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レシピだけでなく、表現も美味しい本

「カレンの台所」は、30種類の料理のレシピです。

滝沢カレンさんが書いたものです。
最近、バラエティー番組を見ないので、テレビでどういう出方をしているか存じませんが、ちょっと天然だったり、おかしなことを言うモデルさんって扱いで出てそうな気がします。

けど、滝沢カレンさんが書かれたはこの本いいです!

料理をしたいと思わせてくれることはもちろん、丁寧に説明することや、相手に伝わる言葉って何だろう? ということについて考えさせられます。

私のこと

レシピ本に興味は持ちましたが、普段、料理をする人かというとそうでもありません。私は、最近、離婚して、一人暮らしを始めました。20年以上、調理をしていなかったのに、急に始まった一人暮らしの寂しさを紛らわすために、調理を始めたばかりです。
この本は、そんな私でも、調理の工程が目に浮かぶし、目に浮かぶから、おれでもできるかも? と思わせてくれます。

レシピ

ちょっと引用してみます。

鶏の唐揚げ

スーパーでよく見かけるしもらうビニール袋を二重にします。

 そこに冷たい何も知らない鶏肉を入れてあげます。
 
 やれやれとボッタリくつろぐ鶏肉に、上からいくつかかけ流していきます。
 まず、リーダーとして先に流れるのは、お醤油を全員に気づかれるくらいの量、お酒も同じく全員気づく量、乾燥しきった粒に見える鶏ガラスープの素を、こんな量で味するか?との程度にふります。

そして、匂いが取り柄なにんにくすりおろしかチューブ、生姜すりおろしかチューブを、鶏肉ひとつにアクセサリーをつけるくらいの気持ちでつけてあげてください。

サバの味噌煮

 まずは、サバを熱湯にザブンと全身浴させたつもりにさせて、色が変わってふやけたんじゃないかと思う前にまた元の場所に戻して水気を何かで吸ってあげてください(キッチンペーパー濃厚)
 
そうしたら、空っぽのフライパンに、水二口飲むくらいの量と、お酒一口飲むくらいの量を入れます(飲まないでください)。

 そんなどこかの隙で、丸々生姜をうすっぺらい壁のようなサイズになるよう、2〜3枚切りサバとお供します。
 なぜついてくるかと言うと、サバから放たれるあと伸び伸び育った海の名残臭があまりに私たちを気にさせるので、生姜の限りないパワーで思い出を消します。

オススメする理由

普通のレシピを基に作ろうとすると、調理しない人にとっては、工程がイメージしにくい。

 えーっと、次、何入れんだっけ?
 今、何準備してないといけないんだっけ?
 大さじ? 小さじ? 目分量だとどんくらい??

と、結構、アタフタします。

「カレンの台所」のレシピは、ストーリーがあるから、場面が目に浮かびます。目に浮かぶから、手順を間違えずに済みそうです。

レシピは、短いものだと、2ページくらいの文章です。

その中に、この料理が作られなければいけない理由があり、
 (唐揚げなら、揚げ物を体が欲しているとか)
サバの変わりゆくストーリー(調理手順)があり、
当事者側(サバ側)の目線があります(笑)


例えば、仕事で書く報告書、メール、提案資料でも、いまいち主張が伝わらないときに、考えるヒントがあるような気がします。特に、報告書であれば、客観的な数字、順番も必要でしょう。しかし、それを箇条書きにしただけでは、よくあるレシピの書き方と同じです。

何もおもしろい表現、文学的な表現にしろ、ということではありません。
数字にとらわれず、どういうことが起きたかについて、ストーリーを伝えたり、視点を追加することはできないでしょうか?

そんなことを考えてしまいました。
この本は、伝えたいことがあったときの一つのお手本にもなるし、もちろん、料理もしてみようと思わせてくれます。

興味があれば、手にとってくださいね。オススメです。



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