百人一首復習ノート:現代語訳、英訳、解釈とその感想(三三、三四)
普段、現代語で短歌を詠んでいるのであって、文語に親しみたいわけでも、文語で短歌を詠みたいわけでもない。けど、永く日本人の体に染みついたリズムで、教養ある人が一度は親しんだ(無理やり覚えさせられた)歌に接することには、意味があることかもしれない。
教養としてではなく、自分の作歌の養分と作歌のテクニックという実利を期待して、いまさらながら百人一首を復習してみようと思う。情報は、手元にあった百人一首の本三冊から(『百人一首がよくわかる(橋本治)』『英語で読む百人一首(ピーター・J・マクミラン)』『百人一首 (平凡社カラー新書)(馬場 あき子)』)。
noteで書くことに困った時にまとめる予定だったが、最近は週一回、必ずまとめている。一つのnoteには、2首ずつ取り上げる。2首ずつ取り上げる理由は、百人一首が、二人ずつのペアが50組あるという作りだから。どうせなら意味のあるペアの形でインプットしたい。歌をまとめて取り上げる作業は、連作を作るアイデアにもなるかもしれない。
三三.紀友則(きのとものり)
ひさかたの 光のどけき 春の日に
しづ心なく 花の散るらむ
(ひさかたの ひかりのどけき はるのひに
しずこころなく はなのちるらん)
現代語訳
英訳
lam・bent / lˈæmb(ə)nt(米国英語)/ゆらめく、淡く光る、柔らかく輝く、軽妙な
scat・ter / skˈæṭɚ(米国英語), ˈskætɜ:(英国英語)/(…を)まく、まき散らす、散財する、(…を)ばらまく、(…を)まき散らす、ばらまく、追い散らす、四散させる、散らす
un・qui・et /`ʌnkwάɪət(米国英語)/落ち着きのない、そわそわした、不安な、不穏な
解釈
感想
花が散っている。こういう理由とも言えない理由で花が散っているというところが好き。夏目漱石の『彼岸過迄』の中に、留年した理由が、「そこが浪漫家だけあって」と書いてあって、その一文だけで得心したことがあった。説明できるのなら言葉をどんなに尽くしても書くべきだ、と思っていた学生時代に、あぁ、これでいいじゃないかと思ったことがあった。それを思い出した。
三四.藤原興風(ふじわらのおきかぜ)
誰をかも 知る人にせむ 高砂の
松も昔の 友ならなくに
(たれをかも しるひとにせむ たかさごの
まつもむかしの ともならなくに)
現代語訳
英訳
pine /pάɪn/【植物, 植物学】 マツ(の木)
a・las / əlˈæs(米国英語)/ああ!、悲しいかな!
解釈
感想
こういう歌が堪える年齢になってしまった。50歳代、60歳代、70歳代には、もっと響くだろう。今は友だちもいるし、飲む相手もいるけれど、きっと誰もいないと感じる状況が増える時期が来るだろう。今の幸せ時期のあとにもまだこんなことが待っているかと思うと… 一人の人生ですら、諸行無常過ぎる。一生、幸せでい続ける人なんていない。つらい。
※引用図書の紹介
『百人一首がよくわかる』
国語の教科書にあるような、文法的に正しい訳ではなく、短歌の長さ程度の軽妙な日本語訳と、短い解説書。
『英語で読む百人一首』
百人一首の英訳。古語や現代語訳より、歌の情景が浮かぶものも多い。
『百人一首 (平凡社カラー新書)』
馬場あき子先生の著作。ただし、教養としての解説であって、歌の解釈は短め。
いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。