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「これで、ええんです」の料理講座は、料理の話ではなかった #ほぼ日の學校

「ほぼ日の學校」アドベントカレンダー二日目は、「これで、ええんです」の料理講座。土井善晴先生の授業です。

といっても、ほぼ日の皆さんが土井先生を囲んでのお話で、途中からは、ほぼ日の皆さんと対話しながらの授業です。

料理のおおもとは「人を思うこと」。土井善晴さんの料理の話は、最近よく言われる「自己肯定」を呼び起こしてくれるような気がします。自由だとか、人間らしさだとか、聴いている人をうれしくさせるような「食」の授業がここ。
公開日:2021.06.28

「これで、ええんです」の料理講座 | ほぼ日の學校 

私が土井先生に興味を持ったのは本当に最近。ずっと味噌汁を作りたいなーと思っていた時に、こちらのツイートを見かけて、土井先生の話を伺って、味噌汁を作り出したことがきっかけでした。

子どもの頃、肉とご飯をモリモリ食べていた時には、味噌汁なんて、箸を濡らすためだけのものだと思っていました。大人になってからも似たような考えでした。正直、街の定食屋や牛丼チェーンで出される薄い味噌汁は、出す意味がわからないとさえ思っていました。

2021年の秋、実家の佐賀に帰る途中、福岡の大衆的な天ぷら屋さん(「天麩羅処ひらお」)で食べた味噌汁にびっくりさせられました。
「あれ、めっちゃうまい!」と思ったし、「なんか懐かしい…」とも感じました。

母の味噌汁とは違ったもののきっと通じるものがあったのでしょう。ひらおで味噌汁を飲んでから、(あれ? もしかしたら、子どもの頃、飲んでいた味噌汁はうまかったんじゃないだろうか)と思うようになりました。

2022年、自炊をするようになっても時々、味噌汁のことを考えていましたが、自分が求める味噌汁は絶対にできなそうで、失敗したくないばっかりに味噌汁を作ることはありませんでした。そんな時、先のツイートの講座を視聴して、味噌汁を作る土井先生を見て、私も作るようになりました。

土井先生は、
「ええかげんに野菜を切って、お椀に一杯の具と一杯ぶんの水、これに火にかけたら、お椀一杯の味噌汁ができるんですよお」
「煮立ったら、味噌をとく。」
と話して、味噌汁を作っていました。

(え、そんなんでいいの?)という俺の心の声を聞いたかのように、
「こんなんでええんですよ。」
と言いながら、トマトやピーマン、季節の夏野菜をざくざくと切って、椀に入れていました。椀に一杯分の野菜を切って、盛って、それを鍋に入れるだけ。あまりに簡単に味噌汁を作っていたので、それならできそうと、自分でもさっそく作りました。

「ほぼ日の學校」の授業では、料理、家庭料理をモチーフに人生や生き方についてお話される内容でしたが、都度、心に留まる言葉がありました。

一汁一菜を基本として、「その場」にあった料理を作る。と土井善晴さんはおっしゃる。きっと「その場」という言葉には、その場にいる自分の体も含むのでしょう。自分の体と周りの反応で、何を欲しているかを考える。

昨日の自分に頼らない。

美味しいものは できないから

おいしいものなんてつくらない、まずくならないいかに 不味くしないか

きっと毎日の料理は、こういうことですよね。
失敗することがあってもいいけど、食べれないほど失敗はしない。対話のところで、味つけに責任なんか持たなくていいともおっしゃっていました。薄けりゃ、醤油をたらせばいいと。逆に濃すぎると食べれないことがあるから、失敗するなら、少なめに、ということにもなります。

そんないい加減に見えるスタンスの土井先生も若い時には、もっと強い思い込みがあったようです。フランス時代、レストラン食べ歩いていた時、知らないことがあるのがこわくて、見慣れないメニューを注文したそうです。そして、知ってるものが出てくればほっとして、何これ?!があると落ち込んだ、そうです。

「何かをしようと思ったら全てを知らないとあかん」
というのが どっかにあって

日々、見聞きして、体験して学び、知識を増やしていく中、自分の基準ができてくることで、知らないことも楽しめるようになったそうです。小さな失敗を許して、少しでも試行回数を増やしていきたいですよね。それは料理だけじゃなく。

成功や富について進める話ではありませんでしたけど、何かを達成するためには、そういうマインドが必要なことは、最近、深津さんのツイートでも、そうだ、そうだ、と思ったところでした。

あと、土井先生は、声がいいのがずるいです。話したあとの低音の声の震えに、力が抜けます。いつまでも聞いていたい土井先生の話は、3回で50分くらい。軽い気持ちで聞くといいと思います。

きっと「そんなんでええんですよ」と言ってくださると思います。

いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。