昔のプレイステーションのCMが好きだ。

最初のプレイステーション(プレステ)は、1994年に発売された。
それまで家庭でゲームと言えば任天堂だった。ほとんどの人にとってのゲームは、ファミコン、スーパーファミコンだった時代に、新たな主流が登場した。

初代プレステは、2004年までに世界で1億台も売っている。
最初は、子どもがおねだりしても簡単に買ってもらえないような、39,800円という販売価格から売り出され、生産台数が伸びるにつれ、24,800円、19,800円と値下げが進んだ。最終的には、15,000円くらまで値下げされた。

私は、大学生の時、パチンコで勝った金で、2万くらいで買った。
ま、それはどうでもいい。


とにかくテレビCMがよかった。
2022年現在の目線で見ると、家族の役割、男女や年齢のイメージなどが固定され過ぎてて、今放送したら炎上しかねないものもあるが、当時は多くの人がそこに違和感を感じなかったと思う。

CMは、冒頭、「ティン」という音で始まることが多く、最後「ダンダ、ダダンダン」という音で終わる。この音は、プレイステーション5となった今のCMにも使われている。

すごい発明だ!

CMには、だいたいこの1-2秒のジングルが入る。15秒のCMだと、中身は約13秒ということになる。この13秒に本当にドキドキワクワクした。テンションが上がった。今見ても、ニヤっとするCMが多い。当時の感覚を思い出すからだろうか。今の10歳代、20歳代、が見たらどう感じるんだろう。
今度息子(9歳)に見せてみたい。

目にするゲームのジャンルが一気に増えた

プレステのCMが、おもしろく感じた理由の一つに、ゲームの種類の多さがあると思う。プレステになり、開発会社が増えたためか、安価に開発できるようになったのか、とにかく目にするゲームのジャンル、カテゴリがグッと増えた。もちろん、いろんな動きを処理するメモリや記憶容量の増加もあるだろう。

音にまつわるゲーム「パラッパラッパー」。
CMを見た時、何のゲームだ? と訝しんだ記憶がある。
CMがおもしろかった、ギター演奏する「STOLEN SONG(ストールン・ソング)」なんてゲームもあった。

パズルゲーも印象的なものが多い。
「I.Q インテリジェントキューブ」
「XI[sai] 」
どちらもCMがよかった。
特に「XI[sai] 」のCMは、バリエーションが多かった。

鉄道運転シミュレーションゲーム「電車でGO!」も、評判を呼んだし、CMの曲も耳に残っている。

最近、スマホで遊ぶような料理に関するゲームもあった。
「俺の料理」、経営シミュレーションゲーム「バーガーバーガー」。

ゲーセンではよく見かけるクイズゲーム。
プレステにもクイズゲームが登場した。
CMが印象的なのは、「子育てクイズ マイエンジェル」。

ペットを育成するゲーム「がんばれ森川君2号」。
こちらもCMのバリエーションが多かった。

とにかく、これまであまり見ないタイプのゲームジャンルがたくさんあった。ここまで紹介したゲームは体験版以外、遊んでないけど。

私がよく遊んだゲームだと、罠をかけるゲーム「刻命館」、その続編の「影牢」は、非常に出来のいいゲームだった。館に侵入する人の動きを予想し、適切な罠を用意し、誘導し、罠にはめるときは快感だった。熟練すると、コンボの楽しみもあった。

売れたゲームでCMが多かったゲームは「みんなのゴルフ」だろう。

レースゲームの「リッジレーサー」「レイジレーサー」「グランツーリスモ」、どれも完成度の高さだけでなく、CMも魅力的だった。

プレステで初めて現れたジャンルはもちろん、販売台数が伸びるにつれ、アーケードゲームや他のハードからの移植も増えた。スーパーファミコン、他ハードの有名シリーズも次々発売された。

・スーパーロボット大戦
・ストリートファイター
・バイオハザード
・鉄拳
・ぷよぷよ
・ロックマン
・エースコンバット
・ダービースタリオン

ファミコン、スーパーファミコンにも楽しいゲームはたくさんあった。
でも、プレステはとにかくゲームで遊ぶという行為がずっと楽しくなった。クソゲーも、クソゲーとして十二分に楽しんだ。

この時期、ゲームを作ってみたいという気持ちにもなったが、それ以上にCMの楽しさから、CMを作る仕事にも憧れた。

どんなCMがあった?

売れに売れた「みんなのGOLF(みんゴル)」は特に印象深い。

駅のホームで、昔よく見かけた光景。
傘でスイングするサラリーマンが最初のシーンに続いて、
小学生が同じく傘でスイングしながら「左側に壁を作らないと」、
主婦が「グリップが安定しないのよね」、
女子高生が「スタンスは広すぎず、狭すぎず」、
次々に駅のホームで、スイング練習をする人たち。
車掌がもう一人の車掌の脚をおさえながら「軸がぶれてるよ、軸が」

(ナレーション)
よいことよい大人のゴルフゲーム「みんなのゴルフ」
(最後に、みんなでスイングするシーン)

同じゲームでも、いろんなCMが流れた。特に、みんゴルシリーズは、おそらく放送時期も長く、数も多く、CMの名作が多い印象だ。

ゴルフのスイングで腰を痛めた人に、医者がみんゴルを処方するCM、
単身赴任したおっさん同士が、子どもが遊びに誘うように、「みんゴル」しようぜ!っていうやつ、など。

実際、自分でも楽しんだ罠をかけるゲーム「刻命館」の続編「影牢」のCMはよかった。

カップルの女性が、人差し指を伸ばした状態で肩ぽんぽんとして、
男が振り返った時に頬に指が刺さって、「かかった!」
と、かわいらしく言うシーンに始まる。
花が咲いてるところに「来て来て」と彼氏を手招きして、落とし穴にはまって「かかった」、
紐を引くと、たらいが落ちてきて「かかったww」、

(ナレーション)
彼女がハマっているハメるゲーム「影牢」

最後、坂道で「チーズ!」っと彼氏の写真を撮ろうとしているところに、でっかい球が転がってきて、彼氏の背中にぶつかる。男性の倒れ方がマジすぎて、やばい。


「グランツーリスモ」のテレビCMシリーズも印象深い。
すべての走りがここにある「グランツーリスモ」、コピーがかっこいい。
本物の社員かわからないが、日産、トヨタ、三菱自動車、などの自動車メーカーの開発者や広報が、自分のメーカーの車を操作する。あー、このゲームは本物なんだ・・と思わせてくれた。

「オメガブースト」
3Dシューティングは昔からあった。
古くは、ナムコの「スターラスター」や、セガのアーケードの名作「スペースハリアー」。
オメガブーストは、操作が楽で、全方向への飛行してる感じが気持ちいい。
「360°新感覚シューティング オメガブースト」のコピーも納得という感じ。

RPGも良作品が多いし、コピーだけで買いたくなった。
特にコピーで好きなのは、
「ポポロクロイス物語」:アニメチック・ロマンチック RPG
「アークザラッド2」:光と音のRPG

「アークザラッド2」は、よくできたRPG。もともと夏休みに遊べるように8月発売予定が開発遅れから、販売が11月になった。当時、私は大学生。年中夏休みみたいなものだ。ウルトラC級に設定と世界観がずるいスーパーファミコンの「クロノトリガー」と悩むが、私の好きなRPGの第一位は「アークザラッド2」だ。

エースコンバットのコピーもよかった。
「超本格的飛行機ごっこが今はじまる」
社長やベテラン社員が飛行機の模型を手に持って、社内を走るCMには笑わせてもらった。

過去の名作がまとめた入った「プレイステーション・ザ・ベスト」シリーズもいろんなゲームを楽しむためにいいやり方だったと思おう。「ザ・ベスト」シリーズのCMも良作が多い。

彼氏「バイト代出たから、何か奢る」
彼女「時給いくら?」
彼氏「700円」
彼女「君の4時間分をもらおう」と、「プレイステーション・ザ・ベスト」を差し出す女性。

(ナレーション)
「あの名作ソフトが2,800円、プレイステーション・ザ・ベスト」

時給700円、今だと訴えられる金額だが、当時の東京の最低時給を調べると、600円台だったので、そんなカップルもいたのかもしれない。

ゲームのCMだけでなく、プレステ本体のCMもよい。
「ごほうびに」、というコピーのもと、季節に合わせて、様々なごほうびのシミュレーションが登場した。入学、学期の終わり、クリスマス、誕生日…

子ども向けのメッセージだけじゃない。

結婚して、娘が嫁に行った後、結婚式の帰りのタクシー。
「娘が、お父さんがさみしくないように」と、母に託したプレイステーション。泣く父。もらい泣きするタクシーの運転手。

親が子どもにゲームやめなさい、という場面は今の時代にも通用すると思うが、逆パターンのCMもあった。

子どもに構ってもらいたいと言われても、晩御飯を急かされてもが、ずっとプレステのコントローラーを離さないお母さん、
「ママだって、ママだって。」というコピー。
(今だと、虐待だ、と即炎上しそう)

他にも、様々なシチュエーションで、プレステが誰かの手元に届くCMが並ぶ。

・親に買ってもらうために、兄弟や友達と話し合い、戦略を練る小学生
・別れるカップルが、それぞれの思い出の品を分け合う。「このプレイステーションもらっとく」という彼女と、悲しそうな彼氏。
・授業参観で、子ども達が、プレステの価格と購買意欲について発表する。
・おじいちゃん、おばあちゃんに「孫のプレゼント」として、プレステをすすめる店員。
・「値段も下がったし、このソフト出たし、今が買いだよ」とすすめる友人たち。

ほんとに、プレステのCMは、ずっと見てられるなぁ。
13秒なんだもんなぁ。今の時代、思いつけば動画作れちゃうかもなぁ。自分で作るかわなんないけど、自分が好きだったCMをもっと探してみよう。

いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。