百人一首復習ノート:現代語訳、英訳、解釈とその感想(八一、八二)
普段、現代語で短歌を詠んでいるのであって、文語に親しみたいわけでも、文語で短歌を詠みたいわけでもない。けど、永く日本人の体に染みついたリズムで、教養ある人が一度は親しんだ(無理やり覚えさせられた)歌に接することには、意味があることかもしれない。
教養としてではなく、自分の作歌の養分と作歌のテクニックという実利を期待して、いまさらながら百人一首を復習してみようと思う。情報は、手元にあった百人一首の本三冊から(『百人一首がよくわかる(橋本治)』『英語で読む百人一首(ピーター・J・マクミラン)』『百人一首 (平凡社カラー新書)(馬場 あき子)』)。
だいたい週一回、まとめている。一つのnoteには、2首ずつ取り上げる。2首ずつ取り上げる理由は、百人一首が、二人ずつのペアが50組あるという作りだから。どうせなら意味のあるペアの形でインプットしたい。歌をまとめて取り上げる作業は、連作を作るアイデアにもなるかもしれない。
八一.後徳大寺左大臣(ごとくだいじのさだいじん)
ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば
ただ有明の 月ぞのこれる
(ほととぎす なきつるかたを ながむれば
ただありあけの つきぞのこれる)
現代語訳
英訳
cuck・oo / kúːkuː(米国英語), ˈkʌˌku:(英国英語)/カッコウ、カッコウの鳴き声、クックー、まぬけ、ばか者
pale / péɪl(米国英語), peɪl(英国英語)/青白い、青ざめた、(色が)薄い、薄い色の、弱い、薄暗い、活気のない
解釈
感想
あるべきものがそこにない。でも、そこに思いがけないものを見る。というシチュエーションは、転用できそう。
八二.道因法師(どういんほうし)
思ひわび さても命は あるものを
憂きにたへぬは 涙なりけり
(おもいわび さてもいのちは あるものを
うきにたえぬは なみだなりけり)
現代語訳
英訳
some・how / sˈʌmhὰʊ(米国英語)/何とかして、どうにかして、何とかかんとか、ともかくも、どういうわけか、なぜか、どうも
live on / 生き続ける
en・dúr・ing /‐d(j)ˈʊ(ə)rɪŋ(米国英語), eˈndjʊrɪŋ(英国英語)/永続する、永久的な
harsh / hάɚʃ(米国英語), hάːʃ(英国英語)/耳障りな、不快な、どぎつい、ざらざらした、荒い、厳しい、苛酷(かこく)な、残酷な、無情な、とげとげしい
解釈
感想
「恋」というテーマも大きいけれど、「人生」はそれよりもっと大きい。あるテーマをもっと大きいテーマのように見る、というのはおもしろい。SNSでバズる主語を大きくする、ということをもっと上品にやる感じだろうか。
※引用図書の紹介
『百人一首がよくわかる』
国語の教科書にあるような、文法的に正しい訳ではなく、短歌の長さ程度の軽妙な日本語訳と、短い解説書。
『英語で読む百人一首』
百人一首の英訳。古語や現代語訳より、歌の情景が浮かぶものも多い。
『百人一首 (平凡社カラー新書)』
馬場あき子先生の著作。ただし、教養としての解説であって、歌の解釈は短め。
いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。