視聴メモ:“眠気”とは何か | NHKアカデミア 柳沢正史(後編)
睡眠に関する番組、NHKアカデミアが、6月28日(水)[Eテレ]午後10:00放送されました。
前編「柳沢正史(前編) 睡眠は誤解だらけ」の内容はこちら。
後編、超 楽しみにしてました!
だけど… 睡眠については「ほとんど何にもわかってない!」という結論でした。後編で知ったことを使って、能動的に生活改善に使えるような情報はなかったと思います。
夢を見ることで、ストレス耐性が上がっているかもしれない、現実にストレスフルな状況に出会った時、ショックが小さくて済む、ということはいいことを聞けたかもしれませんね。嫌な夢、どんどん見よう。
前編、後編の放送内容は、こちらで視聴できます。
番組は、「眠気」の制御機構の種類の説明から始まりました。
睡眠恒常性による制御(例:徹夜すると眠い)
体内時計による制御 (例:時差ボケ)
情動による制御(例:非常事態に眠気が吹っ飛ぶ)
2.3.についてはメカニズムがわかってきたが、1. については、ほとんどわかっていないとのこと。
他、わかっていないことは、以下の通り。
睡眠についてわかっていないこと
・眠気が蓄積されるメカニズム : わかっていない
・あくびなぜ出る? : 何のために出るのかよくわかってない
・嫌な夢を見るのが怖い : なぜ夢を見るかわかっていない
(レム睡眠中、ほぼ100%人は夢を見ている)
→起こりうるストレスフルな現実の状況を予行演習しているという学説がある。
→予行演習することで、実際にそれが起きた時に感情の反応が弱まる。
(マウスの実験では、レム睡眠を増やすとストレス耐性が上がる)
睡眠の研究の歴史
・1920年代、脳波の発見
・睡眠中と覚醒中の脳波が違うことが見つかる
・1950年代、レム睡眠、ノンレム睡眠の発見
その後、
・脳内物質が眠気を誘発
・睡眠、覚醒中の神経伝達物質の動き
の研究
・1998年、睡眠・覚醒に関わる脳内物質 オレキシンの発見(柳沢さんのグループ)
⇒ オレキシンのないマウスは、ナルコレプシーと同じ症状が起きる。覚醒から急にレム睡眠状態になる(通常の睡眠は、ノンレム睡眠が先にある)
その他の情報
将来、睡眠研究をしたいという高校生に紹介されていた
睡眠の研究に関わる日本睡眠学会のサイトはこちら。
最新の情報が知りたければ、こちらをウォッチするといいかもしれません。
まとめ
後編は、睡眠について、生活改善のための学びはあまりありませんでしたが、睡眠研究について、少し触れることができました。
柳沢さんは、現在、探索的な研究手法を取られているそうです。科学の正統的なアプローチである「仮説」を立てずに研究をする。方法の一つは、こうです。ランダムに突然変異の遺伝子を適用して、それぞれのマウスを増やす。マウスの脳波を測る。睡眠覚醒異常のあったマウスを増やして、睡眠異常が起きる遺伝的特徴を見つけ、過去のデータの蓄積から分析を行う、といった流れです。何が起きるかわからないし、結果がいつ出るかわからないですが、事象が見つかれば、過去なデータから、原因を探ることができる(今のデータに不足がなければ)。
謎の多い「睡眠」研究の歴史、探索的な研究方法という、興味深い話が聞けてよかったです。