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あにの おっちょこの話

 どうも。父、母、おとおと一家、あに一家という毎年恒例の大家族旅行に連れて行ってもらえなかったあにです。普通のサラリーマンは4月1日から有給を取るのは不可能だとあれほど言ったのに。

 ふてくされて買った牛豚鶏オールスターズを肴に久方ぶりのひとりの夜を楽しんでいたらすっかり投稿が遅くなってしまいました。

 ちなみに妻からは
「旅行中おとおとちゃん、ずーっと『おにーちゃんも来ればよかったのに』『土曜の昼からでも来ればよかったのに』って言ってましたよ」
 と証言を頂いております。
 どんだけお兄ちゃんがスキなのかわかる良い話ですね。


 さて、あには新選組が好きです。

 あ、ちょっとまって。まだブラウザを閉じないで。また新選組の話かとかいわないで。今回はちょっと違うから。

 新選組の話をする時、避けては通れないエピソードがあります。

 たとえば芹沢鴨暗殺、池田屋事件、山南敬介切腹、伊東甲子太郎の離反からの油小路等、歴史の授業でも習うような大事件です。史実として起こった事件をベースに、いかにしてそこへ至るかを描くかが、監督や脚本家の腕の見せ所ですね。

 それ以外にも実際起こったかどうかは怪しいところだけど、子母澤寛や司馬遼太郎がネタにしたため、余裕があれば入れたい定番エピソードというのがあります。

 松原忠司や谷三十郎といった組長クラスの不審死や、勘定方の河合耆三郎の切腹事件がそれにあたります。
 実際に何が起こったかはっきりしていない事件なので脚色がしやすく、古参ファンの意表を突くような展開もあり、よりシリーズの色が出せる部分です。

 大河ドラマ新選組! 41話「観柳斎、転落」もそんな話です。


 5番隊組長武田観柳斎。

 甲州流軍学を修め、新選組の軍師として活躍した人物ですが、子母澤寛や司馬遼太郎のせいで、嫌味な衆道家で人望を失い隊を裏切って暗殺されたことにされることが多い人です。
 実はその死因はあまりはっきりとしていないわりに死亡日は明言されていることが多く、暗殺メンバーも斎藤一と篠原泰之進という当時新選組を離れ御陵衛士だった二人なので、実は重責を担っており、任務の途中で暗殺されたなんて可能性も…こういう話をしていると一次資料をあさりたくなりますね。

 「新選組!」でも八嶋智人演じる武田観柳斎は嫌なヤツでした。
 自分を大きく見せることに長け、局長に取り入り、それでも局のため日本のために自分の出来ることを試行錯誤するものの、そのせいで何人もの若い隊士を死なせてしまい、局内での立場を失ってゆきます。
 隊を脱し一度は薩摩に取り入ろうとしますが、それでも古巣の新選組を裏切ることはせず、自分が死なせてしまった隊士を弔いその責任を胸に刻んで生きようとするも、隊内の若い急進派隊士に粛清されてしまいます。
 初期から随所でその存在感を示し、どこまでも嫌なヤツで、どこまでも人間臭く、どこまでも熱い男武田観柳斎が切られた時、我が家の食卓はお通夜のようになっていました。

 小3の長男はこたつに潜り込んでしまい、小1の次男は
「なんで観柳斎殺されたの?」
 と、若い隊士の行動が理解できていない様子。

 そんな時に妻が一言ポツリと言いました。サブタイトルを踏まえたのでしょう。


「カン落しちゃったねぇ、テン柳斎……」


 すごくないですか?

 サブタイトルは「観柳斎、転落」なので、本来は
「転落しちゃったねぇ、観柳斎」
 が正解なのでしょう。
 それが先に「陥(カン)落」と言ってしまったため、観柳斎に使うはずだった「カン」が足りなくなってしまいました。どうしようと思ったところに本来転落で使うはずだった「テン」が残っているではありませんか。よし、これを使っておこう…!
 おそらく妻の頭の中ではこのような相談が一瞬のうちに行われたのでしょう。
 そして生まれたこの言葉。

「陥落しちゃったねぇ、テン柳斎」

 普段ぼんやりしているように見える妻の頭の中が垣間見えるような一言。子どもたちに語り継いでいきたいですね。


 以上、普段しっかりしているのでおっちょこエピソードのないあにのおっちょこの話(別名妻の失言part2)でした。

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