)/ batheの過去形、または過去分詞。入浴させる、 湯を使わせる
解釈
感想
本歌取りすると、本歌の雰囲気と意味を持ってこれるの強い。でも、適当に一部を引っ張ってくりゃいいってわけでもない。気に入った歌があれば、ストックしておきたい… といつも思う。
※引用図書の紹介
『百人一首がよくわかる』
国語の教科書にあるような、文法的に正しい訳ではなく、短歌の長さ程度の軽妙な日本語訳と、短い解説書。
『英語で読む百人一首』
百人一首の英訳。古語や現代語訳より、歌の情景が浮かぶものも多い。
『百人一首 (平凡社カラー新書)』
馬場あき子先生の著作。ただし、教養としての解説であって、歌の解釈は短め。
いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。