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エッセイ『水槽の中の私』

買い物が終え、喫茶店でひと休み。
店内に入り、手を消毒し、注文カウンターへ向かう。
注文カウンターまでは人と人の間隔を開けるように床に印がつけられていた。
コロナ感染予防対策は店内のいたる場所でされていた。
注文したコーヒーを受け取り、10人が座れる大きなテーブルに向かう。
そのテーブルの中央部に腰を下ろし、本を出し、読み始めた。
何か違和感を感じた。
10人が座れる大きなテーブルは、一人ひとり、アクリル板で区切ってあった。
コロナ感染予防対策がされていたのだ。
アクリル板で区切られているだけで、人と人の距離感を感じる。
テーブルを見渡すと、それぞれの区切りの中に一人ひとり「入っている」という感じがする。
そう、区切りの中に人が入っている。
どこかで見た光景。
そうだ。水族館だ。一つひとつの水槽に入っているお魚。
今日の私は水槽の中に入り、コロナ感染予防をし、コーヒーを飲みながら、本を読んでいた。
早くコロナが収まることを願う。

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