百人一首復習ノート:現代語訳、英訳、解釈とその感想(九、一〇)
普段、現代語で短歌を詠んでいるのであって、文語に親しみたいわけでも、文語で短歌を詠みたいわけでもない。けど、永く日本人の体に入ってきたリズムで、教養ある人が一度は親しんだ(無理やり覚えさせられた)歌に接することには、意味があることかもしれない。
教養としてではなく、自分の作歌の養分と作歌時のテクニックという実利を期待して、いまさらながら百人一首を復習してみようと思う。情報は、手元にあった百人一首の本三冊から(『百人一首がよくわかる(橋本治)』『英語で読む百人一首(ピーター・J・マクミラン)』『百人一首 (平凡社カラー新書)(馬場 あき子)』)。
noteで書くことに困った時にまとめようと思う。一つのnoteには、2首もしくは4首を取り上げたい。2首ずつ取り上げる理由は、百人一首が、二人ずつのペアが50組あるという作りだから。どうせなら、意味のあるペアの形でインプットしたい。それが連作を作るアイデアにもなるかもしれない。
九.小野小町(おののこまち)
花の色は うつりにけりな いたづらに
我が身世にふる ながめせしまに
(はなのいろは うつりにけりな いたずらに
わがみよにふる ながめせしまに)
現代語訳
英訳
in vain / いたずらに、むだに、効果なく、軽々しく、みだりに
fades /fedz(米国英語), feɪdz(英国英語) fadeの三人称単数現在。fadeの複数形。(若さ・新鮮さ・美しさ・強さなどが)衰える
paling / péɪlɪŋ(米国英語) 動詞「pale」の現在分詞 青白い、青ざめた、(色が)薄い、薄い色の、弱い、薄暗い、活気のない
解釈
感想
美しい自分を自覚している人が老境に入って、嘆く歌。
一〇.蝉丸(せみまる)
これやこの 行くも帰るも 別れては
知るも知らぬも 逢坂の関
(これやこの ゆくもかえるも わかれては
しるもしらぬも おうさかのせき)
現代語訳
英訳
párt・ing /‐ṭɪŋ(米国英語), ˈpɑ:rtɪŋ(英国英語) 告別、別離、死去、分岐点、分割線、髪の分け目
解釈
感想
確かに、意味よりも、音で覚えているような歌だ。でも、趣も感じる。英訳の難しいところ。英訳すると、意味を取らざるを得ない。
※引用図書の紹介
『百人一首がよくわかる』
国語の教科書にあるような、文法的に正しい訳ではなく、短歌の長さ程度の軽妙な日本語訳と、短い解説書。
『英語で読む百人一首』
百人一首の英訳。古語や現代語訳より、歌の情景が浮かぶものも多い。
『百人一首 (平凡社カラー新書)』
馬場あき子先生の著作。ただし、教養としての解説であって、歌の解釈は短め。
いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。