(偽)退職エントリー
※これは数年後を想定して書いた偽物の退職エントリーです。
5年勤めた会社をやめ、新たにできる事業会社で働くことになりました。今の会社は、7年前にそれまで携わっていたシステム開発の仕事から離れ、某社のマーケティング部の仕事を一年ちょっと経験した後に入りました。
前職で、仕事がうまくいかず、その悩みをSNSにこぼした時に、何人かに「うちに来れば?」と言ってもらえたことがきっかけでした。今の会社は、実は新卒で入った会社で、いわゆる出戻りです。昔の同僚や先輩に声をかけていただいたのでした。
今の会社のマーケティング部に入ってすぐ、扱う製品・サービスのオンラインセミナーを企画して開催したり、製品・サービスに関する記事を書いたり、新規の製品・サービスのサービスページを作ったり、ということをしていました。
仕事の転機が訪れたのは、ある売れなかった製品に関わり、大きく売れ出すきっかけを作ることに貢献できたことでした。うちの会社の製品・サービスは、業務向けのソフトウェアが多く、特定業務、業種以外の方から見るとわかりにいサービスがほとんどです。その中にあって、珍しくその製品は、物理的に見えるわかりやすい製品でした。
いつものように関連する記事を書き、プロダクトオーナーとイベントを企画し、一緒にイベントを運営して、そのイベントレポートを書いていました。
ただ、関わった当初は、ほとんど売れていませんでした。いろんな人の目に触れさせようと広告を出しても、なかなか製品・サービスページに来てくれませんでしたし、キャンペーンへの申し込みもわずかでした。
反応が少ない状態が続くので、利用されるシチュエーションを変え、それに合うキーワードを設定し、製品・サービスページを差し替えました。
広告を打った後も、キーワードに合うよう中身の文章を変え、新たに考えた利用するシチュエーションにテイストを寄せ、変更した内容を見て、さらにキーワードを考え直しました。
途中、あるキーワードに変更しました。
それでもすぐに大きく反応が変わったということありませんでした。しかし、製品・サービスページを差し替えて半年、急に大口の受注が増えました。ようやく届いたのです。
差し替えた直後から少しPVが増える動きはありました。
(倍になりましたが、元が少なすぎた…)
ページを見た方は、すぐに使ってみたいと思ったそうですが、社内で説明する時間、次の予算をつけるまでの時間があり、結果が出るまでに、公開後、半年かかりました。
その後、担当者を増やしてもらうまでの半年が大変でした。特に、プロダクトオーナーと営業はつらかったと思います。そんな時、製品に不具合が見つかり、ちょっと炎上もした事象の対応もありました。急いで広報と一緒にメディア対応の文面を作り、プロダクトオーナーと一緒に対応マニュアルも作りました。システム開発以外で、徹夜したのはこれが初めてのことでした。
無事、収束してしばらく経った後、コロナ禍後に初めて大人数で居酒屋を貸し切って、関係者と大騒ぎした日の光景は忘れることができません。
そして、その時の改善経験が、他の製品・サービスにも影響しました。
キーワードの見つけ方、利用シーン・シチュエーションの探り方、コンテンツの変更の仕方、当時関わった担当者、マーケティングチームに新たに回路ができたかのようでした。既存の商品・サービスにも「こういう表現したら?」というものがたくさん見つかりました。
どの製品・サービスも成功したわけではありませんが、あとちょっとで予算達成… という製品が予算達成したり、半期過ぎたあたりで予算の半分達成できれば… という見込みだったサービスが予算の倍売れる結果になることもありました。
(もちろんプロダクトオーナー、担当営業の力が大きかったですが、我々もそこにすごく貢献できたと思っています)
予算達成時には、すごく感謝されましたし、担当部署、営業からのおごりで飲む酒は非常にうまかったですね。もちろん、すべて当たったわけではなく、「ごめんなさい…」もたくさんありました。たくさんありました。
でも、最大のヒットはそのあとに訪れました。
最初は、自社で作る新たなソフトウェア開発の相談でした。
ターゲットはあやふや。機能的に実装は難しくもないけれど、どこもやっていないソフトウェアの開発でした。
(ようは作っても売れないことがわかっていた)
あぁ… またうちはこういう売れないものに手を出して… と、大きなため息を何人かから聞いたことを覚えています。
でも、売れるヒントはリリース後、割とすぐに見つかりました。
以前勤めてた会社の元同僚と飲んだ時、運用のある場面で困ってて~ という話を聞きました。システム開発の現場から離れていたので、軽く「今ってどうなんだろう?」と思ったある運用のシーンについて私から質問した時でした。
その困りごとを聞いた時に、「全然違う用途だけど、うちこんなん出したばかりだよ」と言って、その場でちょっと盛り上がりました。
元同僚と飲んだ帰りの電車で、あれ? これいけんじゃね? という考えがよぎりました。
何か繋がった瞬間でした。
昔はよく、泥酔して電車で寝過ごして終点までなんてことがありましたが、この日は、酔いが回ってるのに、無理やり頭を働かせてズキズキする痛みに耐えながら、頭の中にあることをメモすることに必死で、終点近くの駅まで、乗り過ごしてしまいました。
翌日、部内に話した時の反応も上々。
たまたま同ソフトウェアでキャンペーンページを作ろうとしていたけれど、タイミング的になくなってしまったページを利用して、そのシチュエーションに関係する文面を作りました。広告を出す前から、他の製品・サービスページより反応はよかったですが、広告を出してすぐ、いろんな会社から問い合わせがありました。
すぐに導入できるというメリットもあって滑り出しは上々。
どういう使い方をするのか、いろんな会社の事例を聞いて回りました。
売れ出してからは、もっと売るための施策を手伝ってくれ、と言われましたが、その声を無視して、事例を聞いて回りました。
「あ、こんな使い方するんだ!」
「こっちの部門の人が使うの?!」
「え、その画面って大事なの?」
と発見が多く、事例を聞くという仕事が非常に楽しい時期でした。まさか機能の一部が、一般でも使われるようになるなんて、その時は考えもしませんでしたが…。
次は、新しい会社でこのソフトウェア(アプリ)を販売する会社に移ることになりました。拡大基調の製品・サービスを扱ったことがないので、この会社で貢献できることがあるかわかりません。
でも、このサービスで、プロダクトオーナーよりも、利用者の声を直接、根掘り葉掘り聞いた自信はあります。開発方針を決める時、方向転換する時、このインタビューの経験が役立ちましたし、過去のシステム開発経験で、機能停止の判断をするときにも、関係者に伝えるべきことを伝えることができたと思っています。
何より新たな会社を作ろうと会社が判断した後、メンバーを集めてる時、
「もちろん来るよね?」
「◯◯(新会社の本社所在地)、通いにくくないですか?」
と、当たり前のように、新会社に私が行くことを前提に、複数の方に声をかけられたことが嬉しかった。
ああ、俺も貢献したんだな… と思えました。
今の会社には、弱っている時に拾ってもらった気持ちがあるので、とても離れがたいですが、今、貢献できる自信があるタイミングで、新天地で力を尽くそうと思います。
残る人には、まだ経験が浅い人も多いので、伝えたいことはたくさんあります。
イベント集客の時に響くワードの入れ方、読む人に届く文面、製品・サービスの既存の利用者とは違うターゲットを探る方法、…
世に指南する本や記事はたくさんありますが、それを読んだからと言って、自分たちの製品・サービスでそれができるとは限りません。
成功した人には、その記事にない前提やスキルがあったかもしれない。
我々が成功をし出した時には、チームにそういう回路ができたし、そのちょっと前に、CRMのプラットフォーム、マーケティングオートメーションツールを導入して、いろんな顧客、見込み客の動きが可視化できてきた時期でもありました。
ツールの導入がなければ、成功しなかったし、もし、売れる製品・サービスについて考える回路がマーケティングチームになかったら、ただのテキスト情報だったでしょう。
どうやったら売れるだろう、
どうやったら使ってもらえるだろう
ということを日々考えて、ちょっとずつ工夫をしてもらえたら、と思います。
5年間、お世話になりました。もっと売上を作って、新しい層にも届けて、会社に売上と、経験を還元したいと思います。ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
なーんて、退職エントリーが将来書けないかなぁ…
今、もうちょっとで、自分の経験やスキル、製品・サービスの取り組みが、つながりそうな感覚があるので、こんな大成功の一部でもできるといいなぁ…。もちろん、成功しても偽退職エントリーに書いた通り、会社を辞めるつもりはないけど、ヒットを作りたいという気持ちは強くあります。
書きたいテーマをnoteから探していて、「#退職エントリー」を見つけたので、今、やってるやつがちょっと先、いい結果にならないかなぁ… という妄想をしてみました。
(おしまい)
いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。