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『シン・ゴジラ』の台本から盛り上がるシーンを分析する

ちょっと未来。ちょっとした動画を作成するために、台本を作る練習をしたいと思っている。着手しやすさから考えると、盛り上げたい見せ場が先にあって、そこから逆算するほうが作りやすそうな気がする。まずは、ピークにしたいシーンをどんな風に台本に表現すればよいか、調べるところから始めたい。

『シン・ゴジラ』

息子ともども、ゴジラが推しの私としては、ゴジラの盛り上げシーンをまず参考にしたい。幸い『シン・ゴジラ』の台本が手元にある。『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』の付録についていた台本で確認してみる。

【ゴジラ登場シーン】

ゴジラで盛り上がるシーンで言えば、絶対に登場シーンだろう。

『シン・ゴジラ』では、鎌倉に再上陸した、成体のゴジラが初登場するシーンで、『伊福部昭 SF交響ファンタジー第1番 』とともに始まる。

志村「副長官! 1分前にゴジラが相模湾から出現。鎌倉に再上陸します!」

141 神奈川県・鎌倉市・由比ヶ浜付近(再び大事件)

※M8↓ここから

【T】神奈川県鎌倉市 稲村ガ崎
鎌倉、由比ヶ浜沖にその全貌を現したゴジラ(第4形態)。
二本の足で直立し、ゆっくりと由比ヶ浜に向かって行く。
うごめく長大な尻尾。
発熱状態が落ち着いたのか、体表から湧き上がる水蒸気がほぼ消えている。
辺りを睥睨する巨大な頭

142 官邸地下危機管理センター・オペレーションセンター

慌ただしく要員が集まってくるセンター内。
危機管理担当要員(消防庁)「J-ALERTを発動。巨大不明静物上陸警報を一斉に伝達!」
危機管理担当員(内閣官房)「Em-Netによる第一次情報の通知及び送信を完了しました!

『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』別冊付録:『シン・ゴジラ』完成台本(B5判変型)

【ヤシオリ作戦開始】

また、ゴジラの後半の盛り上がりは、一度活動を停止したゴジラが再度、活動を開始するのに合わせた作戦「ヤシオリ作戦」のスタートだろう。宇宙大戦争マーチが血を滾らせる!

松井通信小隊長「了解。新橋より連絡。無人車両、全車切り離し完了。ゼロポイントを通過」
丹波連隊長「では、ヤシオリ作戦を開始する」
甲斐第3科長「第1段階。陽動始め!」

326 東京駅・構内

※M19↓ここから
【T】新幹線N700系電車(無人運転)
火ぶたを切るヤシオリ作戦、日米共同による総力戦が始まる。
音楽(宇宙大戦争マーチM32)スタート。
並走する無人のN700系新幹線車両が慣性走行でゴジラに向かって走る。(社内には大量のJDAMの弾体が積載されている)
線路上で活動停止しているゴジラの足元にN700系先頭車両が激突し、車両が次々と爆発していく。
足元から全身が巨大な爆発炎に包まれていくゴジラ。
目覚めるゴジラ、咆哮を上げる。

329 科学技術館・屋上

松井通信小隊長「陽動成功! 無人新幹線爆弾、効果あり」

盛り上がるシーンの作り方

盛り上がるシーンだけ見ると、完成イメージは監督の頭にあるけれど、台本上、文字だけでは、完成した『シン・ゴジラ』までイメージできない。カメラアングルの指定もない。でも、キャラクター(ゴジラ)の様子は、文字でも理解できる程度には書いてある。
(うごめく長大な尻尾。発熱状態が落ち着いたのか、体表から湧き上がる水蒸気がほぼ消えている。/足元から全身が巨大な爆発炎に包まれていくゴジラ。目覚めるゴジラ、咆哮を上げる。)

音楽のスタートは明確。

やっぱり、盛り上がるシーンは、そのシーンに至るまでに、どうやって観客の気持ちをかき立てられるかだろう。ゴジラの登場で言えば、「もう出るか?」「そろそろか?」という期待を煽る必要がある。『シン・ゴジラ』では、ゴジラが成体で再登場する前、官僚たちによるさまざまな対策案の検討があって、もうこれ以上手の尽くしようがない、という悲壮感を伴う静かなシーンを挟んで、(つ、ついに来たー)という流れになっている。

ヤシオリ作戦前には、主人公の政治家、矢口の悲壮な決意、自衛隊の準備と覚悟を描いて、より、ヤシオリ作戦のスタート時とのギャップがある。

盛り上がるシーンの前には、必ず、静かなシーンを置いている。

さらにその前には、日本国民の動揺や各国、国内の準備シーンで、ある程度、ワクワク感を持ってきている。

小さいテンションの上げ下げから、大きな上げ下げまで、段々と振幅を大きくしながら、ピークに持ってきている。

盛り上げたいシーン、その前の静かなシーン、このギャップを大きく作る。そして、その振幅がある程度、受け入れられるように、その前に、もうちょっと小さい振幅を作る。

まずは、その辺を意識して書いてみようと思う。

いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。