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初めての根津美術館で、特別展「国宝・燕子花図屏風」を見てきた

一時期、この辺にはよく来ていた。

表参道のことを知りたくて、表参道の美容院に通うようになってからしばらくは、この辺の美容院に通っていたし、よく行っていたほぼ日さんのショップ、TOBICHIがこの辺にあった(ほぼ日さんの引っ越しに合わせて、神田へお引越し)。

サイトは何度も見たことがある。

だから来たことがある気がしているが、たぶん初めての根津美術館。

現在は、
 特別展
 国宝・燕子花図屏風
 光琳の生きた時代1658~1716
が開催中だ。

絶対に誰もがどこかで見たことがある尾形光琳の「燕子花図屏風」の展示が主体の特別展だ。観光客が増えたせいなのか、もとから多いのかわからないが、外国人の方が多かった。全体の3分の1くらい? 特別展のあとに行った庭では、ほとんど外国人の方としか、すれ違わなかった。

特別展 国宝・燕子花図屏風

私には、大和絵や狩野派の絵についての理解がほとんどない。過去、美術系の番組で説明を見聞きしたこともあるはずだけど、ほとんど知識として残っていない。音声ガイド(600円)も借りたけれど、まったく説明が頭に入ってこない。きっと過去に見た展示も、博物館のような場所で、同時代の文物全般を扱っていて、その一部の説明として理解していたんじゃないかと思う。

せっかく来たのに、どうしよう。困ったぞ。もちろん「燕子花図屏風」を中心に絵を見るとしても、もっと、楽しむ方法はないだろうか。そうだ。書や屏風にある字に注目しよう。最近、書道博物館で、書を見ながら、脳内で書をなぞる作業をしている。きっと書をとっかかりにすれば、良しあしが少しわかって、気づきもあるかもしれない。

よし、書をとっかかりに、作者と作品に触れよう。少しでも書があるものはそれをなぞる。また絵が気になったもので、書がないものでも、落款として署してある名前を(脳内で)なぞるようにした。

今回の展示のメインである「燕子花図屏風」も一通り眺めた後、落款の署名をなぞった。落款には、法橋光琳とある(「法橋」は高僧に与えられる位)。落款は、二つの屏風があれば、右と左の屛風のそれぞれ端に書いてある。

左右で、署名の字が違う。私は、左の屏風の左上にあった落款の「橋」の字がとても好きになった。かっこいい字を書く人は、もうそれだけで高得点がつけれる。この人は間違いない人だと思う(私が評価するまでもない)。

絵は、イメージしていたものより、意外に草が太い。花の青は一色ではなく、濃い青と淡い青が組み合わさっている。特に、左隻(屏風の左側)は、濃い青が多い。ただ、淡い青も、後ろの金に負けない存在感がある色だ。

近くで見ると印象も変わる。

絵としては、同じ部屋にあった「夏草図屏風」のほうが好きだった。
こちらのほうがよく眺めたけれど、より写実っぽいことや色味が多く、かつ、自然物の印象からも離れておらず、でも、背景の金に負けない存在感のある色で、それ以上、言語化できなかかったけど、とにかくいいなーと思って、何度も眺めた。

同じ部屋には、尾形光琳の父である尾形宗謙の書「新古今和歌集抄(1672:寛文12年)」があった。本阿弥光悦流の書だという。かっこいい字もあるんだけど、最近見ている馴染みのある書とは違って、混乱した。書道博物館に時々行くようになったが、よくなぞる書は、主に中国の古い書ばかり。漢字ばかりで、あまり「かな」をなぞってこなかった。

「新古今和歌集抄」の中でも、太い字と細い字が混在している。一字の中でも「寛」の字は、上部のかんむりは太く、中の字は細い。かっこいい字もあるんだけど、どうやって書いてるのか気になってそれどころじゃない。

細くて濃い線はどうやって引いてるんだろう?
いつ墨をつけてるんだろう?
細い字は、太い字と同じ筆なの?

今度から、書道博物館でも「かな」をなぞってみようと思う。


最後の部屋には、漢字の書(「物外(もつがい)和尚送別図」)もあったし、かなの書(「三十六歌仙和歌短冊」)もあって、そこそこに忙しかった。でも、「物外和尚送別図」はいろんな人が書いたもので統一感はないし、「かな」は、まだ慣れていないので、頭の中が「?」だらけで、良しあしや、人となりに触れるという目的は叶わず、難しかった。

最後の部屋に入ってすぐ、尾形光琳の影響を受けた渡辺始興の「寿老人図」という紙本墨画があった。墨をつけて書くのだから、書と同じようになぞれるかと、ちょっと理解できるかと思ったけど、無理でした。そもそも絵が描けないので、どこから書き出していいかまったくわからないし、「一本の筆で、どこまで描いているのか?」「どのくらいの太さの筆を寝かせれば、こういう線になるのか」も一切想像できなかった。

テーマ展示

ちょっと休憩して、二階へ。
あまり時間がなかったので、一通り見て通り過ぎるくらい。

最初の部屋、殷周時代の青銅器はおもしろい形が多い。

「双羊尊」というものがかわいらしい形だった。先日行った、池袋の古代オリエント博物館を思い出した。

隣の部屋、「西田コレクション『唐物』」の部屋は、普通に使いたくなる柄や形があった。「黒漆輪花(くろうるしりんか)杯」「黒漆輪花(くろうるしりんか)皿」は、色がよかったし、「五彩兎文稜花皿(ごさいうさぎもんりょうかさら)」も絵がかわいい。

隣の茶道具の展示もなかなかいい。昔、ちょっとだけ、お茶をやっていたので、茶道具はテンション上がる。

ここにも書(春屋宗園「一行書」)があった。かすれが多い書。なぞろうとしたけど、かすれむずい。いったいどうすれば… 今回の展示では、字がなぞれない作品(書)が多かった。そろそろ小学校の時の書道経験だけで、書を理解するのが難しくなってきたかもしれない。

茶道具はいい。

「南蛮〆切水指(ベトナム)」が運びやすそう。隣の水指「青磁鉄鉢(てっぱち)水指(中国・明代)」もいい形。青磁鉄鉢水指は、水指だけど、蓋を外して、菓子入れに使いたい感じ。お客様に出すとよろこんで持ち上げてくれそう。

茶碗はやっぱり持ちやすいものが好みで、
「安南染付鳥文字茶碗(ベトナム)」
「玉子手茶碗 銘 小倉」

みたいな形がいい。玉子手茶碗は大きすぎたけど、形はこういうやつがいい。口が広がっててお茶が冷めやすいと思うので、これからの時期にいいかもしれない。

庭園

半日は余裕でいれる場所だった。お庭はゆっくり回りたかった。

庭には、石像、仏像がちょこちょこいらっしゃって、いい顔の方が多かった。

今日は、雨のせいか、庭の混雑がなかった。また小雨くらいの日に来れるとゆっくり回れていいかもしれない。

感想

テーマ展示、庭園も含めると、半日はゆっくり過ごせそうだった。でも、半日、時間がないと来れないと思うと足が遠のくので、気軽に来たい。でも、二階のテーマ展示も、やっぱりもっとゆっくり回りたいので、3時間、4時間あると嬉しいかもしれない。

料金も、大きな美術館、博物館と比べると高いわけじゃないので、ぜひ、気軽に来たいところ。

特別展(オンライン日時指定予約)一般:1,500円、当日券(窓口販売)一般:1,600円
企画展(オンライン日時指定予約)一般:1,300円、当日券(窓口販売)一般:1,400円

書について

これまで書道博物館で書をなぞってきたときは、ほとんど「漢字」ばかりなぞっていたので、これからは「かな」をなぞろう。「かな」の良しあしがわからないし、「かな」の字の好き嫌いという基準がまだ自分の中にない。「かな」の好き嫌いができてくるともっと、日本の美術への愛着ができるかもしれない。

かすれなど、どうやって書いているかわからないものが多い。なぞろうと思っても、そもそもどう書いているかわからなくて、なぞれないものが増えてきた。もうそろそろ動画などで書の書き方を学んでみるしかないかもしれない。形だけじゃなく、かすれ、太さ細さどう表現するかわかるともっと理解できるかもしれない。なぞることができれば、作者がかけた時間、ノリ、気分が少し理解できる気がする。

(出展リスト)

おまけ

先日、映画『BLUE GIANT』を見たので、近所の「ブルーノート東京」へ。

ちょっとテンションが上がる。彼らはここに立ちたかったんだな。

もともと音楽には、興味が薄いのだけれど、いつか来てみたい。

いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。