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スクロールさせてくれない意匠たち! トーハクの特別展「古代メキシコ」のビジュアルガイド

週末の土曜、上野の東京国立博物館に、特別展「古代メキシコ」を見に行ってきました。撮影のためのスマホのバッテリーがなくなりそうだったこと、混雑でゆっくり見れなかったこともあり、1時間ちょっとの短い滞在となりました。

古代メキシコの知識レベルと鑑賞の動機

『ジョジョの奇妙な冒険』1部2部に登場する「石仮面」は、アステカ文明(15世紀)で生まれたものとされています。
(15世紀って割と最近だな…)

『スプリガン』では、マヤに文明を授けた宇宙人の話が出てきます。

ノストラダムスの大予言に絡めたトンデモ漫画にも、マヤ暦の話がありましたね。

古い中南米に関して、思い出す作品といえば、こんな程度です。あとはきっと「世界ふしぎ発見!」で見たことがあるくらいでしょう。

でも、今回、特別展「古代メキシコ」は興味がありました。

古代メキシコの歴史より、人が好ましく感じるデザイン、デザインに関する工夫の原型を知りたいという欲求です。

地域も主な時代も違う古代オリエント博物館(池袋)の展示を見たことで、特に意識するようになりました。

特別展「古代メキシコ」が終了する最終日の前日、土曜の朝一に、東京国立博物館(上野)に行きました。最近、SNSで混雑している様子は見聞きしていたので心配していました。心配の通り、開館前から結構な行列でした。知識はありませんが、(俺は課題感持って見に来たんだぞ!}(おまえらほんとに見たいんだろうな!) と上から目線で、周りの様子を眺めたところ、

マヤ文明、中米の歴史についてやたら詳しい女性の集団、
古代中国など、古代の歴史全般について語る中高生、
デザインの専門家らしい人、
見たいものとその好きなポイントを嬉々として語り合う親子…
ばかり。

すいません、私こそ、会期の最初の頃、もっと空いてるだろう時期に来るべきでしたね。行列に並んでごめんなさい。でも、そもそも誰もが観に行っていい展示です。

特別展「古代メキシコ」東京国立博物館

会場案内図 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)

こちらは、全作品の撮影がOK、個人利用まではOKです。

東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)

感想

自然や神を擬人化することで、とらえどころのない自然に真摯に向き合い、相手(自然・神)を尊重しているようです。アステカの展示にあったように儀式として人間が供物にされることには抵抗はあるものの、超自然に対しての態度は、自然の破壊を続けている現代人から見て、あらためて見るべきものがあるでしょう。

日本でも、創世の話に自然は多く登場しますが、花鳥風月を愛でつつも、直接的な擬人化はあまり文学作品に多い印象がありません。でも、アイヌには、最近まで、自然を擬人化すること、物語に神・生物が入ってくることが多いですよね。自然物への向き合い方、とらえ方は、自然への親しみある擬人化されたアイヌ神話に近いイメージを感じました(「ゴールデン・カムイ」をきっかけに得たにわか知識です)。

目的とした、かわいい、かっこいい意匠の言語化までは十分できませんでした。「かわいい」につながる幼児にみる丸みのあるフォルム、強そう、有能そうといった「かっこよさ」につながる形、だけじゃなく、全体のバランスもヒントになりそうです。これは今後の課題ですね。

「古代メキシコへのいざない」エリア

紀元前1000年ごろのオルメカ文明、5世紀~9世紀までのマヤ文明、テオティワカン文明、15世紀のアステカ文明の展示まで、一覧できる最初のエリアです。

関連年表 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
地図 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『オルメカ様式の石偶』オルメカ文明 前1000-前400年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『貴人の土偶』マヤ文明 600-950年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『マスク』テオティワカン文明 350-550年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『装飾ドクロ』アステカ文明 1469-81年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『シペ・トテック神の頭像』アステカ文明 1325-1521年 東京国立博物館
(撮影日:2023-09-02)
左:『フクロウの土器』マヤ文明 250-600年
右:『ジャガーの土器』マヤ文明 600-950年
東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『クモザルの容器』中央ベラクルス 950-1521年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『チコメコアトル神の火鉢(複製)』原品:アステカ文明 1325-1521年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)

「テオティワカン 神々の郡」エリア

100年から500年のテオティワカン文明(メキシコシティの北東50kmエリアに栄えた)の展示エリアです。太陽のピラミッドで有名なところですね。

『死のディスク石彫』テオティワカン文明 300-550年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『火の老神石彫』テオティワカン文明 450-550年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
 羽毛の蛇ピラミッド 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『羽毛の邪神石彫』テオティワカン文明 200-250年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『シパクトリ神の頭飾りの石彫』テオティワカン文明 200-250年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
右:『立像』テオティワカン文明 200-250年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『嵐の神の土器』テオティワカン文明 150-250年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『鳥形土器』テオティワカン文明 250-550年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
テパンティトラ神殿壁画(模様) 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『嵐の神の壁画』テオティワカン文明 350-550年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)

ナウシカの「火の七日間」の巨神兵みたい。

『嵐の神の屋根飾り』テオティワカン文明 250-550年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『マスク』テオティワカン文明 350-550年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『盾を持つ小像』テオティワカン文明 450-550年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『香炉』テオティワカン文明 350-550年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『人形骨壺(ひとがたこつつぼ)』テオティワカン文明 450-550年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『香炉』テオティワカン文明 350-550年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『鏡の裏』テオティワカン文明 450-550年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)

「マヤ 都市国家の興亡」エリア

長いマヤ文明の中、最盛期に近い7世紀から11世紀の間の展示エリアです。
マヤ地域は、メキシコの南東部、グアテマラあたり。

『支配者層の土偶』マヤ文明 600-950年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『セイバの土器』マヤ文明 600-830年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『夜空を描いた土器』マヤ文明 600-830年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)

お椀の展示、全体的に、ひっくり返した裏になってるものが多かったですね。見えなくても凝ったデザイン。

『星の記号の土器』マヤ文明 700-830年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
左『貴婦人の土偶』真ん中『戦士の土偶』右『捕虜かシャーマンの土偶』
マヤ文明 600-950年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『織物をする女性の土偶』マヤ文明 600-950年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『円筒型土器』マヤ文明 600-850年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『トニナ石彫153』マヤ文明 708-721年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『トニナ石彫171』マヤ文明 727年頃 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『96文字の石板』マヤ文明 783年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『96文字の石板』マヤ文明 783年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)

これ、文字ってすごいですね。
こんなページ見つけた。

のーどみたかひろ(マヤ文字)
『香炉台』マヤ文明 680-800年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『香炉台』マヤ文明 680-800年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『香炉台』マヤ文明 680-800年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
(赤の女王の装飾品群) マヤ文明 7世紀後半 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
(赤の女王の装飾品群解説) マヤ文明 7世紀後半 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
(赤の女王の装飾品群解説) マヤ文明 7世紀後半 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『トゥーラのアトランティス像』トルテカ文明 900-1100年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『モザイク円盤』マヤ文明 900-1000年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『イクの文字のペンダント』マヤ文明 600-1000年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『チャクモール像』マヤ文明 900-1100年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『チャクモール像』マヤ文明 900-1100年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)

「アステカ テノチティトランの大神殿」エリア

14、15世紀のアステカ(メキシコ中央 メソアメリカ文明国家)の展示物が中心のエリアです。

『男性像』アステカ文明 1325-1521年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『マスク』テオティワカン文明 200-550年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『鷲の戦士像』アステカ文明 1469-86年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『鷲の戦士像』アステカ文明 1469-86年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『ミクトランテクトリ神の骨壺』アステカ文明 1469-81年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『エエカトル神像』アステカ文明 1325-1521年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『シウアトル(火の蛇)』アステカ文明 1325-1521年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『プルケ神パテカトル像』アステカ文明 1469-81年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『サウマドール(香炉)』アステカ文明 1325-1521年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『サウマドール(香炉)』アステカ文明 1325-1521年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『テポナストリ(木鼓)』アステカ文明 1325-1521年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『テポナストリ(木鼓)』アステカ文明 1325-1521年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『笛』:左は花と音楽の神ショチピリ、右は擬人化された花
アステカ文明 1325-1521年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『ウェウェテオトル神の甲羅形土器』アステカ文明 1486-1502年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『トラロク神の壺』アステカ文明 1440-69年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)
『トラロク神の壺』アステカ文明 1440-69年 東京国立博物館(撮影日:2023-09-02)

※音声ガイド

音声ガイドは、こちらのお二人。
混雑していて、説明文まで会場では読めないことが多かったので、助かりました。

音声ガイドの途中、「アディオス、アスタルエゴ」という上白石萌音さんのセリフで、研ナオコさんが歌っていた「みんなのうた」の曲「アスタ・ルエゴ」がスペイン語の「さよなら」だったと知りました。四十年ぶりくらいに言葉の意味を知るという体験。

帰り道

帰り道の西洋美術館の「地獄の門」と「弓を引くヘラクレス」。こんなものが近くにあるって、そりゃ東京に住んでるだけで、文化レベルも上がるでしょう。もちろん興味がない人にとっては、どんな文化的価値が高いものでも、あってもなくてもいいものだろうし、田舎にいても、深い想像もできます。本というすばらしいものがあれば、補完できることは多いと思います。でも、興味ない人でも、目の端に映るところにこういうものがある地域というのは、すごいことだと思います。

おまけ

帰ったらバッテリーの表示は2%。危なかったです。
コロナ禍明けてゆっくり展示を見るのは難しくなりそうです。会期が長くても、行きたい展示があれば、早めに有休とって平日行こうと決意しました。

他の方のレポート

人が多くて、私は近くで撮れませんでしたが、他の方はちゃんと撮ってる方もいたので、もっといい画像を見たい方のために、参考にリンクを貼っておきます。


いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。