百人一首復習ノート:現代語訳、英訳、解釈とその感想(九一、九二)
普段、現代語で短歌を詠んでいるのであって、文語に親しみたいわけでも、文語で短歌を詠みたいわけでもない。けど、永く日本人の体に染みついたリズムで、教養ある人が一度は親しんだ(無理やり覚えさせられた)歌に接することには、意味があることかもしれない。
教養としてではなく、自分の作歌の養分と作歌のテクニックという実利を期待して、いまさらながら百人一首を復習してみようと思う。情報は、手元にあった百人一首の本三冊から(『百人一首がよくわかる(橋本治)』『英語で読む百人一首(ピーター・J・マクミラン)』『百人一首 (平凡社カラー新書)(馬場 あき子)』)。
だいたい週一回、まとめている。一つのnoteには、2首ずつ取り上げる。2首ずつ取り上げる理由は、百人一首が、二人ずつのペアが50組あるという作りだから。どうせなら意味のあるペアの形でインプットしたい。歌をまとめて取り上げる作業は、連作を作るアイデアにもなるかもしれない。
九一.後京極摂政前太政大臣(ごきょうごくせっしょうさきのだいじょうだいじん)
きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに
衣かたしき ひとりかも寝む
(きりぎりす なくやしもよの さむしろに
ころもかたしき ひとりかもねむ)
現代語訳
英訳
crickets /ˈkrɪkɪts(米国英語)/ cricketの三人称単数現在。cricketの複数形。コオロギ
frost・y /frˈɔːsti(米国英語), frˈɔsti(英国英語)/ 霜の降りる、凍る寒さの、霜の降りた、半白の、霜白の、温かみのない、冷ややかな、冷淡な
straw / strˈɔː(米国英語), strɔ:(英国英語)/わら、麦わら、わら 1 本、(ソーダ水などを飲む時の)ストロー、わら 1 本ほどのもの、無価値なもの、つまらないもの
解釈
感想
本歌取り、とまでいかなくても、有名な歌と同じテーマで、現れる単語を使う、歌の音韻を似せる、シチュエーションを似せるというやり方は、その歌の背景や情景を借りてこれるんだろう。有名な歌、覚えよう、唱えよう。
九二.二条院讃岐(にじょういんのさぬき)
わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の
人こそ知らね かわく間もなし
(わがそでは しほひにみえぬ おきのいしの
ひとこそしらね かわくまもなし)
現代語訳
英訳
soaked / sokt(米国英語), səʊkt(英国英語)/(雨などの液体で)びしょぬれで、(…で)びっしょりで、(…に)専心して、没頭して、酔っぱらって
off・ing / ˈɔːfɪŋ(米国英語), ˈɔ:fɪŋ(英国英語)/沖、沖合
tide / tάɪd(米国英語)/潮、潮の干満、潮流、(世論などの)風潮、傾向、形勢、盛衰、栄枯、絶頂期、最悪期
no・tice / nóʊṭɪs(米国英語), nˈəʊṭɪs(英国英語)/通知、通報、告知、通知書、告知書、掲示、はり札、びら、(解雇・解約・退職などの)予告、警告
解釈
感想
「見えぬけれどもあるんだよ、」は、金子みすゞの「星とたんぽぽ」だけれども、見えぬもの、でも、そこにあるものについて、自分を例えるというのは、想像を強いるおもしろい方法かもしれない。スマホのように機能が多いものより、時計の中のゼンマイみたいに、何か具体的な姿を想像できるものがいいかもしれない。
※引用図書の紹介
『百人一首がよくわかる』
国語の教科書にあるような、文法的に正しい訳ではなく、短歌の長さ程度の軽妙な日本語訳と、短い解説書。
『英語で読む百人一首』
百人一首の英訳。古語や現代語訳より、歌の情景が浮かぶものも多い。
『百人一首 (平凡社カラー新書)』
馬場あき子先生の著作。ただし、教養としての解説であって、歌の解釈は短め。
いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。