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ターゲットを定めてインタビューで顧客解像度を上げる! #マープス

無料のオンラインマーケティング講座「マープス」はゲスト回。

ラクスルのCMO、ノバセル社長の田部正樹さんによる「指名検索マーケティング」回です。

「指名検索マーケティング」というテーマ回でしたが、その前に、「事業にとって大切なこと」「マーケティングにとって大切なこと」を伝えていただきました。

事業にとって大切なこと

  1. ビジョン・価値の定義(Howに逃げない)

  2. 退路を断つ(トレードオフを作る)

  3. 圧倒的な顧客解像度! ←ここが今日のメイン

  4. 自分のお金と思って投資する

  5. 気合&根性

大事なことは、事業が解決する課題に対して、「ロイヤルティの高い顧客がなんで使ってくれているかを聞き続ける」ことです。8割の売上を2割のお客様が作っている。その2割のターゲットを決めて、そこに向き合うことです。

その2割の顧客の特徴を答えられないなら、マーケターとしてNG!

だそうです。

事業課題を見つける

現在、認識できていないユースケースを発見する。

ダイソンの扇風機の前は、羽のある扇風機だった。「羽があるとあぶない」「うるさい」があっても、それが当たり前で、解決しようとは思う人はいなかった。まったく新しいことを出すのは難しい。既存の問題をこわす。それが顧客に向けたメッセージにもなる。

ラクスルの場合、最初、「早い」「安い」をお客様に訴えていた。しかし、インタビューすると(検索ログを見ると)、「24時間受付」が嬉しいとわかった。印刷会社/ショップは20時に閉まることも多い。会社のコピー機だと朝まで印刷にかかってしまう。中小企業にとって、24時間が嬉しい。

ネットで受け付けるのは、ECと同じ。だと思っていたので、Amazon、楽天が24時間受付なんて言わないように、そんな当たり前のことを伝えてなかったが、お客様が喜ぶポイントがわかり、「24時間受付」を伝えるようになった。

ターゲットを決める

既存のサービスなら、売上を大きく作っている顧客に聞く。

・(誰に?)ターゲットを決める
・(何を?)ターゲットに何を伝えればいいか?
・(どうやって?)どのようなコミュニケーションを行うと効率的か?

マクドナルドは以前、ヘルシーなメニューが欲しいというインタビューから、サラダマックを作って、結局、売れなかった。顧客じゃない人に聞いてもダメ。

認知→想起→トライアル購入→は大事 だけど、リピートされなきゃ意味ない、と分かれば、リピートしてくれるお客様に聞く。

<大事な数字>
・想起されるかどうか
・検索されるかどうか
・次回購入意向が高い

インタビュー

鉄板質問はない! キラークエスチョンなんてない!!

質問を効率化しようと考える時点でダメ。どうやったらこの人の本音を聞き出せばいいかを考える。

「なぜ買ったんですか?」と直接聞いてしまうと、それっぽい答えを返してしまう。

「これを買った時の気分はどうでしたか?」
「これを買った時に、何が気になってましたか?」
その時の情景を聞く。結果、お客様が求めていることの仮説を考えて、こういうことですか? という確認をする。

「そうだね」という同意が引き出せれば、それが答え。

その他、インタビュー以外では、検索ログは本音が出やすい。

例えば、ダイエットアプリを使う人の検索ログを見ると、「ラーメン、焼肉」を検索していた。食べたいという本音があった。「痩せたい」も、「ラーメン食べたい」も本音。カロリーを可視化することで、今日あと800Kcal食べていい、とわかるようすると、「食べるダイエット」というコンセプトが生れた。

伝えるメッセージ

田部さんは、以前、ウエディング業界にいた。当時から、「プロポーズされたらゼクシィ」というワードが強すぎた。結婚を考えた人が、「プロポーズ」「結婚式場」を検索するのと同じくらい「ゼクシィ」が検索される。

また、中古の商品を売買する時、「フリマアプリ」ではなく「メルカリ」のほうが検索される。

田部さんは、ラクスル以前の職歴で、これらのことができなかった。ラクスルに入る時、上記のようなことをしてやろうと思った。

最初、「ネット印刷といえば、ラクスル」と訴えていた。「ネット印刷」というワードは印刷を行う業界側にはあったが、顧客側から見たときには、存在しないワードだった。顧客からのワードで「ネット印刷」は出てこなかったけれど、「来週チラシ刷っといて!」という言葉が出てくる。そこで「チラシ印刷といえば、ラクスル」というメッセージに買えた。

「〇〇と言えば、〇〇(社名)」

勝てる〇〇というワードを探す。この時、〇〇を拾い、大きな言葉にしない。競合が多い。競争できる狭いワードを見つける。いきなり大リーグを目指さない。まずは、目黒区の町内の野球大会で勝つ。「目黒駅でヤンニョムチキン」なら勝負できるかもしれない。特徴がない幕の内弁当で勝負はしにくい。「シュウマイ弁当」の「シュウマイ」に当たるワードを探す。リクルート社のように100億円のプロモーションができれば一気に市場つくれるかもしれないが、なかなかそうはいかない。小さい予算でも勝てる方法で勝ち続ける。

競合との差別化

・他と一緒、は絶対やっちゃいけない。他社との違いをどう作るか!
・価値を決めるのは、自分ではなく顧客!
・同じ製品を使うところが競合か?(テレビの競合は、スマホ?)
・競合が嫌がることを知る。ここ取られたらいやだな、を探す

 → 田部さんが社長を務めるノバセルの場合、電通・博報堂がやらないことを考えて、「はじめてのテレビCM」をやりたいお客様をターゲットにした。

プロモーションの前にやること

田部さんも最初、4P(Product、Price、Place、Promotion)のうち、プロモーションばかりやっていた。結局、プロモーションの前にサービス改善のほうが大事。

以下のことを先に実施する。

・納期改善
・原価改善
・商品開発(MD増強)
・カスタマーサポートの質の改善
・サイトの検索性改善

Valueフレームワーク

Why:なぜ存在しているのか?
(解決できないと思っている、諦めてしまっている課題を見つける)
Who:対象顧客(ターゲットを定める)
Insight:インサイト(ターゲットにインタビューする、検索ログを見る)
What:選ばれる理由
Value:顧客が受け取る価値
Concept:サービスを一言で言う

Why:なぜ存在しているのか?

事業・サービスの存在意義。パーパス。
何を解決したいか?

Who:対象顧客

もっとも大切にしたいお客様は誰か?
そのお客様は、8割の売上を作る2割のお客様になれる資質があるか?

Insight:インサイト

隠された心理は言語化できていない。

言語化できていないことなので、インタビューで、直接、要望や本音を聞き出そうとしても、難しい。まず、購入体験、選定時の状況を聞いて、仮説を立てて、その仮説をぶつけるようにしないと、インサイトは得られない。

ダイエットアプリの例のように、言っていることとやっていることがくじ違っているところに新たなユースケースが見つかる。

What:選ばれる理由

What自体に価値はない。

Value:顧客が受け取る価値

自社が言いたいこと。推したいポイント。本当にお客様が価値を感じることか?

その他

Q. 市場がない商材はどうすればいい?

A.
市場がない商材は、まだ理解されてないので、啓蒙するしかない。
→PRをやる。信ぴょう性のある人が何か言わないと浸透しない。BtoBは販売代理店を使う(売ってもらう)方法もある。

感想

マーケティングの教科書にある事例は、成功したものを、フレームワークや概念を使って紹介しているケースが多くて、それって、その会社だから、その商材だから、そのタイミングだから、その市場環境だったから、うまくいっただけじゃない? と感じることが多い。

最初からお客様がいたわけじゃない、ラクスルを例に、
重要な顧客にインタビューして、行動を分析して(検索ログを見て)、解決する課題と届けるべきメッセージを見つけたという流れは、取り組むべきマーケティングの行動が見えて、勇気がもらえる回でした。

商材ごとに、重要なお客様の特徴を定義して、お客様から直接、話を聞ける関係を築こうと思います。今日から行動に移したいと思う回でした。ありがとうございます。

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